最近NHK出版の「100分名著」booksに目覚めている。つまらないものもあるが、中沢新一著レヴィ=ストロース『野生の思考』のような名著がある。
おおいに参考になりました。
味を占めて水本弘文著『星の皇子さま』をとりよせてみた。
(【著者紹介】水本 弘文(みずもと ひろふみ)
昭和20(1945)年、福岡県生まれ。
九州大学大学院文学研究科修士課程修了。
現在、北九州市立大学名誉教授。
専門はフランス文学、フランス文化。)
ぱらぱらとめくってみたが、この作品は「バラへの愛」だと著者は断言できず、何を言っている作品なのかと大学の敷地を行ったり来たりして考えている姿が面白い。
昔、日仏学院(今は名称変わっているかも)の翻訳クラスで堀茂樹講師の元で集う半プロの翻訳家受講生たちが一緒に、同じようにみんなで「何を書いているのだろうか」と、うんうん唸った思い出があるからです。
あとがきで
「学生は、すんなりと、「王子はいつもバラのことが頭をはなれなかったんでしょうね」と言うと、著者は書く。
「ずっと年下の学生たちです。頭など使わなくとも体験的に分かるのでしょう。
引き比べて、うんうん頭を絞るしかない私です。自分はこれまで誰かを本当に愛したことがあるのだろうか、自分には人間としての幅や深さが足りないのではないか、と自戒を迫られたような思いになりました。この本を読んで、なぜこんな分かり切ったことを、と思われた方もいらっしゃるかもしれません。どうか笑って忘れてください」
結論はまちがわずに著者は着地したと思います。
が、参考文献に、大事な文献が抜けている。
妻コンスエロ・ド・サン=テギュジュペリの作品
『バラの回想』です。
星の王子さまはこの本と一緒に読むべし。
絆=愛の物語として2冊は響き合い、感動します。
ただコンスエロの作品はコンスエロの死後20年目にサン・テギュ=ジュペリ生誕100年に合わせて発表されたので、それまで『星の王子さま』をテキストに講義する大学教授の頭を悩ませ続けたようです。