自民党の下村博文・東京都連会長は29日、党本部で会見し、学校法人「加計学園」からのパーティー券200万円分の購入を政治資金収支報告書に記載せず、「闇献金」とする「週刊文春」の報道を否定した。

 一方、元秘書で「都民ファーストの会」から都議選に出馬した平慶翔氏(29)が内部文書を持ち出し、文春報道につながったとする疑惑を指摘。平氏は全面反論し、法的手段も辞さない構え。たもとを分かった2人の遺恨は都議選の投開票直前、泥仕合になってきた。

 下村氏の元秘書3人が、自民2人VS都民ファースト1人に割れて激突している都議選の板橋区。その対決構図が、思わぬ「場外戦」へと発展した。

 文春の発売から時間を置かず、29日午前に会見した下村氏は、文春の報道内容を否定。「選挙妨害」と不快感を示した上で、今回の報道に関し、「週刊誌が入手した内部文書のデータを持ち出せるのは、内部の人と考えざるを得ない」と指摘。「提供者は特定できない」とした上で、昨年事務所を退職し、現在「自民党以外から都議選に出ている元秘書」が文書を持ち出した可能性があると持論を述べた。

 この「元秘書」が、事務所の資金を使い込むなどして、謝罪したとする昨年8月10日付の「上申書」も、報道陣に配布。平氏の名前が書かれ、筆跡確認のために別の文書まで配布する念の入れようだった。

 下村氏は名指しこそ避けたが、「自民党以外から都議選に出ている元秘書」は、平氏しかいない。下村氏は「大きな疑惑を感じざるを得ない」として「刑事告訴すべく弁護士に相談している」と踏み込んだ。

 平氏は女優平愛梨の弟。下村氏の会見から約9時間後、代理人を通じて、下村氏が会見で語った「元秘書」に関する主張を全面否定するコメントを発表した。文春へのデータ提供を否定した上で、下村氏が示した上申書も「偽造文書」だと反論。上申書記載の行為の事実は、ないとしている。

 同日深夜には、動画サイト「ニコニコ」の都議選関連番組に生出演し、同様の主張を展開。終了後、報道陣の取材に「上申書を見たが事実無根。筆跡も私の文字ではない」と述べた。下村氏について「(秘書だった)当時はアモーレ(愛する人)でした」と話すひと幕も。今後の対応に関しては、「都民ファーストの会と相談し、具体的に進めたい」と、下村氏側に法的手段を取る可能性に言及。双方が、訴訟合戦に発展する可能性も出てきた。

 都議選の最終盤で両者の遺恨があらためて表面化。選挙戦への影響は避けられない。自民党にとっても、豊田真由子議員、稲田防衛相の問題に続く「三重苦」といわれる問題が浮上。関係者は「選挙中、ここまでスキャンダル報道が出た記憶はない」と嘆息した。