米ツイッター社を買収したマスク最高経営責任者(CEO)の新たな運営方針に対して、保守層とリベラル層の双方から反発が起きている。しかし、マスク氏は「右からも左からも同時に攻撃されるのは、良い兆候だ」とどこ吹く風だ。
民主党左派の若手リーダー格であるオカシオコルテス連邦下院議員は、著名人や企業の公式アカウントが本物だと示す青色の認証マーク表示が有料化されることにかみついた。マスク氏がソーシャルメディアでの「言論の自由」を掲げていることを念頭に「大富豪が『自由な言論』とは実は月8ドル(約1170円)の定額プランなのだと熱心に売り込もうとしているのは笑える」とかみついた。
しかし、マスク氏は「ご意見ありがとう。では、8ドル払ってください」と返信。オカシオコルテス氏が公式ウェブサイトでロゴ入りスエットシャツを58ドル(約8500円)で販売していることを示す画像もツイートし、価格設定に疑問を呈した。これに対して、労働組合を支持基盤とするオカシオコルテス氏は、第三者の「米国内の組合労働者が作る衣料品の価格に文句を言うなんて。(マスク氏が経営する電気自動車大手)テスラは労組がない最大の自動車メーカーだからね」との投稿をリツイートする形で反撃した。
一方、保守層は当初、トランプ前大統領など過去に凍結されたアカウントの復活に期待感を表していた。しかし、マスク氏は「明確なプロセスを経るまで、過去のルール違反者の復活を許さない。少なくとも数週間かかる」と表明。また、トランプ前政権をナチス・ドイツと同一視したことのあるツイッター社の幹部を「疑問符のつくツイートをしてしまうことはよくある」と擁護したことも反発を受けている。
ツイッターやテスラを率いるマスク氏の言動は、政界でも注目されている。米メディアによると、過去には共和、民主両党の候補に献金していたが、近年は共和党寄りになっている。2024年の大統領選に向けては、共和党でトランプ氏の対抗馬と目されるデサンティス・フロリダ州知事への支持に傾いていると述べたこともある。【ワシントン秋山信一】