調査会社が実施したイギリス政府への支持率調査で、トラス政権への不支持率が調査開始以来、過去最悪の水準となったことがわかった。

イギリスの調査会社ユーガブが実施した支持率調査によると、トラス政権を支持すると答えた人は、1桁の7%。

支持しないと答えた人が、77%に達したことがわかった。

これは、調査開始以来の11年間で、過去最悪の水準。

また、次の首相について、コロナ規制下でパーティーを開催するなど、度重なるスキャンダルで辞任に追い込まれたジョンソン前首相が1番人気の32%で、次に、トラス氏と首相の座を争ったスナク元財務相が23%となっている。

英次期首相候補にジョンソン氏の名も トラス氏批判鳴りやまず

 発信地:ロンドン/英国 [ 英国 ヨーロッパ ]

【10月19日 AFP】経済政策をめぐるリズ・トラス(Liz Truss)英首相への批判が鳴りやまない。トラス氏は2年以内に行われる予定の次期総選挙に向け与党・保守党を率いると誓ったものの、就任後6週間で惨状を呈したことから、短命政権に終わるとみられている。

 現時点で名前が挙がっている後任候補をまとめた。

■リシ・スナク(Rishi Sunak

 スナク元財務相(42)は、今夏の保守党党首選の決選投票でトラス氏に敗れた。

 トラス氏は、政府支出を抑制せずに減税と規制緩和を行うと公約し、党内からの支持を獲得した。これに対し、スナク氏は、新たな借り入れを財源に減税を実施するのは無謀であり、英国に対する市場の信認を損なうだけでなく、数十年ぶりの高水準に達しているインフレ率がさらに高進する恐れがあると警告していた。

 スナク氏の主張は正しかったことが証明された。トラス氏は減税案を撤回し、クワジ・クワーテング(Kwasi Kwarteng)財務相を更迭。後任には、スナク氏が支援するジェレミー・ハント(Jeremy Hunt)氏を起用した。

 英調査会社ユーガブ(YouGov)の18日の調査では、トラス氏の後任として最も人気を集めた。ただ、好感度はネットベースではマイナス18ポイントだった。

■ボリス・ジョンソン(Boris Johnson

 ジョンソン前首相(58)は9月上旬、財務相だったスナク氏ら閣僚の相次ぐ離反を受けて辞任した。

 ジョンソン氏自身が復活をほのめかしており、返り咲きを狙うのではないかとの臆測が広がっている。ただ、あまりに早すぎる再登板は現実的ではないとの見方が大勢だ。

 英国の欧州連合(EU)離脱(ブレグジット、Brexit)を主導したジョンソン氏は、党内の一部では根強い人気を誇っているが、スキャンダルにまみれた3年間、有権者の間では評判を大きく落とした。

 ユーガブの調査では、人気ではトラス氏をはるかに上回ったが、回答者の3分の2近くはジョンソン氏に否定的だった。

 ジョンソン氏は辞任以降、目立った活動はしておらず、今回の政治危機についての見解も示していない。

 同氏は前回の保守党党首選でトラス氏を支持していたとみられている。しかし、上級顧問を務めたドミニク・カミングス(Dominic Cummings)氏は、ジョンソン氏としては、トラス政権が早期に自滅し、自身の返り咲きへの道が開けると考えていたと指摘している。

■ジェレミー・ハント

 新財務相に就任したハント氏(55)は、過去2回の保守党党首選で敗れている。1回目は2019年に最終戦でジョンソン氏に負け、今年の党首選では立候補者8人のうち最下位に終わった。

 だが、政権ナンバー2とされる財務相に指名されたことで、政治の中枢に復帰した形だ。自信に満ちた態度も人気を集めている。

■ペニー・モーダント(Penny Mordaunt

 モーダント氏(49)は、ジョンソン氏の後継者と目された時もあった。

 国防相などを歴任し、ブレグジットを支持し、2016年のEU離脱キャンペーンで重要な役割を果たした。

 ただし、最近は閣僚時代にこれといった成果はなかったとの批判も党内から出ていた。

 17日には、経済混乱についての野党・労働党からの質問に対し、トラス氏の代理で答弁し、うまく乗り切ったとして評価を上げた。(c)AFP/Joe JACKSON