日本銀行の植田和男総裁は19日に開いた金融政策決定会合後の記者会見で、マイナス金利解除後の金利の引き上げペースについて、「仮に今後引き上げるにしても、ゆっくり進めていく」との見解を示した。その理由について、「日本経済全体が二十数年ゼロ金利、その周辺の金利に漬かっていた状況で、急激に金利が上がると予期せぬ混乱が起きないともかぎらない点を意識した」と述べた。
植田総裁は、追加利上げについて「急激な(金利)上昇は避けられる」との見通しも示した。
日銀は同日の金融政策決定会合で、賃金と物価がそろって上がる好循環の実現が見込めると確認し、大規模な金融緩和策の柱であるマイナス金利政策の解除を決定。短期金利をマイナス0・1%から0・1ポイント以上引き上げ、0~0・1%に誘導する事実上のゼロ金利政策に移行する。
また、現在は1%を上限のめどとする長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)の撤廃も決めた。
日銀がマイナス金利政策解除決定、利上げは17年ぶり 正常化に向け大転換
2024/3/19 産経新聞
日本銀行は19日の金融政策決定会合で、賃金と物価がそろって上がる好循環の実現が見込めると確認し、大規模な金融緩和策の柱であるマイナス金利政策の解除を決めた。政策金利の引き上げは平成19年以来17年ぶり。日銀は約11年に及んだ大規模緩和策の正常化に向けて、大きな転換点を迎えた。
マイナス金利の解除により、短期金利をマイナス0・1%から0・1ポイント以上引き上げ、0~0・1%に誘導する事実上のゼロ金利政策に移行する。
長期金利を「ゼロ%程度」に誘導し、現在は1%を上限のめどとする長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)も撤廃するが、金利急騰時には利回りを指定して国債を買い入れる「指し値オペ」などで金利を抑える方針だ。
春闘が追い風
市場を安定させる目的で続けてきた上場投資信託(ETF)や上場不動産投資信託(J-REIT)の新規購入は停止する。
日銀はマイナス金利解除の判断に際し、令和6年春闘を「大きなポイント」(植田和男総裁)と位置付けていた。
連合が15日公表した平均賃上げ率は33年ぶりの高水準となる5・28%を達成した。焦点とされた中小企業も4・42%と32年ぶりの高い水準となり、判断の追い風となったもようだ。
植田氏は19日午後に記者会見し、判断の理由や今後の金融政策運営の考え方について説明する。(宇野貴文)
日銀・植田総裁が会見 マイナス金利を解除(2024年3月19日)
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