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イスラエル軍のガザ攻撃で「今世紀類をみない」民間人死者数の背景:米・イスラエル・メディアが分析

2023年12月12日 15時12分25秒 | 戦争

イスラエル軍のガザ攻撃で「今世紀類をみない」民間人死者数の背景:米・イスラエル・メディアが分析

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川上泰徳中東ジャーナリスト
 
イスラエルのガザ攻撃で増え続ける民間人の犠牲(写真:ロイター/アフロ)

イスラエル軍によるガザ攻撃での民間人の死者があまりに多すぎるという指摘が11月下旬に米ニューヨーク・タイムズが検証記事を出し、12月9日にはイスラエルの有力メディアのハアレツも問題視する検証記事を出した。イスラエルのネットメディア「+972」の調査報道がイスラエル軍が生成AIによる標的生成システムで自動的に多くの攻撃目標をつくっていることの問題点も指摘されており、イスラエル軍の「今世紀類をみない」破壊的攻撃にメディアからの圧力が強まっている。

 9日付のハアレツ紙の検証記事は「イスラエル軍はガザでの自制を失い、前例のない殺戮がデータで明らかに」という見出しで、2012年以降の11年年間のイスラエル軍によるガザ空爆を比較して、今回のガザ攻撃で、イスラエル軍が発表している死者全体のうちの民間人の死者が占める割合が突出して高いことを指摘している。

 記事では「イスラエルに対する国際的な連帯の表明が消え、イスラエル軍によるガザ地区での無実の民間人の死者数の多さに批判が高まり始めた」と始まり、11月25日付の米ニューヨーク・タイムズ紙の記事「イスラエル軍の集中攻撃の下で、ガザの民間人の殺害は記録的な増加を示している」という記事を挙げている。

■「今世紀に入ってからほとんど前例がない」

 まず、このNYTの記事を見てみよう。

 記事ではイスラエルがガザ地区での民間人の死を「現代の紛争では避けられないと位置づけ、かつて米国自身がイラクとシリアで行った軍事作戦でも多大な人的犠牲が出た」と米国の過去の戦争で民間人の犠牲を正当化しようとしたことについて、NYTが軍事専門家にインタビューしたところ、「ガザから報告された死傷者数を控えめに読んでも、イスラエル作戦中の死者数の増え方は今世紀に入ってからほとんど前例がない」と語ったという。

 米軍はイラク、シリア、アフガニスタンでのアルカイダや「イスラム国(IS)」などへの攻撃を主導し、多くの民間人を殺害したことは国際的な人権団体に批判されているが、「(イスラエル軍による)ガザは、米軍攻撃が最も殺人的だった時と比べても、より急速に民間人の殺害数が増えている」と書き、「ガザでこれまでに報告されている死者数の多さと、そのほとんどが女性と子供であり、死者数の増え方の速さに驚いている」とする。

 NYTの記事の冒頭にはガザ保健省が発表した死者数をグラフとして示し、11月22日の時点で、死者総数が1万4000人を超え、そのうちの1万人人が女性と子供となっている。

■女性・子供の死者が69%となる割合の異常さ

 記事では、2008年-09年、2014年、2021年の過去3回のイスラエル軍のガザ攻撃での、国連人道問題調整事務所(OCHA)による女性・子供の死者の統計と、今回のガザ保健省の女性・子供の死者数をグラフ化して比較している。

 

ニューヨーク・タイムズ紙に掲載された過去3回のガザ攻撃と今回で、ガザの死者の総数に対する女性と子供の死者の割合を示したグラフ。今回が突出していることが分かる。
ニューヨーク・タイムズ紙に掲載された過去3回のガザ攻撃と今回で、ガザの死者の総数に対する女性と子供の死者の割合を示したグラフ。今回が突出していることが分かる。

 

 ガザ保健省はハマスの支配下にあるが、その死者集計についてNYTの記事では、「ガザ保健省と共に作業をしている外国人専門家は、死者数は病院や遺体安置所から集められるもので、死者の名前と身分証明書番号、個人的な特徴などが記されている。個別の空爆による死者についても保健省から発表される死者数は正確であることが証明されている」と保健省の死者数が信頼できることを記述している。

(中略)

以上のようなニューヨーク・タイムズ、ハアレツ、+972マガジンによる今回のイスラエル軍によるガザ攻撃の検証記事を読むと、ガザの民間人に考えられないような犠牲がでているのは、次のような要因が見えてくる。

①都市の人口密集地で、多大な巻き添え被害を出す超大型爆弾の使用
②高層ビルや公共施設などの「有力標的」の攻撃で民間人の巻き添えを減らす配慮の欠如
③生成AIによる膨大な標的設定で攻撃に追われ、民間人保護の人的対応が欠落

 この3つの要因の根底に、ハマスの越境攻撃の後、ネタニヤフ首相が「敵は過去に例のない代償を払うことになる」という戦争宣言から始まり、ガラント国防相の「我々は人間の顔をした動物と戦っている」というようなイスラエルの指導者の言葉があり、民間人を攻撃しないという国際人道法に基づく軍の抑制や自制を失わせていることになる。

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中東ジャーナリスト

元朝日新聞記者。カイロ、エルサレム、バグダッドなどに駐在し、パレスチナ紛争、イラク戦争、「アラブの春」などを現地取材。中東報道で2002年度ボーン・上田記念国際記者賞受賞。2015年からフリーランス。フリーになってベイルートのパレスチナ難民キャンプに通って取材したパレスチナ人のヒューマンストーリーを「シャティーラの記憶 パレスチナ難民キャンプの70年」(岩波書店)として刊行。他に「中東の現場を歩く」(合同出版)、「『イスラム国』はテロの元凶ではない」(集英社新書)、「戦争・革命・テロの連鎖 中東危機を読む」(彩流社)など。◇連絡先:kawakami.yasunori2016@gmail.com

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1956年 1月14日 -  長崎県 出身、1981年 大阪外国語大学 アラビア語科卒業後、 朝日新聞社 に入社。 初任地は 高知 支局


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