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自分が感じてきたことを、順不同で、ああでもない、こうでもないと、かきつらねていきたいと思っている。

精神科医・和田秀樹氏が語る「老害」を乗り越える方法 日刊ゲンダイDIGITAL     2025/3/12

2025年03月12日 11時13分44秒 | 老人介護・心の不調・ストレス
日刊ゲンダイDIGITAL     2025/3/12

■老害と呼ばれないためには

人生100年時代で定年延長や再雇用など働く時期が長期化している。高齢者になっても楽しく働き続けるにはどうすればよいのだろうか? 精神科医・和田秀樹さんの著書で、シニア世代が「無理なく楽しく働き続ける方法」を提案した『定年後の超・働き方改革 「楽しい仕事」が長寿に導く!』(光文社)より一部抜粋、再構成してお届けする。

◇ ◇ ◇

「老害扱いされてるんじゃないか」――。

そんな不安にとりつかれている人は珍しくありません。結果、必要以上に若い世代に迎合したり、へりくだりすぎたりする人が非常に多いのです。でも本当の「老害」にあたる人なんて、全体の一割程度に過ぎないのです。職場でへりくだりすぎると、仕事がうまく進まないことがあります。

「たとえ老害と言われても、業務を遂行して職責を果たしているんだから、なんの問題もないじゃないか」

そんなマインドセットに切り替えてみましょう。そもそも老害とは本来、硬直した考え方の高齢者が指導的立場に居座り続けることを指す言葉です。

しかし、昨今は老害認定されるハードルが異常に低くなっています。たとえば「年寄りの話は説教ばかりで腹が立つ」「年金暮らしのくせに贅沢するなんて」「年寄りがレジで会計をすると、もたついて迷惑だ」……。

ここまではっきりした言葉になっていないかもしれませんが、そんな世間の空気をしばしば感じます。だから「若い人から老害と呼ばれないようにしないと」と、高齢者が萎縮してしまうわけです。つまり老害という「レッテル貼り」の多くは、高齢者への同調圧力なのです。

■老害の壁を壊す

高齢者にイラつく不寛容な空気、それを私は“老害の壁”と呼んでいます。こんな壁は壊していくべきです。

“老害の壁”を壊していくには、まずは中高年やシニア世代が自分の意思を貫き通し、楽しく幸せに生きることです。職場では謙虚であっても卑屈にはならず、媚びることなく働く姿を見せることです。そんな姿勢こそ、あなたの幸せや不寛容社会の是正につながります。

誤解しないでいただきたいのですが、私は「組織内でシニアの立場を上げよう」と鼓舞したいわけじゃないんです。へりくだりすぎてあなた(シニア)の価値を必要以上に下げるのはもったいないと訴えたいだけです。この「なんでもかんでも老害」という今の風潮にどこかで歯止めをかけないと、高齢者から生活、健康、楽しみなどの自由がどんどん奪われかねません。

 

まずは、あなたの心に潜んでいる“べき”を手放しましょう。たとえば「老害って思われないようにすべき」「職場に馴染むべき」「職場では褒められるべき」……。

大切なのは、仕事をきちんと遂行することだけです。“かくあるべし”というように、人間の判断をゆがめてしまう思考パターンを「不適応思考」と呼びます。平たく言うと、私たちの考え方を勝手にゆがめてしまう癖みたいなものです。この不適応思考が深刻化すると、精神的な落ち込みが強くなり、やがてはうつ病を発症しやすくなります。

■長く楽しく働きづつけるコツ

では、人はなぜ不適応思考に陥ってしまうのでしょうか。それは、自分への要求水準が高い、いわば、頑張り屋さんだからです。自分への要求が高いぶん、「頑張らなければいけない」と自分を追い込み、それができなかった場合は自分自身を「駄目な人間だ」「情けない」と否定的に捉えてしまいます。

そんな患者さんのお話を聞くとき、私は別の視点を持つようアプローチします。「別の視点を持つ」というアプローチは、「認知療法」の基本的な考え方のひとつです。認知療法とは、本人が自分の思考の偏りを「認知」することで、うつ病などの症状の改善を目指す療法です。この療法によって、ネガティブ思考やマイナス思考など、否定的な考え方の癖を変えることが期待できます。

「別の視点を持つ」トレーニングは、一人でも行えます。たとえば、誰かの噂話やテレビや新聞、雑誌などで見聞きしたことをうのみにするのではなく「そうかもしれないけど、別の見方もあるだろう」と異なる考え方や可能性を探すのです。

私が卒業した東大の医学部には「東大医学部を出たからには、大学教授になるべき」という常識がありました。あくまで「東大医学部」という「ムラ社会」においてのローカルルールに過ぎません。このように、特定の組織内(コミュニティ内)での「常識」なんて恣意的なものでしかないことが多いのです。

「かくあるべし」が深刻化すると、自分の心を締めつけすぎて壊してしまいます。また他人にもその「常識」を押しつけたくなってしまいがち。すると「あの人は、ルールに厳しい人」などと敬遠されてしまう危険性もあります。

ですから第二の人生こそ、いろいろな思い込みを外して、自分にも周りにも寛容になりませんか。そんな自由さ、心の伸びやかさこそ、あなたの前頭葉を活性化させることにもつながるでしょう。

▽和田秀樹(わだ・ひでき) 精神科医1960年大阪府生まれ。東京大学医学部卒。東京大学医学部付属病院精神科助手、米国カール・メニンガー精神医学学校国際フェローを経て、現在は精神科医、臨床心理士、受験アドバイザー、映画監督、ラジオパーソナリティー、youtuberなど多くの顔を持つ。医師として認知症予防や健康寿命の延伸に携わってきたことをきっかけに、仕事を通じて自分らしく輝き続けるためのノウハウを紹介。著書に『80歳の壁』(幻冬舎新書)、『受験は容量たとえば、数学は解かずに解答を暗記せよ』(PHP文庫)ほか数々のベストセラーがある。

◇ ◇ ◇

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