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【個別掲載】:山中伸弥による新型コロナウイルス情報発信    なぜ2回接種が必要なのでしょうか? 2021/3/2

2021年03月04日 12時09分51秒 | 感染症

山中伸弥による新型コロナウイルス情報発信

なぜ2回接種が必要なのでしょうか?

2021/3/2

臨床試験の結果を報告した論文等を読みましたが、現時点での私の理解は、「2回接種を前提として臨床試験が行われたので、1回接種によるデータがないため、2回接種しか厚労省により承認されていない」となります。

ファイザーとビオンテック社は、当初、2種類のワクチン(BNT162b1とBNT162b2)を開発し、小規模の臨床試験を行いました。
Safety and Immunogenicity of Two RNA-Based Covid-19 Vaccine Candidates | NEJM
この臨床試験においては、両ワクチン候補とも3週間間隔で2回接種されており、2回目接種後7日後(1回目接種後28日後)において、感染して回復した人と同程度、もしくはそれ以上の中和抗体(感染を防ぐ力のある抗体)量が確認されています。副反応の比較的少ないBNT162b2が、大規模臨床試験へと進みました(図1)。1回接種のみで中和抗体がどれくらい出来るかの長期観察は行われていません。
BNT162b2は、その後の大規模臨床試験
Safety and Efficacy of the BNT162b2 mRNA Covid-19 Vaccine | NEJM
において、2回接種により新型コロナウイルスの発症を95%抑えるという高い効果が報告されています。
この大規模臨床試験においては、1回接種のみの効果は50%であったと報告されています。しかし、この解釈には1回目接種直後の感染例も含まれています。ワクチン接種後に免疫が獲得されるまでは10日程度かかると考えられます。データを見ると1回目接種後10日目以降は、感染者の発生は抑えられているように見えます(図2)。
イギリス公衆衛生局は、1回目接種後の14日後から2回目接種を行う21日後までや、2回目接種を21日目に行った場合でもその効果が出現しないと考えられる28日までのデータを見ると、1回接種であっても90%程度の有効性が示されているとしている。
イギリス公衆衛生局の報告

さらに世界でいち早くBNT162b2ワクチンの接種を進めたイスラエルからの報告(Lancet誌)によると、1回接種後15日目から28日目において、85%の効果があったと報告しています。

現時点で言えることは、ファイザーのワクチンは1回接種でも効果のある可能性はあるが、臨床試験のデータが無く、日本では2回接種のみが厚労省から承認されている、となります。

アメリカで緊急承認されたジョンソンエンドジョンソン社のワクチンは、臨床試験の論文
Interim Results of a Phase 1-2a Trial of Ad26.COV2.S Covid-19 Vaccine - PubMed (nih.gov)
をみると、1回接種と2回接種の両方が検討されています。1回接種後の29日目、57日目、71日目と中和抗体を測定していますが、1回接種のみでも、感染して回復した方に近い中和抗体ができています。この結果から同社は、1回接種でアメリカ食品医薬局から緊急承認を得ています。
一方、57日目に2回目の接種を行うと、71日目において中和抗体はさらに上昇し、感染から回復した方を上回っています。2回接種の方が効果はより高いようです。


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