抗体カクテル療法とは何? 有効性、コストは?2021/07/24 7:00)
新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)に対するワクチン接種の進行状況が注目を浴びている中で、これまで思ったように進展してこなかったのが治療薬の開発である。そうした中で厚生労働省は7月19日、中外製薬の新型コロナに対する抗体カクテル療法「ロナプリーブ」を特例承認した。
この薬はすでにアメリカで2020年11月21日に緊急使用許可を取得し、同様の許可はドイツやフランスでも取得しているが、これらはいずれも正式承認前の緊急避難的措置。いわば「仮免許承認」とも言える。正式承認されたのは日本が世界初。新型コロナに対する治療として日本国内で適応を持つ薬剤は、これでようやく4種類目だが、既存の3種類がいずれも中等症以上の重症度で使用されるのに対し、ロナプリーブは条件次第で軽症に使える初の薬でもある。
また、既存の3種類の治療薬である抗ウイルス薬のレムデシビル、ステロイド薬のデキサメタゾン、ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬のバリシチニブはいずれも他の病気の治療を目的に開発されたものの中から、新型コロナに対しても有効という臨床試験データが得られたために効能が追加された通称「ドラッグ・リポジショニング」で生み出されたもの。つまり最初から新型コロナの治療を目的として開発された薬剤としては国内初承認でもあり、「正真正銘の新型コロナ治療薬」とも言える。
ロナプリーブってどんな薬?
今回承認されたロナプリーブは単一成分の薬ではない。医薬品として使用するため人工的に製造した抗体は別名「抗体医薬品」と呼ばれるが、ロナプリーブはカシリビマブ、イムデビマブと呼ばれる2種類の抗体医薬品が含まれる注射薬である。複数の抗体医薬品で行う治療であることから、酒やジュースなど複数の飲料を混ぜて作られるカクテルになぞらえて、この薬を使う治療法は「抗体カクテル療法」と呼ばれる。
そもそもこの抗体はアメリカの製薬企業リジェネロン・ファーマシューティカルズ社が最初に作り出したもので、現在売上高で世界第1位の製薬企業であるスイス・ロシュ社が同社と提携して獲得。ロシュ社の子会社である中外製薬が日本国内での開発・販売ライセンスを取得していた。ちなみに中外製薬は1925年創業の日本の製薬企業だったが、2002年にロシュ社が過半数の株式を取得し、同社のグループ会社になっている。(後略)
菅首相、会見で記者から「棒読み」と「責任」を指摘される。その回答は…
緊急事態宣言の対象拡大と期間の延長を受け、菅義偉首相は8月17日、会見を開いた。記者からは止まらない感染拡大についての首相の「責任」や、たびたび批判されている「棒読み」に関する指摘もあがったが、その答えは噛み合わなかった。【BuzzFeed Japan / 籏智広太】
【画像】「若者は重症化しない」わけじゃない。医師の“まとめ”が話題、伝えたい危機感とは
今回の決定を受け、緊急事態宣言は8月20日~9月12日にかけて、以下の都府県に出される。
現在出されている地域では期限が延長されることになる。
《茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、静岡県、京都府、大阪府、兵庫県、福岡県、沖縄県》13都府県
また、まん延防止等重点措置も同様に、以下の道県が対象となる。期間は宣言と同じだ。
《北海道、宮城県、福島県、富山県、石川県、山梨県、岐阜県、愛知県、三重県、滋賀県、岡山県、広島県、香川県、愛媛県、熊本県、鹿児島県》16道県
責任についての質問も…
菅総理は7月末の記者会見で、「今回の宣言が最後になるような覚悟で」「この波をできるだけ早く収めることが一番の私の責任だ」と述べていた。
しかし感染拡大は止まらず、宣言も拡大、延長となっている。こうした現実について、「総理大臣としての責任を率直に今どのようにお感じでしょうか?」という質問があった。
菅首相はこの「責任」についてたびたび明言を避けている。今回も同じ記者が質問した「出口戦略」や「今後の選択肢」などについて答えはしたものの、「責任」について触れることはなかった。
「新型コロナの長引く戦いの中で、国民の命と暮らしを守る、そのために必要なことを考えた上で、今日まで効果のある対策をピンポイントで行ってきました」 「今般、デルタ株によって、世界中に経験のない感染が広がり、我が国の状況も一変をしました。私としては、国民の生命と安全を守り抜くという覚悟のもとに効果のある対策をやり抜いていくという決意に変わりありません」
「今回、閣僚の間で全国に宣言を出す選択肢についても議論をしました。感染状況や、医療体制には差があり、全国になると、やはり一部の県の皆さんには過剰な規制となってしまう。そうした中で地域ごとに最も効果的な対策を行っていくために、今回の判断になったということであります」
「今後の宣言解除という出口に向かって、医療体制をしっかり構築した上で、重症者を減らす対策、ここは徹底していきたい。また、諸外国のロックダウンについて、感染対策の決め手とはならず、結果的には各国ともワクチン接種を進めることで、日常を取り戻してきていると理解をしてます」
新型コロナという、この非常事態について、今後しっかり検証して、感染症に対するための法整備も含めて、幅広く検討をしなければならない。私はこのように思っております」