とおいひのうた いまというひのうた

自分が感じてきたことを、順不同で、ああでもない、こうでもないと、かきつらねていきたいと思っている。

続 真夜中の無料コンサート

2006年03月28日 14時14分29秒 | 音楽
また真夜中の無料コンサートの客になった。

声楽者は、コンサートだけでは食べていけない。

仕事があるときは、高校で臨時音楽教師もする。

ピアノが専門ではないのだが、教師をするにはピアノも弾かねばならない。

卒業式に ピアノを弾き、生徒には、「蛍のひかり」などの合唱も指導する。
彼女は、職人だ。生徒を前日までしごき、うまく声がはりあがるように
ズボン姿で、壇上から怒号をとばす。

また、真夜中に、電話。

「すっごい、きつい指導をしたおかげで、生徒の声がはりあがるように、やっとなって満足た。わたしのしごきのものすごさに、他の先生がびっくりしていた。しかし、今度は、ピアノ伴奏がどのくらいまで練習成果がでたか、感想を聞かせて」

彼女は、三曲、弾いた。

「蛍のひかり」「仰げばとおとし」すばらしい、心をこめた演奏。

「ブラボー、すばらしい!さすがベテラン。こんなに、心がこもり、しみじみとした、蛍の光、仰げばとおとしは、聴いたことはない。今まで聴いたなかで、一番だ。」

彼女、しんみりと
「ありがとう」

「ところで、三曲目がだめだ。面白くもおかしくもない。一体あの曲は何なの?」
「校歌よ」
「なんたる駄作」
「まあ、校歌はどうしょうもないのよ」

「よし、次の学校では、卒業式のときは、校歌でさがったレベルをあげるために四曲目を用意する!せめてショパンのワルツの練習曲、「別れの曲」を弾いて、卒業生の退場のバックグラウンドミュージックにする!音楽家としての根性をだすべきだ!」
「わかった!楽譜さがしてみる」


後日、卒業式の成果をきいた。
彼女は電話の向こうで泣いていた。いざ、式の本番になったら、生徒は泣きじゃくり、ぜんぜん声がでなかったそうだ。






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