「国全体でのサイバーセキュリティー対策に警察として貢献したい」。警察庁長官に22日付で就任した中村格氏(58)はこの日の会見で、重大サイバー事件に対抗するため、来年度、同庁に「サイバー局」などが新設されることに向けて意欲を示した。
中村氏は、身代金要求型ウイルス「ランサムウエア」の被害や国家を背景としたサイバー攻撃が増えている現状を指摘。「オールジャパンで対策を講じないといけない中で、警察が重要な役割を果たさなければならない」と語った。
ニセ電話詐欺や高齢運転者対策にも力を入れる。
中村氏は1986年入庁。刑事畑が長いが、菅義偉首相が官房長官だった時も含め、2009~15年に官房長官秘書官を務めた。
中村氏を巡っては、ジャーナリスト伊藤詩織さんが2015年、元テレビ記者山口敬之さんから性的被害を受けたとされる事件で、警視庁が準強姦容疑で逮捕状を取った後、当時、同庁刑事部長だった中村氏の指示で逮捕状の執行を見送ったとされる。
これらの経緯に疑問の声があることについて問われると「法と証拠に基づき組織として捜査を尽くした。捜査指揮では常に法と証拠に基づいて適切に判断してきたと考えている。法と証拠以外の他事を考慮し、何らかの捜査上の判断をしたことは一度もない」と強調した。