読売新聞 2024/7/22
【ワシントン=池田慶太】11月の米大統領選で再選を目指していた民主党のジョー・バイデン大統領(81)は21日、再選を断念し、選挙戦からの撤退を表明した。精彩を欠いた6月末のテレビ討論会をきっかけに党内で撤退圧力が強まっていた。大統領選は、バイデン氏と共和党のドナルド・トランプ前大統領(78)による2020年選挙の再現から、トランプ氏と新たな民主党候補が争う構図に替わる。バイデン氏はカマラ・ハリス副大統領(59)を後継として支持すると表明した
バイデン氏は党予備選を圧勝し、8月19~22日にイリノイ州シカゴで開かれる党大会で大統領候補に正式に指名される予定だった。投票を3か月半後に控え、二大政党の候補が撤退するのは極めて異例だ。民主党は後任選びに着手した。
バイデン氏はX(旧ツイッター)に投稿した声明で、「私が選挙戦から撤退し、大統領として残り任期の責務を果たすことに集中することは、党と国家にとって最善の利益になると信じている」と述べ、民主党の勝利のために身を引くと説明した。決断の詳細について今週中に国民に説明するとした。
声明では、銃規制の強化やパンデミックの克服など政権の実績を列挙し、「過去3年半、我々は国家として偉大な発展を遂げた」と述べた。選挙戦に関わった全ての人たちに深い感謝を述べ、ハリス氏の名前を挙げた。
別の投稿では、ハリス氏を副大統領に指名したことは「最善だった」と振り返り、後継として完全に支持すると表明した。「結束し、トランプを打ち負かす時だ」とも強調した。
バイデン氏は6月27日にジョージア州で行われた大統領選の第1回テレビ討論会で、数秒間言葉が出なくなるなど不安定な言動を繰り返し、高齢への懸念が一気に広まった。大統領選撤退を求める世論調査結果が相次ぎ、民主党内からも公然と候補差し替えを求める声が上がった。
バイデン陣営は、6月上旬から中旬に行った欧州外遊による疲れと時差ぼけ、風邪による体調不良が原因だったと釈明し、政権の3年半の実績を訴えて巻き返しを図った。しかし、記者会見などで失言を繰り返し、民主党を支持する著名人や有力献金者からも撤退要求を突きつけられた。17日には新型コロナウイルス感染を公表して選挙戦を中断し、デラウェア州の別荘で自主隔離中だった。