山中伸弥による新型コロナウイルス情報発信
3回ワクチンの必要性
2022/6/19
ファイザーやモデルナ社のmRNAワクチン2回接種は、従来型やデルタ型のウイルスに対して非常に高い感染や発症の予防効果を示し、効果も半年以上継続します。
一方、オミクロン型に対しては2回接種後の効果は弱く、持続時間も短いことが複数の論文により報告されています。例えば、アメリカで約10万人を対象とした解析は、mRNAワクチン2回接種はデルタ型ウイルスの発症を80%程度抑制し、接種後11カ月においても60%程度の効果が持続しているのに対して、オミクロン型に対しては40%程度の抑制効果しかなく、接種後3カ月程度で効果が消失することを報告しています(図1)。
一方、3回接種は、2回接種に比べるとデルタ型ウイルスの発症を約6分の1に、オミクロン型ウイルスによる発症を約3分の1に抑えると報告しています。
イギリスの約250万人を対象にした解析でも、ファイザー社製ワクチン2回接種は、デルタ型ウイルスに対して当初は約90%の発症抑制効果を示し、半年後においても約70%の抑制効果が続くのに対して、オミクロン型に対しては当初より効果が70%弱しかなく、15週後には20%以下に低下することが示されています(図2)。一方、3回目接種によりオミクロン型による発症抑制効果は約70%に増加し、3回目接種後10週目においても50%程度の効果が維持されることが示されています。
イギリス政府は、ワクチンのデルタ変異ウイルスに対する効果に関する情報をその信頼度と共に発信し、毎週更新しています。情報の信頼度を表のように色分けして示しています。2022年6月16日の報告によると、オミクロン株に対するワクチンの効果については証拠がまだ不十分なものが多いとしていますが、3回目接種後6ヶ月以内の発症や入院の抑制効果については、中程度の確からしさであるとしています。3回目接種後3カ月以内の効果は、ファイザー社製、モデルナ社製ともに、発症に対しては65%程度、入院に対しては90%程度であるとしています。
3回目接種後4から6ヶ月においては、ファイザー社製の発症に対する効果は45%と減少するものの、入院に対しては85%と高い効果を維持するとしています。