とおいひのうた いまというひのうた

自分が感じてきたことを、順不同で、ああでもない、こうでもないと、かきつらねていきたいと思っている。

自民党の裏金疑惑         (2024年2月5日) 【追記予定】

2024年02月05日 14時29分15秒 | 政治
白鳥 浩 によるストーリー • 2 時間(2024/2/5)   現代ビジネス

今の日本政治は未曽有の危機にある。折からの自民党の派閥を巡る「政治とカネ」の問題により、国民の政治不信は頂点に達している。

かつてこれほどの危機にあったのは、「昭和のロッキード事件」「平成のリクルート事件」など、数えるほどしかない。つまりこの危機的な状況を生み出した「政治とカネ」の問題は、それらに匹敵する「令和のリクルート事件」といってもよい。

いや、考えてみれば「平成のリクルート事件」よりもさらに状況は「悪化」している。というのも、平成のそれは現職閣僚の更迭までには至らなかったが、今回の問題では、政権ナンバー2の官房長官も含めて安倍派の閣僚が4人も辞任するという大きな事態となっているからだ。

「菅 vs 麻生」のバトルが激化し、自民党は「焼け野原」に…「ポスト岸田」を次々につぶす岸田総理の「恐ろしすぎる思惑」© 現代ビジネス

「立件されたら解散」の流れ

しかし日本政治を揺るがすこの事態を前にして、結局、最も「トク」をしたのは岸田文雄首相だと言えるだろう。それを示すためにも、ここで一度、最近の首相の動きを整理しておこう。

1月18日、岸田首相は宏池会(岸田派)の解散を検討していると表明した。すでに昨年の12月7日に派閥の会長からは退いていたが、岸田派も立件されるに及んだために踏み切ったのだろう。おそらく翌19日に予定されていた安倍派と二階派の会合の前に、ある種抜け駆け的に表明して、両派の「機先を制する」意図もあったと考えられる。

この解散表明の影響は大きかった。これにより、「立件された派閥は解散する」という流れが事実上形成され、それに押される形で19日には安倍派、二階派の解散も決定された。その効果は内閣支持率にも如実に表れている。

以前から岸田内閣の支持率は低迷していたが、こうした動きを評価したのか、1月のFNN・産経合同世論調査では、前月と比較して支持率が5ポイント回復。各種調査でも、「派閥解散を支持する」が「支持しない」を大きく上回っている。

本来であれば「政治とカネ」の問題を追及されるべき政党の総裁であり、かつ裏金問題が明らかになった派閥の領袖だったにもかかわらず、最も窮地に陥るはずの首相が一定の評価を得ていたことになる。

こうしてみると、やはりこの一連の「政治とカネ」の問題で、最も「トク」をしていたのは、他ならぬ岸田首相本人ということができるだろう。

自民党は「焼け野原」になった

以上のような動きは、結果として、党内でも弱小の「第四派閥」出身であった岸田首相が、他の派閥も解体される方向へ世論を誘導したと考えることはできないだろうか。

領袖を失った最大派閥の安倍派をはじめ、自分に敵対する可能性のある他の派閥を解散させられれば、もはや党内の「数の力」に怯えることはなくなる。そういった側面から見れば、この岸田首相の動きは、特定の意図に基づいたものといえるだろう。

「菅 vs 麻生」のバトルが激化し、自民党は「焼け野原」に…「ポスト岸田」を次々につぶす岸田総理の「恐ろしすぎる思惑」© 現代ビジネス

そもそも自分の派閥が立件されるや否や、自らの「派閥」を解散することで、本来であれば「政治とカネ」の問題であったものを「派閥」の話へと論点をズラすことで、それ以上追及させないことに成功した。

特に岸田氏自身が宏池会の領袖であった期間の「裏金」についても、派閥そのものを解消することでうやむやになった感があり、「自らの責任を回避」できた。あるいは、すでに派閥を離脱しておりメンバーではない岸田氏が、岸田派解散への流れを作るということ自体がおかしな話であり、最初から責任回避のための「偽装離脱」だったのではないかと疑われても仕方ないだろう。

また同時に、最大派閥の安倍派や非主流派の二階派を解散させることで、秋の総裁選に出馬しそうな対立候補をつぶし、言ってみれば「焦土作戦」を成功させたといえる。内閣支持率がいかに低迷したとしても、対立する可能性のある派閥を解散させて総裁の地位さえ盤石にしておけば、再選されるのは間違いない。

くわえて今のように自民党に逆風が吹く状況であれば、だれも次期総裁の候補者として積極的に声を上げないだろう。そして総裁だけが持つ公認権を武器にすれば、党内で岸田氏に対立する動きは見せにくくなり、権力はますます総裁に集中して、さらに政権を継続できる可能性は高まる。

まるで「焼け野原」となった自民党の総裁になっても利はないうえ、そもそも派閥が「焦土」と化しては対立候補も出現しない。かくして、岸田首相の「焦土作戦」は成功することとなる。

「菅 vs 麻生」のバトルが激化し、自民党は「焼け野原」に…「ポスト岸田」を次々につぶす岸田総理の「恐ろしすぎる思惑」© 現代ビジネス

「岸田小劇場」の開幕

現在では「派閥」というものは、国民から自民党に特有のものとして捉えられているむきもある。そのため「派閥」が議論の焦点になると、必然的に報道は自民党の話題だけに集中することとなり、ここに派閥を巡る「正義の派閥解散」側と「悪の派閥維持」側という劇場型政治、すなわち「岸田小劇場」が開幕する。

なお「“小”劇場」としたのは、岸田氏がこの状況をどこまで意図していたか不明であり、また小泉純一郎氏、小池百合子氏といったカリスマ政治家が「国民」に向けて劇場型政治を展開したのに対して、パフォーマンスが必ずしも上手ではない岸田氏は、自民党内で「ポスト岸田」を出現させないために「自民党議員」を対象にしていると考えられるからだ。


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