狐の日記帳

倉敷美観地区内の陶芸店の店員が店内の生け花の写真をUpしたりしなかったりするブログ

全てのものに欲望がある。欲望があるから薔薇は薔薇らしく咲き岩は岩でありたいと頑張っている。

2018年02月05日 22時22分33秒 | VSの日記




 本日2月5日は、平治の乱が終結した日で、長崎でカトリック信徒26名が処刑された日で、国際刑事警察機構が設立された日で、映画『モダン・タイムス』がアメリカで公開された日です。

 本日の倉敷は雪がぱらりと降った後に晴れていましたよ。
 最高気温は二度。最低気温はマイナス四度でありました。
 明日は予報では倉敷は晴れとなっております。






 狐は或る日の夕、神社の境内の大きな木の下で友人が坐つてゐるのを見た。
 此の友人は姫君のやうに美しいかんばせを持つてゐる。
 こまねいた両手と云ひ、項垂れた頭と云ひ、恰も何事かに深く思ひ悩んでゐるらしい。
 狐は友人の身を気づかつた。
 友人が悪魔に魅入られてゐるやうな瞳をして美しいかんばせを曇らせ思案をしている姿に唯事ではないと思つたのである。
 狐は友人に近づき、何を悩んでいるのか仔細を問ひ質した。

 「私は堕落しようと思ひました。
  しかしそれと同時に堕落したくないとも思ひました。
  あの清らかな魂の〇〇(←或る漫画の主人公の名と思ってくだされい)のエロいparody漫画を描くことは〇〇を地獄の火に穢す気がするでせう。
  私は〇〇をいやが上にも清らかに曇りなくしたいと念じたのです。
  しかし、さうと思へば思ふ程、愈、エロいparody本を描いて〇〇を穢したいと云ふ心持ちもして来ます。腐った妄想を止めることができないのです。
  その二つの心持ちの間に迷ひながら私はしみじみ私達の業を考へて居りました。
  私達は何時でもさうなのです。
  堕落させたくないもの程、益、堕落させたいのです。
  これ程不思議な悲しさが又と外にありませうか。
  私はこの悲しさを味ふ度に、昔見た天国の朗かな光と今見てゐる地獄のくら暗とが私の小さな胸の中で一つになつてゐるやうな気がします。
  どうかさう云ふ私を憐んで下さい。
  私は寂しくつて仕方がありません」
 美しいかんばせをした友人はそう云つて涙を流した。





 狐は友人に「描け」と云つた。
 「描くが良い。描いて私に讀ませろ」と邪悪な笑みを浮かべて狐は云つた。
 「友人よ。案ずるな。それも愛だ。常識など気にするな。それが我等に何の関りがあらう。思う存分描くが良い」
 友人は瞳を潤ませ悪魔に魅入られたやうな表情でその美しいかんばせを上げて狐を見詰めてこくりと頷いた。


 神よ。我等を憐れむがよい。
 我等は業が深いのだ。



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