イェール大学助教授の成田悠輔氏が17日、都内で行われたイベント「Digital Edge Tokyo 2022」に登壇。データの内容を理解し、活用すべきデータを選んで分析し、正しく解釈する能力、いわゆる〝データリテラシー〟不足を指摘した。

データ・アルゴリズムを使ったビジネスと公共政策の創造とデザインを専門とする成田氏。この日はまず「不登校とか虐待とかが増えているように見えるが、(少子高齢化が進む中で)それに対応する自治体のマンパワーを増やすことはできない。子供の生活の実態を表すデータを作って自動的に(危険性を)検知できる仕組みを作れたらいいな」と自身の関心事を紹介した。

しかし、実際にはそのようなデータベースを作るためにはいくつもの困難にぶつかるという。児童相談所やスクールカウンセラーの情報を吸い上げようとしても〝神エクセル〟(=印刷時の体裁を最優先に設計されており、データとしての扱いやすさが犠牲になっているExcelファイルのこと)で、かつ自然言語でメモが取られているため、データとしてすぐ利用ができないのだ。

成田氏は「データフォーマットをどう流し込んでいくかが大事ですね」とデータ標準化の重要性を訴えつつ、「基本的なデータリテラシーというものが多分、1%にしか行き渡っていない」と苦笑い。

「データ絡みの最低限の知識を学ぶことはそんなに大変じゃない。高校、大学のカリキュラムでやればいいのにまったくできていないのは教育の失敗であり、社会の失敗」とバッサリ切り捨てた。

日本のDX(デジタルトランスフォーメーション)はまだまだ先なのかもしれない…。