毎日新聞
数理モデルによる疫学分析を専門とする西浦博京都大教授(理論疫学)は13日、東京都の新型コロナウイルスの感染者が1日当たり500人を下回った時点で緊急事態宣言を解除すると、50日足らずで宣言前のレベルまで感染者数が戻るとの試算を公表した。政府は宣言解除の目安の一つに東京都の場合は「感染者数が1日当たり500人未満」との基準を挙げる。西浦教授は「緩い解除基準の場合は7月下旬までに今回も含め計3回のピークを経験することになるだろう。解除基準を決めるには長期的な見通しが必要」と指摘する。
西浦教授は感染者1人が平均何人に感染させるかを示す「実効再生産数」を使い、東京都の感染状況を基に考えた。今回の緊急事態宣言について、緩い効果があった場合と強い効果があった場合の感染者数の推移をそれぞれ予測。宣言を解除した後に、宣言直前の実効再生産数に戻り、感染者数が増加する条件で試算した。
緩い効果があった場合には2月24日に1日当たりの新規感染者数が500人未満になる。その時点で解除すると、4月中旬には再び1日の感染者数が宣言発令直前の約1000人に増加した。一方、強い効果があった場合に500人未満になっても解除せずに取り組みを続けると、2月25日に1日当たりの新規感染者数が100人を下回り、7月中旬まで宣言前のレベルには戻らなかった。【金秀蓮】