ノーベル賞の真鍋さん 大学で会見
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地球温暖化を予測する気候変動モデルを開発した業績が評価され、ノーベル物理学賞を授与される米プリンストン大学の真鍋淑郎上席研究員(90)が5日、米東部ニュージャージー州の同大学で記者会見した。祝賀ムードに包まれる中、「次の1千万年で気候がどう変動するのか。人類の対処が分からず予測は難しいが、魅力的な問いだ」と語り、旺盛な好奇心をのぞかせた。
大学の講堂で開かれた会見には学生や職員らも駆けつけ、席から立ちあがって真鍋さんを拍手で迎えた。
淑郎という名前から「スーキー」の愛称で親しまれている真鍋さん。大学院生のブ・サンさん(26)は「最初の授業でスーキーのモデルを習った」と興奮した様子。トム・デルワース博士は「スーキーの研究には時を超える妥当性があり、気候科学全体の水準を引き上げた」とたたえた。
称賛の声が相次ぐ中、真鍋さんは「歴代受賞者の業績は傑出している。突然の私の受賞に驚いている」と謙虚に語った。気候変動が脅威とみなされる中、「何が問題なのかを理解するために少しは貢献したと思うので、受賞しても大丈夫かな」と控えめに話すと、司会者が「ここにいる人は皆とても大丈夫と思っています」と答え、会場は和やかな雰囲気に包まれた。
研究会で常に最前列に陣取り、あくなき好奇心で問題の本質を突く議論をしていたという真鍋さん。「私の原動力の全ては好奇心」と振り返り、「社会に大きな影響を与える研究も、最初は重要性に気づかないものだ」と指摘。研究資金獲得のため社会貢献度を重視しがちな風潮を念頭に「面白い研究は好奇心から生まれる」と若手を励ました。
米国に拠点を置くのは研究上の理由だ。「他人の目を気にせずコンピューターを使えた」と語った。 妻、信子さん(80)のおかげで「研究に100%専念できた」とも。「中華や和食、イタリアンと毎日彼女の料理を楽しめる私は果報者」と絶賛した。
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【追加】
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