都内の新築マンション平均価格は「1億円越え」、一体誰が買っている!?…森永卓郎さんが「普通のサラリーマン」に不動産投資をおすすめしなかった納得のワケ 森永 卓郎(経済アナリスト・獨協大学経済学部教授)
今年1月28日、経済アナリストの森永卓郎氏が死去した。
原発不明がんと闘いながらも、亡くなる直前までメディアに出演し続け、世界経済の行方に多くの警鐘を鳴らしてきた。
「AIバブルは崩壊する…」「日経平均はこれから大暴落する…」
彼がこう語った背景には一体何があるのか。そして残された私たちは、この先行き不透明な社会をどう乗り越えていくべきなのか。激動の時代を生き抜くための戦略と覚悟とは。
森永卓郎氏と、息子の康平氏がいまの日本のさまざまな病巣についてガチンコで語り合った魂の一冊『この国でそれでも生きていく人たちへ』より一部抜粋・再編集してお届けする。
『この国でそれでも生きていく人たちへ』連載第26回
『投資も結局は「ギャンブル」にすぎない!?…森永卓郎さんが最期に「いま投資をしてはならない」と主張した驚きの理由』より続く。
投資は「割安な時」にしなさい
私自身、これまでにいろいろな投資をしてきている。テレビや出版を通じて、「いま買うべき投資商品」をおすすめしたこともある。
だが、投資をおすすめできるのは、それが「割安な時」だけだ。株価が安いときは「株を買え」と言えるし、不動産が安いなら「マンションを買え」と言える。
だが、現在、日経平均はバブル期を超えて史上最高値を更新している。株が割安でないのは一目瞭然だ。
不動産はもっとひどい。「不動産経済研究所」が発表した、2024年8月の東京23区新築マンション平均価格は、1億3948万円。半年ごとの統計でも23区の新築マンション価格は2年連続で1億円を超えている。
これは異常な割高水準だ。
1億円のマンションは誰が買う?
1億円のマンションなど、平均的なサラリーマンには買えない。住宅ローンで借りられる金額は年収の5〜7倍が目安と言われているが、国税庁が発表した「令和4年分民間給与実態統計調査」によると、2022年(令和4年)の平均年収は458万円に過ぎない。1億円のマンションは、平均年収の20倍以上であり、買うのは到底ムリということになる。
では1億円のマンションは、いったい誰が買っているのだろうか。
結論を言うと、「投資家」が「投資目的」で買っているのだ。自分が住むためではなく、キャピタルゲイン(資産価格が上昇したことで得られる利益)を取るのが目的だ。
夫婦ともに高所得者を「パワーカップル」と呼ぶが、彼らは不動産ローンを組みやすいので、積極的にマンション投資をしているケースがある。
そのほか、外国人や、株でぼろ儲けした人などが、投機目的で東京の新築マンションを買っている。
いずれにしても、普通のサラリーマンには買えない価格なので、不動産は割高であり、いま投資すべきでないのは明らかだ。
『「エブリシングバブル」が引き起こす未曽有のインフレ…全てが高騰する「世界経済」に森永卓郎さんが最期に鳴らした「警鐘」』へ続く。