読みづらいと思いますが記録のために全コピペしております。(by管理人)
「10年後の皇室」に迫るプリンセス不在と高齢化 公務を減らせば「象徴天皇制の実態はなくなる」と専門家〈dot.〉
2023年1月2日、3年ぶりとなる皇居での新年一般参賀。愛子さまも初出席された(写真/アフロ)
令和の皇室も5年目を迎えた。しかし、皇位継承の危機的状況は何も解決していない。どのような状況にあるのか「10年後」を想像してみると、問題点がまざまざと浮かび上がる。
* * * 「皇室の将来を考えたとき、5年後がひとつの節目となります。そして10年後の皇室の姿を現実として認識する想像力が、日本には必要です」 そう話すのは、皇室の制度に詳しい、静岡福祉大学名誉教授の小田部雄次さんだ。
令和皇室も4年が過ぎようとしていた2022年の秋から初冬にかけて、世間をざわめかせる出来事があった。
天皇陛下の健康問題だった。天皇陛下が受けたMRI検査で前立腺の肥大が認められたため、組織検査をすると発表された。
12月2日。 【速報】「天皇陛下の前立腺組織検査 異常認められず」 2日間にわたる東京大学医学部付属病院(東京都文京区)での検査入院の結果を受けて、メディア各社は「異常認められず」の速報を打った。 宮内庁でも安堵(あんど)の声が漏れたという。 「念には念をという意味での検査ではありましたが、ほっとした空気が広がりました」(宮内庁関係者)
天皇陛下の健康問題は、重大事項である。 令和の天皇陛下が即位したとき59歳。奈良時代に至る公式の歴史書『続日本紀』に記載がある文武天皇以降では、60歳で即位した光仁天皇(奈良時代)に次いで2番目の高齢即位となった。
とはいえ、平成の天皇として55歳で即位した上皇さまと美智子さまは60代、70代で膨大な公務をこなし、国内外を訪問している。
先の小田部さんは、こう話す。 「平成の天皇は、69歳で前立腺がんの手術をなさるなど健康面が思わしくない時期もありました。しかし、むしろ60代から70代が天皇として円熟味を増した時期でもありました。即位してから15年、70歳になる年に全47都道府県への訪問を達成。国内外を精力的に訪問します。78歳で心臓のバイパス手術を受け、無理を押してではありましたが3カ月後にはエリザベス女王の招きで訪英も実現しました」
平成の天皇と皇后が高齢になっても多忙な公務を抱えていた背景には、皇室の高齢化と皇族の減少がある。 22年1月、岸田内閣は、皇位継承のあり方を議論した政府の有識者会議の報告書を衆参両院議長に提出した。首相は、皇族の数の減少が緊急の課題だと説明。「女性皇族が結婚後も皇族の身分を保持」「旧宮家の男系男子の養子による皇族復帰」の2案の検討を求めた。 それを受けて1月下旬に自民党は、「皇室問題等についての懇談会」の初会合を開催。しかし、「静かな環境で議論を進めていくことが望ましい」との認識からいまだ具体的な動きは聞こえてこない。 小田部さんは、いま皇室の将来について言及できるのは、皇室の深刻な高齢化と人数の減少だけ、と慎重な物言いをしつつも、こう警鐘を鳴らす。 「10年後を想像してみると、天皇陛下と皇后雅子さまは10年後に72歳と69歳です。先にも説明したように、平成の両陛下は60代、70代でも熱心に公務を務めました。しかし、問題は天皇家を支える宮家を含む全体の高齢化をなすすべもなく見守るしかないという点です」 上皇さまの弟の常陸宮さまは、現在87歳、妃の華子さまは82歳。昭和天皇の弟の故・三笠宮崇仁さまの妃である百合子さまは99歳だ。 天皇ご一家をのぞく宮家において膨大な量の公務を主に担っているのは、皇嗣家である秋篠宮さま(57)と紀子さま(56)、そして高円宮妃の久子さま(69)だ。10年後、秋篠宮ご夫妻は67歳と66歳である。久子さまは、79歳になっている。 久子さまは3人のお子さまを育て、夫の高円宮憲仁さまが02年に47歳で急逝して以降は、宮家の女主人として切り盛りしてきた。 久子さまと親交のある人物は、こう話す。 「秩父宮家、高松宮家の妃殿下方に学び、御所言葉など皇室に伝わる伝統や作法を学んできたのが久子妃殿下です。次女の典子さんと三女の絢子さんは結婚して皇室から離れ、いらっしゃるのは長女の承子さまのみです。久子さまが学び守ってこられた皇室の文化を受け継ぐ先があればよいのですが」
久子さまの長女の承子さまは、現在36歳。久子さまも公認のお相手とは、数年前から結婚のタイミングをうかがっているとうわさされてきた。 「ヒゲの殿下」と人びとに愛された故・三笠宮寛仁さまの妃であった信子さま(67)と長女の彬子さま(41)と次女の瑶子さま(39)も、10年後は、信子さま77歳、おふたりの姉妹は51歳と49歳になる。 将来のことはわからないが、彬子さまご本人は周囲にこう話しているという。 「結婚はしない。三笠宮家に人生をささげるつもりだ」 若い世代は、天皇家の長女の愛子さま(21)と秋篠宮家の次女の佳子さま(28)だが、10年後に愛子さまは31歳、佳子さまは38歳となる。 秋篠宮家の長男で皇位継承順位2位の悠仁さま(16)は、26歳になる。 いま30代、20代の女性皇族は承子さまと瑶子さま、佳子さま、愛子さまの4人。 10年後には、結婚などにより皇室を離れている可能性が高い。 「その10年後に公務を担うことが可能な70代以下の皇室メンバーは、72歳の天皇陛下と69歳の皇后雅子さま。そして79歳の久子さまをはじめ、77歳の信子さま。67歳の秋篠宮さまと66歳の紀子さま。若い世代では、51歳の彬子さまがいらっしゃる。そして26歳の悠仁さまだ」(小田部さん) 公務を担うことが可能な70代以下の皇室のメンバーは合計8人だ。72歳の天皇陛下と皇族は70代が2人、60代が3人、50代が1人の7人である。 いまの愛子さまや佳子さま、承子さまや瑶子さまといった、若い世代の「プリンセス」不在の皇室となる。 小田部さんは、 「皇室の人数が少なくなるならば、単純に公務を減らせばいいという声もあります。ただし、担い手が減れば地方を訪ねて人と触れ合う余裕はなくなる。必然的に国民と皇室のきずなはうすれます。それは、象徴天皇としての実態がなくなることを意味します」 冒頭で述べたとおり、小田部さんは5年後がひとつの節目だと話す。 なぜなら5年後であれば、愛子さまや佳子さまらの女性皇族の結婚について見通しが立っている可能性が高いからだ。そして悠仁さまの結婚についても候補者のリストアップが進んでいる可能性もある。 しかし、女性皇族が結婚後も皇室に残るといった議論が5年後までにまとまり、制度として確立されている可能性は低いだろう。 「極端な話、天皇陛下が国事行為をできる環境があればいい、という議論も出てくるかもしれません」(小田部さん) 日本社会と同じように、皇室の高齢化は深刻な問題だ。タブー視して、目を背け続けた先に見えるのは、どのような風景なのか。 (AERA dot.編集部・永井貴子)