ガザでの武力衝突は、ヨルダン川西岸にも不穏な影響を及ぼしており、10月7日のハマスによる奇襲以降、イスラエル兵や入植者との衝突で110人以上が命を落としている。

 1967年の第3次中東戦争(Six-Day War)で占領された西岸には約300万人のパレスチナ人が暮らす。域内にはイスラエル人入植地が各地に点在しており、入植者の数は49万人にも上る。しかし、本来これは国際法を破る行為だ。

 衝突を機に、パレスチナ人への入植者による違法行為は2倍以上に急増している。国連(UN)人道問題調整事務所(OCHA)によると、脅迫、窃盗、襲撃など1日で平均3~8件発生している。

  次に狙われるのは自分が暮らす村と不安を隠せない様子でAFPの取材に応じたのは、西岸のラマラとエリコ(Jericho)の中間に位置する別のベドウィンの村に暮らすアリア・ムリハトさんだ。

「(夜は)安心して眠ることができない。悪夢のようだ」とし、「衝突が始まってから、入植者たちはより多くの武器を持つようになった」と訴える。

「入植者とイスラエル軍とによって、わたしたちは新たな『ナクバ』を経験している」

 ナクバとは、アラビア語で災厄の意味を持つ。1948年のイスラエル建国宣言を受けての第1次中東戦争で、約76万人のパレスチナ人が追放された悲劇を指す。

 OCHAによると、10月7日以降にヨルダン川西岸で避難を余儀なくされた人は607人に上っている。そのうちの半数以上は子どもだ。それ以前の避難者数は、1年半で1100人だった。