本日11月14日は、徳川光圀が隠居した日で、清とロシア帝国が北京条約に調印した日で、明六雑誌が停刊した日で、パリにパスツール研究所が設立した日で、ネリー・ブライが八十日間世界一周の旅に出発した日で、ドイツ軍が山東半島南西岸の膠州湾を占領した日で、日本統治下の台湾で北埔事件が起きた日で、濱口雄幸首相が東京駅で右翼青年佐郷屋留雄に狙撃されて重傷を負った日で、ニューヨーク州アパラチンにマフィア幹部が集結してアパラチン会議が行われた日で、岡山県倉敷市水島と山口県徳山市(現・周南市)に石油化学コンビナートを設立することが決まった日で、皇居新宮殿が落成した日で、アメリカの火星探査機マリナー9号が火星周回軌道に到達した日で、渋谷・四谷などで行なわれた「沖縄返還協定批准阻止闘争」で革命的共産主義者同盟全国委員会(中核派)の学生ら約400人が渋谷で警戒中の機動隊や渋谷駅前派出所を鉄パイプや火炎瓶で襲撃して警官1名を殺害・3名に重傷を負わせた日で、ドイツとポーランドがドイツ・ポーランド国境条約に調印した日で、カンボジアのノロドム・シハヌーク元国王が13年間の亡命を終え首都プノンペンに戻った日で、浦和レッズがアジアチャンピオンズリーグで初優勝をした日で、いい石の日です。
本日の倉敷は雨でありましたよ。
最高気温は十七度。最低気温は十一度でありました。
明日は予報では倉敷は晴れとなっております。
狐はやつとのことで十階の床を踏んで汗を払つた。
其処の天井は途方もなく高かつた。
全體その天井や壁が灰色の陰影だけで出來てゐるのか、冷たい漆喰で固めあげられてゐるのか分からなかつた。
さうだ。この巨きな室に先輩はいるのだ。今度こそ會へるんだ。と狐は考へて一寸胸の何処かが熱くなつたか熔けたかのやうな氣がした。
高さ二丈ばかりの大きな扉が半分開いてゐた。
狐はするりと入って行つた。
室の中はがらんとして冷たく、背の高い先輩が手を額に翳してそこの巨きな窓から西の空をぢつと眺めてゐた。
先輩は灰色の外套をまとってゐた。
そしてぢつと動かなかつた。
窓の向ふにはくしやくしやに縮れた雲が痛々しく白く光つてゐた。
先輩が俄かに冷たい透き通つた聲で呟いた。
人の一生には焔の時と灰の時があり、灰の時は何をやっても上手くいかない。
そんな時には何もやらぬのが一番よい。
ところが小心者に限つて何かをやらかして失敗する。
狐は空の向ふにある氷河の棒を思つてゐた。
先輩は又ぢつと額に手を翳したまま動かなかった。
狐は堪へかねて一足そつちへ進んで言った。
「みな心配しています。そんな処で下らない事をやつていないで人の居るところで落ち込んでください」
先輩は振り向いて冷ややかに笑つた。