現場検証の様子。翌日の現場は、煙で燻されたような匂いが漂っていた ©宮嶋茂樹

 事故原因は不動産仲介会社「アパマンショップ」の従業員が、片付けのため室内で消臭スプレー約120本を噴射し、その後、湯沸かし器点火した際に引火、爆発したものと判明している。

 アパマンショップを展開する「APAMAN」は、公式ホームページで「けがをされた方々の一日も早い回復をお祈りし、関係する皆様に心からお詫びします」と謝罪した。

爆発から一夜明けて、避難所から自宅へと戻る近隣住民。現場周辺では爆発の衝撃で窓ガラスが割れた住戸が少なくないが、これから寒さが厳しくなる中で、その足取りは重い ©宮嶋茂樹

 だが、「アパマンショップ」元従業員は、「あれは起こるべくして起こった事故です」と「週刊文春」に告発する。

「アパマンでは、借主と賃貸契約を結ぶ際に仲介手数料以外に『消臭・抗菌代』などをつけるようノルマが課されています。といっても専門業者が入って作業をするわけではなく、店舗スタッフが消臭スプレーでやる。スプレー缶1本につき、1万800円を請求し、例えば1Kの部屋なら2本分が相場でした」

隣接するマンションでも窓ガラスが割れ、呆然とする主婦 ©宮嶋茂樹

 しかも、本部から直営店に課されたノルマは「付帯率500%」。つまり相場が2本分の部屋なら、10本分の値段をつけるよう求められるようなものだという。

「ただ、本当に契約通りの本数で作業したら床がベチャベチャになるし、そもそも匂いが消えている部屋もあるので、店舗に持ち帰るしかない。私がいた店舗では、それが300本近くも溜まっていた。余っているのを本部社員に見つかると『ノルマはどうした』と怒られるから、定期的に近くの廃墟ビルの屋上で穴開け作業をしていました」(同前)

アパマンショップは跡形もなく吹き飛び、隣の居酒屋も1階部分が倒壊、周辺357平方メートルが焼損した。「イラク戦争のバグダッドを思い出した」(宮嶋茂樹カメラマン) ©宮嶋茂樹

 この元従業員の告発についてアパマンショップに事実関係の確認を求めたが、期限までに回答はなかった。

 12月20日(木)発売の「週刊文春」では、グラビア写真とともに、元従業員によるアパマン企業体質の告発を報じる。

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 【参考】

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