【報ステ解説】「すり合わせほぼ終了」ウクライナ侵攻非難も…G20首脳宣言採択なるか(2022年11月15日)
【波乱G20】ラブロフ氏と集合写真に「NO」 ゼレンスキー氏「戦争止めねば」(2022年11月15日)
G20=主要20か国の首脳会議が15日、インドネシアで開幕し、ウクライナ情勢を背景にしたエネルギーや食料価格の高騰への対応などを議題に意見が交わされます。
ウクライナ侵攻をめぐって、G20でも欧米各国とロシアとが激しく対立する中、各国が何らかの一致点を見いだせるのか、議論の行方が注目されています。
G20=主要20か国の首脳会議は、15日から2日間の日程でインドネシアのバリ島で開かれます。
G20の首脳会議が開かれるのはロシアによるウクライナ侵攻後では初めてで、アメリカのバイデン大統領や中国の習近平国家主席のほか、ロシアからはプーチン大統領の代わりにラブロフ外相が出席する予定です。
初日の15日は、ウクライナ情勢を背景にした世界的なエネルギーや食料価格の高騰への対応などが議題となる予定ですが、ロシアによるウクライナ侵攻をめぐり、各国の立場は大きく異なっています。
これまでの閣僚会議でも、インフレなどについて、ウクライナ侵攻が原因だとする欧米各国と、経済制裁が原因だとするロシアとが互いに非難しあう事態となり、議論は進展してきませんでした。
こうした中迎える首脳会議では、世界の分断が一層、浮き彫りになるおそれもあり、首脳たちが何らかの一致点を見いだせるのか議論の行方が注目されています。
G20とは
メンバーには、日本やアメリカ、イギリスなどの先進国だけでなく、中国やインド、ロシア、インドネシアといった新興国が入っていることが特徴です。
メンバーのGDPの合計は世界のおよそ8割を占めていて、世界経済の動向に大きな影響力を持っています。
1999年に20の国と地域の財務相と中央銀行の総裁が世界経済や国際金融の課題を議論する場として始まり、いわゆるリーマンショックが起きた2008年からは、首脳による会合も開かれるようになりました。
この首脳会議では、2008年から去年まで開かれた16回すべてで、メンバーの合意のもと「首脳宣言」が採択されています。
ロシアへの制裁めぐり各国で対応が異なる
G20は、日本やアメリカなどG7=主要7か国と、中国やロシア、インドといった新興国など、合わせて19の国とEU=ヨーロッパ連合がメンバーになっています。
このうち欧米各国や日本、韓国など、合わせて9か国とEUは、ウクライナ侵攻以降、ロシアに対して輸出入の禁止や、ロシア政府関係者の資産凍結などの制裁措置を行っています。
一方、中国のほか、インド、ブラジル、今回のG20の議長国インドネシア、それに、ウクライナとロシアの仲介役となっているトルコなどは制裁を行っていません。
ロシアへの対応が大きく異なる中、首脳会議に先立って開かれた複数の閣僚会議では議論が進展せず、共同声明を採択できない事態となりました。
通例の集合写真撮影「予定されず」
対面形式によるG20の首脳会議で集合写真を撮影しないのは異例で、ウクライナ情勢をめぐって欧米各国とロシアの対立が深まっていることに配慮したものとみられます。
集合写真の撮影は、ことし7月に開かれたG20の外相会合でも、インドネシアのルトノ外相の指示で直前に取りやめられていて、ロシアの外相の出席に難色を示した欧米各国に配慮したものとみられています。
G20、戦争非難の首脳宣言
「核の脅し許されず」
2022/11/16(水) 18:05 大分合同新聞【ヌサドゥア共同】インドネシアのバリ島で開かれた20カ国・地域首脳会議(G20サミット)は16日、首脳宣言を採択し閉幕した。宣言は参加国の大半がウクライナの戦争を強く非難したと明記する一方、制裁などに関して異論が出たとも併記。先進7カ国(G7)とロシア双方の主張を盛り込み折り合いをつけた。2008年の会議発足以降、初めて宣言採択を見送る事態は回避された。
宣言は「核兵器の使用や、使用の脅しは許されない」と明記。ロシアが戦況打開に核兵器を使うとの懸念を踏まえた。「ウクライナ戦争が世界経済に、さらなる悪影響を及ぼすことを目の当たりにした」とも指摘した。19日に期限が切れるウクライナ産穀物輸出に関する4者合意について、延長して完全履行するよう訴えた。
2月のウクライナ危機後、初めてのG20サミット開催で、会合では世界の食料供給を不安定にしているロシアの侵攻を巡り応酬が続いた。経済問題を中心に話し合うG20として異例の展開で、協調体制は岐路に立った。