とおいひのうた いまというひのうた

自分が感じてきたことを、順不同で、ああでもない、こうでもないと、かきつらねていきたいと思っている。

仏教の誕生 1

2006年12月10日 07時06分31秒 | 宗教・哲学・イズム
仏教 ぶっきょう
紀元前 5 世紀ころインドに出たシャーキャムニ,すなわち釈梼(しやか) によって創唱された教えで,キリスト教,イスラムと並ぶ世界三大宗教の一つ。現在,(1) スリランカ,タイなどの東南アジア諸国, (2) 中国,朝鮮,日本などの東アジア諸国, (3) チベット,モンゴルなどの内陸アジア諸地域,などを中心に約 5 億人の教徒を有するほか,アメリカやヨーロッパにも教徒や思想的共鳴者を得つつある。 (1) は前 3 世紀に伝道されたスリランカを中心に広まった南伝仏教 (南方仏教) で,パーリ語仏典を用いる上座部仏教,(2) はインド北西部から西域 (中央アジア) を経て広まった北伝仏教で,漢訳仏典を基本とする大乗仏教,(3) は後期にネパールなどを経て伝わった大乗仏教で,チベット語訳の仏典を用いるなど,これらの諸地域の仏教は,歴史と伝統を異にし,教義や教団の形態もさまざまであるが,いずれもみな,教祖釈梼をブッダ (仏) として崇拝し,その教え (法) を聞き,禅定 (ぜんじよう) などの実践修行によって悟りを得,解脱 (げだつ) することを目標とする点では一致している。なお,発祥の地インドでは 13 世紀に教団が破壊され,ネパールなどの周辺地域を除いて消滅したが,現代に入って新仏教徒と呼ばれる宗教社会運動が起こって復活した。また欧米の宗教活動は,日本から伝わった禅,スリランカの大菩提会(だいぼだいかい),およびチベット人移民によるものがおもなものである。

[教祖――釈梼]
 釈梼はヒマラヤ山麓のカピラバストゥを都とする釈梼族の王子として生まれたが, 29 歳のとき,人生の苦悩からの解脱を求めて出家し, 6 年苦行の後,35 歳にして,マガダ国ガヤー城郊外において菩提樹下で禅定に入り,苦悩の起こる原因と,その克服に関する縁起の理を悟ってブッダ (〈悟れる者〉の意) となった (成道 (じようどう) )。その後,ワーラーナシー郊外のサールナート (鹿野苑 (ろくやおん) )において,もと修行仲間だった 5 人の修行者を相手に,自ら悟った真理 (法) を説き,弟子とした (初転法輪 (しよてんぼうりん) )。これによって仏 (教主)・法 (仏の教え)・僧 (サンガすなわち弟子たちの集団) の三宝がそろい, 仏教が成立した。以後,250 人の弟子を連れるシャーリプトラ (舎利弗 (しやりほつ) )とマハーマウドガリヤーヤナ (大目姉連 (だいもくけんれん)。 目連ともいう),1000 人の弟子をもつカッサパ (梼葉 (かしよう)) 3 兄弟らの入門があり,また,故郷で釈梼族の人々を入信させるなどして教団が確立した。その教化の範囲はマガダ国の都ラージャグリハ (王舎城 (おうしやじよう) )とコーサラ国の都シュラーバスティー (舎衛城 (しやえいじよう) )を二つの中心とするガンガー (ガンジス) 川中流域の地方で (これを仏教の〈中国〉という),おもに国王や都市の大商人たちの間に支持者を得た。釈梼はこうして 45 年間,教化に努めた後, 80 歳にしてクシナガラの地で死去した。これを入滅 (般涅槃 (はつねはん)) という。遺骸は信者たちの手で火葬され,遺骨は信者たちに分けられ,塔 (ストゥーパ,舎利塔,仏塔) にまつられた。
 弟子たちは最長老のマハーカッサパ (摩訶梼葉) を中心に集まって会議を開き,釈梼の遺言に従って,生前に説かれた教え (法) と制定された教団の規則 (律) とを編集し入滅後のよりどころとして,教団の結束をはかった。これを結集(けつじゆう) と呼ぶ。釈梼の誕生・成道・初転法輪・入滅は仏伝中で四大事跡とされ,その記念の地,すなわちカピラバストゥ郊外のルンビニー園,ブッダガヤーの菩提樹下,ワーラーナシー郊外の鹿野苑,そしてクシナガラは聖地として,後世,信徒の巡礼の地となった。
 釈梼の生存年代について,学界では前 6 ~前 5 世紀説 (《衆聖点記》などの説による前 566‐前 486) と,前 5 ~前 4 世紀説 (中村元説では前 463‐前 383) とがある。前者は南伝,後者は北伝の資料に基づく計算であるが,目下のところ,いずれかに正否を断定できる資料はない。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« まるで社会科の教科書みたい... | トップ | 宗教的特長 2 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

宗教・哲学・イズム」カテゴリの最新記事