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《原因は“2人の女性”?》「感染爆発」しているのに文在寅の支持率がアップ…韓国で起きた“珍現象”の正体 菅野 朋子 2022/1/7

2022年01月07日 12時31分05秒 | 韓国
7分前   2022/1/7

genre : ニュース国際社会政治

「李在明が都市開発疑惑を知らないはずがないよ、市長だったんだから。表ではもっともらしいこと言っているけど、裏で何やっているか分からないから、怖いわ」

「でも、尹錫悦も尹錫悦だよ。なんでこんな奥さんと結婚したんだろうねえ。何やりたいんだかもわからないし、(党内で)内紛しているし。投票したい人が本当にいないわ」

「もう、こうなったら、安哲秀に入れる? 奥さんも教授だし、問題なさそうだし」

 お昼も過ぎた地方のとある食堂で、客は筆者一人。50~60代と覚しき、従業員女性ふたりのこんな会話が聞こえてきた。店にある大型テレビのニュースでは、次期大統領選の有力候補者らのスキャンダルが流れていた。

 次期大統領選挙まで2カ月ほどの韓国。本来ならばもっと熱い雰囲気に包まれるはずが、どうにも盛り上がらない。

 候補者が出揃った11月中旬には、野党「国民の力」の尹候補が与党「共に民主党」李候補を10ポイントほど引き離し優勢だったのが、差はどんどん縮まり、昨年12月最終週に行われた複数の世論調査では、李候補が尹候補を10ポイントほどの差をつけて逆転した。

 しかし、驚いたのはこの5月には“過去の人”となる文在寅大統領の支持率のほうだ。退任間近というのにこちらは47%の高い支持率を記録。歴代大統領では見られなかった珍現象と騒がれた(世論調査会社「エムブレインパブリック」など)。

支持率アップという“珍現象”、裏に「あの女性」の赦免

 中道系紙記者が言う。

「この数字を鵜呑みにはできませんが、他の調査を見ても文大統領の支持率での酷い落ち込みは見られない。不動産政策、新型コロナ対策での失敗と失政続きなのに支持率が上昇したのは、朴槿恵前大統領の赦免が功を奏したことと、次期大統領候補者への不満によって『まだ文大統領のほうがましだ』というムードが高まる“ねじれ現象”の現れのように思います。

朴槿恵前大統領 ©AFLO

 それだけ今回の大統領選が酷すぎるということ。両候補共にスキャンダルだらけで、互いに誹謗中傷を繰り返すだけ。政策もこれからのビジョンもまったく見えない。こんな情けない選挙戦は今までになかったです」

 

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経歴詐称、母の給付金詐欺…政界を騒がす「もう一人の女性」

 メディアでは連日、大統領選関連のニュースが流れるが、いずれも両候補を巡るスキャンダル、失言、野党に至っては内紛話ばかりだ。 

 李候補を巡る最大のスキャンダルは都市開発疑惑だ。城南市長時代に進めた都市開発で資産管理会社の幹部が背任行為をしていたことが明るみに出て逮捕者が出た。この事件に李候補者が関与していたのではないかという疑惑は今も燻り続けている。さらに、この捜査では取り調べを受けていたふたりの人物が自ら命を絶っており、この人物との関係も取り沙汰された。

 

 また、私生活では女優との不倫疑惑に始まり、自身もあっさり認めた修士論文での剽窃、子息のポーカー賭博行為などが俎上に載せられた。

一方、尹候補へ大きな痛手となったのは夫人の経歴詐称だ。夫人は当初こそ否定していたが、結局、一部事実を認め、謝罪に追い込まれた。さらには、義母が療養型病院の運営をめぐって多額の給付金をだまし取っていた詐欺事件の1審で懲役3年となっており、夫人の経歴詐称と合わせて与党からの格好の攻撃材料となった。そして、失言が多すぎるという批判が出ている。 

野党「国民の力」大統領候補・尹錫悦の妻、金建希 ©共同通信

 こんな選挙戦に有権者は嫌気が増しており、昨年末の世論調査では、支持層の間で野党「国民の力」で70%が、与党「共に民主党」では35%が「大統領選挙候補者を交代すべき」と回答したという結果が出た。中でも20~30代の60%以上が「候補者交代」が必要と返答している。この世代は今回の大統領選挙最大の浮動層とされ、両選挙陣営とも取り込み必至といわれる層でもある。

若者は「韓国がまた古くさい国になってしまう」と…

 30代の大手IT企業に勤める会社員(女性)もやはり投票したい候補者がいないと言う。

「李候補は、自身の推進力を誇りますが、国家を運営するのにそんなに力強い推進力が果たして必要なのかという疑問がわきます。何よりスキャンダルが多すぎる。スキャンダルそのものよりも、まずいことが発覚するたびに見せる態度がとても不遜なのが許せません。この程度話しておけば、あるいはこう振る舞っておけば国民はすぐに忘れるだろう、通用するだろうと思っているのが透けて見えて、バカにするなと言いたくなります。

 かといって、尹候補がいいかといわれるとため息しかでない。検察という組織では能力を発揮できたかもしれませんが、選挙陣営の右往左往を見ているとリーダーに必要とされる調整能力に欠けているし、会合などで大股広げて座る姿はあれだけで前時代的な価値観を象徴していて、韓国がまた古くさい国になってしまうような気がして、本当にどちらにも投票したくない。今回は投票権をもらって初めて棄権するかもしれません」

李在明・与党「共に民主党」大統領候補 ©getty
尹錫悦・最大野党「国民の力」大統領候補 ©️時事通信社

 支持率下落に危機感を覚えた尹陣営の金鍾仁総括選対委員長は、年明け1月3日、突然、選挙対策委員会を改編することを発表した。この発表を受けて委員会の幹部ほとんどが辞表を出すという前代未聞の事態となったが、発表自体を尹候補者が知らなかったことが分かり物議を醸した。

 5日、尹候補者は選挙対策委員会解散を発表し、キングメーカーとして三顧の礼で迎え入れた金総括委員長は総括委員長から退くこととなった。前出記者が解説する。

「大雑把に言えば、尹候補の側近と党(国民の力)内部の権力争いの末に起きたこと。結局、“上皇”(金総括委員長)がこのままでは勝てないと焦ったのでしょうが、選挙まで2カ月のこの時期での陣営改編は今まではあり得なかったこと。準備不足も露わになった」

 尹候補者から離脱した支持者は野党「国民の党」の安哲秀候補に流れていると分析され、安候補は大統領選のダークホースとして急浮上。一ケタ台だった安候補の支持率は15%にまで上がった(1月7日、韓国ギャラップ)。20~30代での支持率も尹候補者を上回っており、一騎打ちの構図に影響を及ぼすか注目が集まり始めている。

“反日パフォーマンス”も検討していたが…両候補の”対日観”

 投票日は3月9日。

 これだけ冷めた世論がどんな結果をもたらすのか予測はできないが、いずれの候補が新大統領になっても、日韓関係は厳しい状態が続くと見られる。

 昨年末、両候補は相星孝一駐韓日本大使と面会し、李候補は日韓の「未来志向での協力」を訴え、尹候補は2011年から途絶えている「日韓のシャトル外交(両国首脳が相互に訪問)復活」を語った

 しかし、そもそもふたりの“対日観”というのがよく見えてこない。

 対日強硬派といわれる李候補だが、その発言はころころと変わる。尹候補に支持率で先行されていた劣勢の時期には、日本を刺激するような“反日パフォーマンス”も念頭に入れていたといわれるが、結局、世論の共感は得られないと判断されたという。しかし、大統領に就任後に突発的な行動に出る可能性は十分にあるだろう。

 対して、尹候補ならば日本との関係も協力的なものになるのではないかという見方もあるが、現与党の議席数が過半数を上回る現況では国会運営の舵取りは厳しいとみられる

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