とおいひのうた いまというひのうた

自分が感じてきたことを、順不同で、ああでもない、こうでもないと、かきつらねていきたいと思っている。

助詞 に  へ          2023/1/30

2023年01月30日 11時28分14秒 | ことば・こころ・文学・演劇

いつも迷う苦手な助詞です

「へ」と「に」の使い分け

大阪に行く。
大阪へ行く。
 
どちらでも意味は通じますし、この例文だけを読む限りでは、大差が無いように感じますね。
 
しかし、生徒の作文を添削していると、
「ここは『に』じゃなくて『へ』でしょ。」
という場面が多々出てきます。
 
両者の違いを低学年の生徒に教えるのはなかなか難しいし、深くこだわるような用法でもないので、聞かれた時にだけ答えるようにしています。
 
「に」と「へ」はどちらも格助詞。どこかへ「向かう」という意味を表しています。使い分けについて説明すると次の通りです。
 
●「に」
➡到達点そのものに焦点が当てられている。
 
●「へ」
➡到達点を含めて、そこに向かう経路や方向性に焦点が当てられている。
 
最初の例文で言うと、
★大阪に行く。
・行くまでの過程や手段などは問題にせず、「目的地は大阪」だと示している。
・「行くのは、札幌でも東京でもなく、大阪である」と強調されている。
 
★大阪へ行く
・大阪方面へ行く(大阪のどこに行くのか具体的に示さない)。
・「飛行機や新幹線などの交通手段を使って」「○○を経由して」…という、到着するまでの過程もニュアンス的に含まれている。
 
どちらかと言うと、「へ」は曖昧でふわっとした言い方で、「に」は「具体的な最終目的地」に向かう意味合いが強く出る言い方です。
 
さて、確認問題をひとつ。
次の【 】には、「に」「へ」どちらを入れるのが最適でしょうか。
 
先週、ゴールデンウィークを利用して、家族で京都【 ① 】行きました。あちこち観光をしましたが、(中略)二日目にはまず、金閣寺【 ② 】行って舎利殿や不動堂を見てきました。
 
どちらに「に」「へ」を入れても間違いではありません。ただ、正確な文法力を駆使して表現するなら、①には「へ」、②には「に」を入れるとよいでしょう。
 
①は何市と具体的に示されている訳ではなく、京都「方面」に向かったこと。しかも、旅行で行ったのですから、単に京都という地に足を踏み入れることが最終目的ではありません。行程や過程を含めて「京都」へ向かったのだから、広い意味合いを持つ「へ」を使います。
 
②は、直前に「金閣寺」という具体的な名所が書かれています。「目的地(到達点)が金閣寺である」という意味合いなので「に」を使うとよいでしょう。
 
 
…今回は少し難しかったかな。
ライターとしての経験や大学受験の小論文指導を通して、言葉の使い方、選び方などに意識を向けるようになりました。いわば職業病とも言えるほどの気になりようなので、「に」と「へ」、「は」と「が」の使い分けにもいつも神経を使います(このブログ記事ではかなり力を抜いていますが 笑)。
 
今回の「に」と「へ」は、日常生活でも受験勉強などでも使い分けに神経質になる必要はありません。ただ、言葉の使い方に少しでも興味を持ってもらえたら嬉しいなと思います。
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