室井佑月さん© AERA dot. 提供 室井佑月さん

 作家でタレントの室井佑月さん(50)が、TBSのワイドショー「ひるおび」の木曜コメンテーターを降りることになった。12月3日の木曜、番組に室井さんの姿はなく、突然、出演を見合わせる発表があった。降板劇の裏には何があったのか。

「公平性を担保するべきとのことで番組のみなさまとご相談の上、出演を控えさせていただくことに致しました。みなさま、長い間お世話になりました、ありがとうございました」

 3日の番組冒頭、江藤愛アナウンサーが、室井さんからというメッセージを代読した。

 「公平性」というのは、室井さんの夫で前新潟県知事の米山隆一氏(53)が、次期衆院選に新潟5区から立候補することを、11月27日に正式表明したことを受けてのこととみられる。

 たしかに、身内が立候補となれば、次の衆院選についての話をする際に、公平性が保てるのか、との疑問が出るのは不自然ではない。

 ただ、室井さんは、同番組の前番組の時代から11年以上、レギュラーでコメンテーターを務めている。それくらい長期間出演していた人の最後では、番組の司会者が「長い間、お疲れ様でした」などと声をかけ、花束の一つでも渡す、という場面は、よく見る。本人が出演もせず、コメントの代読で終わりというのは、視聴者も違和感を感じたのではないだろうか。

 以前、テレビ朝日のニュース番組「報道ステーション」でコメンテーターを事実上降板となった経験がある古賀茂明さんは、

「今回の降板通告は前日だったとも聞いています。私の経験からも、通常は1カ月以上前から話し合いが行われるはずです。TBS側によほどの緊急事態が起きたとしか考えられません」

 と今回の室井さんの件について首をかしげる。

 また、あるテレビ関係者は、こうした見方を示す。

「室井さんは、番組で菅政権のことや『GoTo』、五輪についてもかなり批判していましたし、『週刊朝日』のコラムでも同じように、政権やメディアのことを、ボロクソに書いていましたから、なんらかの『力』が働いたのでは、との疑いも出てきます」

 一方、TBS関係者はこう話す。

「室井さんが厳しく政権批判をするから降板させたということはないと思います。米山さんが選挙に出るということになると、その期間中は選挙に関係するような人がゲストコメンテーターとして出ているのはいいことではないですから、外すことはあると思います。ただし、それは普通、その期間だけです」

 しかし、今回代読された室井さんのコメントは、一時的な出演休止ではなく、選挙後も含めた「降板」ともとれる。

 TBS関係者が続ける。

「ゲストをどう変えるかというのは番組の演出上の話ですから、夫が選挙に出る、ということがきっかけになった可能性はあります」

 つまり、米山氏の出馬表明はあくまできっかけで、それ以前からコメンテーターを変える方向で考えていた可能性もあるということだろうか。

 改めてTBS広報部に、室井さんのコメントにあった「番組関係者と相談し」た時期や、最終的に「降板」が決まった時期などについて問い合わせたところ、

「ご本人のメッセージのとおり、室井さんと番組が相談の上、ご卒業することになりました。制作過程の詳細については、お答えしておりません」

 との回答があった。

 室井さんにもこの件について尋ねたが、

「発表したままです」

 とのこと。

 思わぬ波紋を呼んだ米山氏の出馬表明。今回の一連の動きを米山氏はどう感じているのだろうか。室井さんの「降板」が発表された後、米山氏はツイッターで自身の胸中を明かした。

「妻の室井佑月には、私の政治的志でその活動に影響を与えてしまう結果となり非常に申し訳なく思っています」

(本誌・上田耕司)

※週刊朝日オンライン限定記事