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iPSで国内初のがん治療、千葉大などが治験実施、移植成功 毎日新聞2020年10月22日 16時55分(最終更新 10月22日 16時55分)

2020年10月22日 17時47分31秒 | IPS細胞
千葉大学=千葉市稲毛区で撮影

 人工多能性幹細胞(iPS細胞)から免疫細胞を作り、頭頸部(とうけいぶ)がんの患者に移植する医師主導治験を、千葉大と理化学研究所のチームが始めた。iPS細胞を使ったがん治療は国内で初めて。

 iPS細胞から作るのは「ナチュラルキラーT(NKT)細胞」と呼ばれる免疫細胞。がんを攻撃するほか、他の免疫細胞の働きを高める作用がある。治験では、健康な人の血液に含まれるNKT細胞からiPS細胞を作って大量に増やし、再びNKT細胞に変化させる。そのNKT細胞を2週間おきに計3回、がん部位近くの動脈に投与する。

 千葉大によると10月14日、1人目の患者に最初の移植を実施し、成功した。経過を慎重に確認し、2回目以降の移植を実施する。

 治験の対象は手術や抗がん剤の投与など標準治療を受けた後の患者4~18人。治験期間は2年間で、副作用などの安全性や効果を確かめる。

 千葉大はこれまで、患者自身のNKT細胞を体外で増やして患者に戻す臨床研究を実施し、一部の患者で頭頸部がんが小さくなる効果があった。しかし、NKT細胞は人の血液中に0・01%程度しか存在しない上、がん患者由来の細胞は十分な量まで増えにくく、1回の投与が限界だった。

 これに対して健康な人のNKT細胞から作ったiPS細胞は増えやすく、これを活用することで大量に安定したNKT細胞を確保できるという。

 第三者由来の細胞を投与することで過剰な炎症反応など副作用の懸念もある。研究チームの本橋新一郎・千葉大教授は「まずは患者の安全性を第一に慎重に進めていきたい」と話した。

 頭頸部がんは鼻や口、のど、あご、耳などの部位にできるがんの総称で、がん全体の5%を占める。チームは治験で安全性や有効性が確認されれば、肺がんなど患者が多いほかのがんへの応用も視野に入れている。【岩崎歩】

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