コロナ対策の抜本的見直しを求める科学者からの緊急提言
緊急メッセージ「直ちに人々の接触機会を減らせる施策を」
(1月11日に以下の緊急メッセージを首相事務所などに送りました。記者向け説明会の動画と参考資料のリンクが末尾にあります。)
・新型コロナウイルス感染症の急激な拡大に対して、1日でも早く、人々の接触機会を減らすことのできる施策が必要である。
・その一つは、直ちに緊急事態宣言を発出することである。もちろん、宣言を出すことが施策のすべてではない。
・オミクロン株では死亡率・重症化率はある程度下がる可能性もあるが、感染拡大がそれを上回りつつある。そうならないための対策をとるべきである。また、後遺症の影響とその時間軸は依然として不透明である。したがって、感染自体を抑制することが引き続き極めて重要である。
・感染から重症・死亡にいたるまでに時間差があり、年齢によって死亡率・重症化率が異なることはすでにわかっていることである。感染が急拡大しつつあって若い層の患者の割合が多い現時点での死亡率・重症化率は、対策をとらない理由にはならない。
・感染拡大が急激なオミクロン株の場合、死亡率・重症化率がある程度下がったとしても、接触機会削減に取り掛かるのに要する数日の差が、後の重症者数・死亡者数を何倍も変えてしまうおそれがある。従来の延長で捉えると推移を見誤るおそれがある。
・軽症者を把握しないと、むしろ感染者を急増させ、重症者が増えるリスクが高まる。さらに、医療者に陽性者が増えると、医療者不足による医療システムの機能が低下する危険性がある。したがって、スクリーニング検査と感染者の早期発見は今後も重要になる。そのために、PCR検査の拡充と確実な実行が求められる。
・感染を抑え込んだ後に感染者がいないグリーンゾーンエリアを維持する体制を構築する必要がある。そのためにも海外からの感染者の流入を防ぐことは不可欠であり、PCR検査とホテル隔離により水際対策を強化する必要がある。米軍を通じた感染拡大も防がなければならない。
・陽性者数が減少した2021年末においても、多くの都道府県では感染経路不明率は高いままであった。これは1m以内、15分以上という接触・飛沫感染を前提とした「積極的疫学調査」の限界である。感染力の強いオミクロン株の蔓延を防ぐには、空気感染を前提に、より幅広く追跡、検査、保護できるよう「積極的疫学調査実施要領」を改訂すべきである。市民への「高機能マスク」の「適切な装着」を啓蒙する必要もある。
(記者向け説明動画・資料)