滞仏日記「ワクチンを打たなければ何もできない欧州で、ぼくは、つ、ついに!」
Posted on 2021/04/21辻 仁成 作家 パリ
某月某日、朝、どっかの日本のテレビが調査した、(たぶん、ミヤネ屋かな)、東京と大阪の検査数の比較テロップが、ツイッター上に流れていて、なになに、ほーほー、と拡大してみてみたら、ちょっとびっくりした。
東京都の4月13日の検査数約1万、大阪6千だが、おとといの検査数が東京1941件で、大阪が1万2467件って、は? どういうこと?
で、東京の感染者者数711人って、これ、陽性率は、??? 計算すると、だいたい36%ってこと? こんな数字、聞いたことないんだけど。
大阪が多いとメディアが大騒ぎしているけど、検査数1941件で、感染者711人はちょっとやばいかも。
たとえば、東京都というのはフランスの場合、イル・ド・フランス(パリ首都圏)にあたるんだけど、(残念ながらパリ首都圏の検査数は見つけ出せなかった)、が、フランスの一日の検査数はだいたい30万とか40万とかで、人口が6千万人だから、日本で同じ比率でやるなら、60万とか、それ以上の検査を毎日やっている計算になり、それで今日の感染者は日曜日だったこともあり、6000人くらいで、一昨日が3万5千くらいだった。
少なくともパリ首都圏は万単位では検査をやってる。
街角で無料でがんがん検査をしている。
人口が圧倒的にパリ首都圏に集中しているから、同じような首都圏である、しかも人口約1400万?の東京で1924件の検査数って、それは海外のメディアは「はぁ?」ってなるだろう。東京を中心とする首都圏、3700万人かぁ・・・。
じゃあ、フランス並みに検査したら、いったい本当は何人いるのか、ということになる。
もちろん、日本人、アジア人は重症化しにくいから欧米とアジアを簡単には比較できない。だから、東京都はあえて、オリンピックもあるし、内外に心配させたくなくて、検査数を減らしたのかもしれないけど、問題は変異株だ。
変異株がいつまでもアジア人を標的にしないという考えは気を付けたほうがいい。
どんどん、変異しているし、コロナは思った以上に頭がいいから、欧米で集団免疫が出来たら、欧米なんかもうつまらないと言い出し、次は、日本に行きましょうってことにならないって、誰が断言できるんだろ?
日本のリーダーたちを単純に批判したくないけど、海外でずっとこのコロナの数字と向き合ってきたぼくとしては、心配でならない。
もちろん、これが杞憂で、「辻のばーか。ぜんぜん、大丈夫だったろうが」となるなら、それにこしたことはないんだよ。
しかし、一万人からのオリンピック選手が日本に来ることでコロナを刺激しないわけはないし、ぼくが5月のオーチャードホールのライブを中止にした苦渋の選択も、結局はコロナ変異株のここのところの動きを見て、ブラジルは毎日4千人が死んでる! こ、これは本当に危険だ、と思ったからだ。
今、正直、オリンピックへ向かうなら、欧米並みの検査をやって、その数字を国民にしっかり示すべきだろう。
東京都は最低でもパリ首都圏並みの数万件の検査をしてみてほしい。
そして、本当の感染者の数を公表すべきじゃないだろうか、内外に。
さらに、変異株の恐ろしさをもっときちんと解説するべきじゃないか。
オリンピックをやったことで日本型変異株が出現し、ワクチンさえも効かない状況になったら、・・・めも当てられない。
しかも、日本はワクチンの確保が間に合ってない。
これがもう一つのぼくの懸念で、コロナが出現して一年経つが、オリンピックはもっと前からとっくに決まっていたのだから、だとしたら今日現在、国民の半分程度はすでにワクチン接種を終えてなければならなくないだろうか? 三分の一とか、・・・
イスラエルやイギリスに出来て、オリンピック開催国の日本がまったく出来てないということが残念過ぎる。
(後略)