反対多数にもかかわらず…

岸田文雄政権が閣議決定した安倍晋三元首相の「国葬」について、報道各社が行った世論調査は「反対」「評価しない」との意見が多数を占める事態になっている。実施しても国民の多くから支持されず、残念な結果となる可能性が高いのではないか。

弔意を表すことに異論はないだろう。だが、8年8カ月に及んだ長期政権を振り返れば、一方的な憲法解釈の変更による安全保障関連法の制定、まったく成果を上げなかった北方領土交渉、北朝鮮による拉致問題などに加え、モリカケサクラといった政治の私物化への批判は止むことがない。

予定される「国葬」は9月27日、日本武道館で実施される。内閣法制局の「憲法関係答弁例集(天皇・基本的人権・統治機構等関係)」(2017年10月)によれば、「国葬とは『国の意思』により、『国費』をもって、『国の事務』として行う葬儀をいう」(『』は筆者)とされ、3つの要件を定義している。

閣議決定によると、安倍氏の国葬は「国において」「国費を支弁」して行うとあり、「国の意思」を除く2要件は説明している。これは戦前の国葬令が無効化された後、唯一国葬となった吉田茂元首相の場合の閣議決定と変わりない。

「国の意思」については、後述するとして、必要とされる国費について、政府は9日の野党合同ヒアリングで「警備費を除いて2億円弱」と説明した。時代が違うとはといえ、吉田氏の国葬約1804万円と比べ約10倍だ。

歴代首相の葬儀にかかった国費(衆院法制局の資料より) 拡大画像表示© 現代ビジネス 歴代首相の葬儀にかかった国費(衆院法制局の資料より) 拡大画像表示

ただ、その後、内閣・自民党合同葬儀となった橋本龍太郎、宮澤喜一、中曽根康弘各氏らの国費負担分が約5割で約7500~8300万円だったのと比べて、飛び抜けて高額とはいえない。ただし、今回は10割負担だ。

インターネット版「女性自身」は、昭和天皇の大喪の礼では警察官3万2000人が動員され、当時の警備費用は24億円だったこと、また、今上天皇の即位礼正殿の儀では警察官約2万6000人が導入され、警備関係費用としては28億5000万円がかかったことから、武道館の借料、献花などを合計すると、少なく見積もって総額36億5500万円になるという試算を示している。

明治憲法下の国葬は、神道形式で実施された。吉田氏の場合、本人はクリスチャンだったが、無宗教形式が採用され、安倍氏も無宗教形式で行われることになっている(緒方林太郎衆院議員の質問主意書に対する8月15日の答弁書)。

弔意が強制されるのか?

国葬の当日、何か強制されるのだろうか。

吉田氏の国葬に際し、政府は、弔旗掲揚、黙祷、半休、行事の自粛を各役所、学校、会社に対して求めたのに対し、安倍氏の国葬の場合、弔旗掲揚、黙祷は「検討中」、半休、行事などの自粛は「考えていない」と回答(中谷一馬衆院議員の質問主意書に対する8月15日の答弁書)しているが、何ともあいまいだ。

安倍氏国葬の当日、国民が喪に服すよう求められるとすれば、憲法19条が保障する「内心の自由」を侵すことになりかねず、それゆえに「検討中」なのだろうか。

吉田元首相などとの「葬儀のあり方」の比較(衆院法制局の資料より) 拡大画像表示© 現代ビジネス 吉田元首相などとの「葬儀のあり方」の比較(衆院法制局の資料より) 拡大画像表示

国や地方の公務員も日本国民である以上、「内心の自由」を制限されることはないはずである。しかし、最高裁は「君が代」を起立斉唱しなかった学校教師(地方公務員)に対する判決で、「職務命令」による「思想良心の自由」に対する間接的制約について、制約の必要性・合理性が認められるとして憲法19条違反にはあたらないとの判断を示している。

「検討中」とされる弔旗掲揚、黙祷について、最終的に政府が「実施」に踏み切るとすれば、政府機関はもとより、都道府県庁、市町村役場、公私立学校、会社が一斉に半旗を掲げ、一斉に黙祷することになり、教師が黙祷すれば、学生・生徒・児童も自己の意思とは無関係に弔意を表すよう求められるのは確実だろう。

結局、政府による弔意の強制はすべての国民に向けられ、安倍氏の死去を悲しみ、哀悼の誠を捧げるよう迫られるのではないだろうか。

あいまいな法的根拠

そもそも法的根拠もなく、閣議決定だけで国葬を決めてよいはずがない。

岸田首相は内閣府設置法4条3項33号に内閣府の所掌事務として国の儀式に関する事務に関することが記されており、国葬は行政権に含まれると主張する。

18日に行われた立憲民主、共産、れいわ新選組、社民などの野党合同ヒアリングで衆院法制局が示した資料によると、法学の世界では「法律の根拠がなくても行政権は発動できるのか」との問いに対し、国民の権利を制限し、義務を課すような場合は必ず法律の根拠が必要だが、それ以外の事項については必ずしも法律へは必要ではないという考え方の「侵害留保説」がある。岸田政権はこの説を根拠にしているようだ。

必ずしも国民の権利義務に関係しないような事項でも、国家にとって重要な意思決定、あるいは国民にとって重大な関心のある事項については法律の根拠が必要とする「重要事項留保説」や全ての行政の活動には、その根拠となる法律の規定が必要とする「全部留保説」は見向きもされなかったことになる。

透明性がないままの決定

岸田首相は安倍氏の国葬を発表した7月14日の記者会見で次の通り述べた。

「安倍元総理におかれては、憲政史上最長の8年8か月にわたり、卓越したリーダーシップと実行力をもって、厳しい内外情勢に直面する我が国のために内閣総理大臣の重責を担ったこと、東日本大震災からの復興、日本経済の再生、日米関係を基軸とした外交の展開等の大きな実績を様々な分野で残されたことなど、その御功績は誠にすばらしいものであります。

外国首脳を含む国際社会から極めて高い評価を受けており、また、民主主義の根幹たる選挙が行われている中、突然の蛮行により逝去されたものであり、国の内外から幅広い哀悼、追悼の意が寄せられています。

こうした点を勘案し、この秋に国葬儀の形式で安倍元総理の葬儀を行うことといたします。国葬儀を執り行うことで、安倍元総理を追悼するとともに、我が国は、暴力に屈せず民主主義を断固として守り抜くという決意を示してまいります。あわせて、活力にあふれた日本を受け継ぎ、未来を切り拓いていくという気持ちを世界に示していきたいと考えています」

安倍元首相の国葬を発表する岸田文雄首相[Photo by gettyimages]© 現代ビジネス 安倍元首相の国葬を発表する岸田文雄首相[Photo by gettyimages]

ここから読み取れる国葬3要件のうちの「国の意思」は以下の通りだろう。

(1)憲政史上最長の8年8カ月、首相を務めたこと、(2)各分野で大きな実績を残したこと、(3)国際社会で高い評価を得たこと、(4)選挙中の蛮行により死去したこと―。

(1)は定量的な基準であり、(2)~(4)は定性的な基準といえる。国葬はこれらを組み合わせた「総合的な判断」であり、抽象的といわざるを得ない。

そのような判断を1人の公明党出身閣僚を除けば、安倍氏と同じ自民党出身の閣僚20人程度が集まる閣議で決めて公平性・透明性が担保されたとは到底、思えない。

「国の意思」が恣意的にならないようにするには、より客観的な評価が必要である。

例えば、文化功労者の選定は「文化の向上発達に関し特に功績顕著な者」(文化功労者年金法1条)について、30人以内で構成される文化審議会が選考した候補者の中から文科相が決定する。文化勲章は文化勲章令にもとづき、文科相が文化審議会に設置された文化功労者選考分科会に属する委員全員の意見を聴いた上で候補者を首相に推薦し、閣議で決定する。

上記のような第三者による判断が不可欠なのではないだろうか。

国葬を決定した第一次岸田内閣の面々[Photo by gettyimages]© 現代ビジネス 国葬を決定した第一次岸田内閣の面々[Photo by gettyimages]

野党は18日、国葬や元統一教会の問題、物価高、新型コロナウイルス「第7波」などについて、質疑が必要だとして憲法53条に基づく、臨時国会の招集要求書を衆参両院議長に提出した。当然である。

日本国憲法に基づけば、内閣が行政権を執行する(65条)のは当たり前としても、内閣は国会に対して連帯責任(66条3項)を負う。一方、国会は国権の最高機関(41条)であり、全国民を代表する組織(43条)であって、衆参両院には行政監視機能(62条)がある。

これらの条文に照らせば、内閣の意思決定課程に国会が関与することが求められている。国葬をめぐる国会審議は不可欠だろう。

ソース画像を表示【参考】半田滋:画像はネットから借用 1955(昭和30)年栃木県宇都宮市生まれ。下野新聞社を経て、1991年中日新聞社入社、現在まで東京新聞編集局社会部勤務。1993年防衛庁防衛研究所特別課程修了。1992年より防衛庁取材を担当し、自衛隊の権限や活動について、新聞や月刊誌に論考を多数発表している。)

西村康稔経産相は安倍派の後継候補でも…自己アピールとパワハラ体質で良いところなし

日刊ゲンダイDIGITAL 2022/08/20 06:30
(抜粋)
「「肩書は安倍派事務総長ですが、とにかく人望がない。安倍元首相が銃撃された際、搬送先の病院にいち早く駆け付け、最期を看取り、葬儀では弔問客の対応を遺族の傍らで仕切っていた。一応、『事務総長だから』という理屈は通りますが、後継をアピールするような露骨な動きに、派閥幹部の中には『あいつは何様なんだ』と面白く思わない人もいたといいます」(自民党関係者)」

紀藤弁護士「悲しくなった…」 旧統一教会と萩生田氏は「かなり上のレベルで関わり」

東スポWeb 2022/08/19 21:45

全国霊感商法対策弁護士連絡会の紀藤正樹弁護士が19日、BSフジ「プライムニュース」に出演。世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の関連施設を訪れていたことを認めた自民党の萩生田光一政調会長について言及した。

萩生田氏は参院選公示前の6月中旬、旧統一教会の施設を生稲晃子氏と訪問。18日のぶら下がり取材で「地元の支援者の中に(団体の)会員がいて、その縁で訪問した。生稲氏は施設のことは知らなかった」と説明し、旧統一教会の霊感商法などの問題には「正直申し上げて、統一教会の昭和の時代の関連商法のことなどは承知をしておりました」「今はそういうことはないと認識していたが、思いが足りなかったと反省している」と釈明した。

この発言に紀藤氏は「悲しくなった」と指摘。「なぜかと言うと、昭和の時代に霊感商法をやっていたというのを知ってたと言われたんです。知ってたんだったら、どうしてその後調べないのか。そもそも彼は昭和の時代はまさに大学生。私も同時期に大学に通ってた。そのころ、統一教会の霊感商法っていうのは、大きな問題で新聞でも大きく報道されていた」と追及した。

さらに、紀藤氏は萩生田氏と社会に出た時期も同じだとし「『あまりにひどい事件がいまだにあるんだな』と思っているうちに、1992年の合同結婚式騒動があって、桜田淳子さんが出るっていう話になった。1995年はオウム真理教事件ですよ。そのころは(萩生田氏が)八王子で議員をされてた。霊感商法がそのままなかったように思われるのは、いくらなんでも違うんじゃないかなと思う」とぶ然を言い放った。

また政治家と旧統一教会のかかわりについては〝うっかり型〟〝確信型〟〝悪意型〟などさまざまな段階があると分析。その上で萩生田氏は「かなり上のレベルで関わってらっしゃるんじゃないか。この話を聞けば聞くほど、統一教会の問題性を認識しながら付き合ってたんじゃないか?と。その関係がなかなか切りにくいので(関わり続けた)」と勘ぐった。

萩生田氏は会見で、今後については「一線を画す」と語っているが、紀藤氏は「それは違うと思う。岸田首相も悪質性に気づけば『決別宣言』なり『厳正な対処』になるはず。このコメントが求められているはずだが、その『対処』のところもあいまいにされてる。ですので、統一教会の悪質性とか反社会性についてまだ認識が甘いのか? 逆に考えるとむしろ容認されてるのか?と思うぐらい、このコメントに悲しくなりました」と私見を述べた。(赤字は管理人)

紀藤弁護士 に対する画像結果.サイズ: 182 x 170。ソース: news.goo.ne.jp(画像はネットから借用

統一教会元信者 萩生田さんは、定期的に、創始者の文先生と韓鶴子氏の写真がある礼拝堂にわざわざ来てくれたのに「知らない」というのは理解できない #ミヤネ屋

「身の丈」萩生田文科相、今度は「幸福の科学に便宜」「ワイロ遊び」

国内 政治

“大学入試英語民間試験”の旗振り役だったのに“身の丈発言”で墓穴を掘った萩生田光一文科相(56)。

 さらに近頃は、

「大学認可の季節がやってきて、幸福の科学との関係が再び喧伝されるようになってしまいました」(政治部記者)

 一体どういうことか。

「幸福の科学は、2014年に『幸福の科学大学』を設立しようと申請したものの、文科省に“不可”とされた。これに教団は弁明請求書なるものを提出して反論を試みたのですが、その中に、萩生田さんが幸福の科学と文科省の間で仲介人として動いていたとの記述があったのです」

 11月13日には、所管大臣として「幸福の科学大学」などの認可を大学設置・学校法人審議会に諮問した萩生田氏だが、

「ここで一転認可となれば、また“便宜を図ったのでは”などと騒がれるのは目に見えています」

 外に憂い多しとなれば、せめて身内とよろしくやりたいところ。もっとも、その辺りは抜かりないようで、文科省関係者によれば、

「あるとき、萩生田さんが国会詰めの文科省職員にお菓子を差し入れたそうなんです。その際、箱の下に1万円札をしのばせて“これで一杯やってください”なんて“ワイロ遊び”をやっていたという話を聞きました。実際にお金は渡さなかったでしょうが、当時、ちょうど問題になっていた関電の金品受領に引っかけて、大臣もドヤ顔だったとか」

 事務所関係者に尋ねると、

「遅くまで残っている職員に宅配ピザや頂き物のお菓子の差し入れをしたことはありますが、遊びでもお金を渡したりしたことはありません」

 外に内にと“妙な気苦労”が絶えない大臣の幸福の科学。

週刊新潮 2019年12月5日号掲載

安倍氏死去で半旗掲揚「政治的行為でない」 市教育長、教育基本法への抵触否定

配信  河北新報

仙台市教委が安倍晋三元首相への弔意を表す半旗掲揚を全市立学校に求めた問題で、福田洋之教育長は19日、市議会市民教育委員会で「政治的行為とは認識していない」と述べ、学校での政治的活動を禁じる教育基本法に抵触しないとの考えを示した。

 市教委は総務局から半旗掲揚の依頼を受け、7月11日付で各校に通知を出した。福田教育長は「半旗掲揚は政治的行為でなく、市として弔意を表す行為だ」と強調した。

 議員からは賛否の意見が出された。鈴木澄恵氏(市民フォーラム仙台)は「政治家への弔意表明は政治的行為ではないのか」と疑問視。古久保和子氏(共産党市議団)は「市教委は通知に強制力がないと主張するが、学校側の受け止めは違う」と批判した。

 一方、田村勝氏(せんだい自民党)は「半旗掲揚への反対意見が政治的圧力だ」と主張。猪又隆広氏(自由民主党)は「半旗掲揚は当然だが、学校現場で混乱もあった。掲揚の基準をもっと明確化するべきだ」と述べた。  総務企画委員会では、庶務課の担当者が半旗掲揚の報道があった3日から18日までに、電子メールや電話などで計145件の意見が寄せられたと報告。大半は半旗掲揚を疑問視する意見だったという。

ひろゆき氏「自民党の政治家は何も出来なくなる」旧統一教会との関係の深さ

 デイリースポーツ 2022/08/20 12:25

実業家のひろゆきこと西村博之氏が20日、自身のツイッターを更新。「自民党の政治家は大したことも言えず何も出来なくなる」と、自民党と旧統一教会との関係の深さを指摘した。

 ひろゆき氏は、ジャーナリストの有田芳生氏が、信者の証言として自民党の萩生田光一政調会長とは30年前から繋がりがあったと明かしたという記事を引用。「自民党の政治家が『統一教会との関わりを切る』とか『統一教会を調査します』とか言い出すと、統一教会から過去の繋がりやらを暴露される事になる」とつづった。

 その上で「結果として、自民党の政治家は大したことも言えず何も出来なくなる」と指摘。「こういう関係を作り上げた統一教会の幹部は頭良いんですよね、、、」と、皮肉交じりにつづっていた。