社会に溶け込んだシリア難民は「残留歓迎」 独首相
【12月14日 AFP】ドイツのオラフ・ショルツ首相は13日、同国社会に十分に溶け込んだシリア難民については残留を歓迎すると述べた。シリアでバッシャール・アサド政権が崩壊したのを受け、極右や保守派はシリア難民の帰還を呼び掛けている。
社会民主党(SPD)に所属するショルツ氏はX(旧ツイッター)への投稿で、「ここドイツで働き、社会に十分に溶け込んでいる人々は、引き続き歓迎される。それは明らかだ」と述べ、「ここ数日のいくつかの声明で、シリア出身の同胞に深い動揺を与えている」と指摘した。
ドイツには、約100万人のシリア人が在住している。多くは2011年に始まったシリア内戦によって引き起こされた2015年欧州移民危機の際にドイツにやって来た人々だ。中にはドイツ国籍を取得した人もいるが、大多数は取得できておらず、送還される可能性が高まっている。
ドイツは9日、アサド政権崩壊を受けてシリア人の難民認定申請の審査を凍結すると発表した。オーストリアやスウェーデンなど他の欧州諸国も同様の措置を取っている。
その後、極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」のアリス・ワイデル共同代表は、ドイツの国境は「閉鎖されており、これ以上受け入れることはない」と述べた。
AfDは、2015年難民危機での突然の移民の流入によって生じた不安を受けて、大きく支持を伸ばした。来年2月の総選挙では第2党に躍進する見込みで、ワイデル氏は首相の座を狙っている。
現在世論調査で1位となっている中道右派政党「キリスト教民主同盟(CDU)」も、シリア難民に帰国を呼び掛けている。
CDUのイェンス・シュパーン議員は、ドイツ政府がシリアへのチャーター機を手配し、「帰国希望者全員」に1人1000ユーロ(約16万円)を支給することを提案した。
ニュース週刊誌シュピーゲルが13日に報じた調査結果によると、シリア人が帰国した場合、ドイツは医療業界を中心に労働力不足に直面する可能性がある。同国ではシリア人医師5758人が働いている。(c)AFP
ドイツのオラフ・ショルツ首相;画像はネットから借用