前記事では,とりわけ貨物輸送のモーダルシフトを阻害する要因として,わが国の鉄道網に関する問題点について触れた.今回は,その問題点についてもう少し考えてみようと思う.
まず一つ目は,新幹線とりわけ東海道新幹線の輸送力が逼迫しており,とても貨物列車などを走らせる余裕がないことであった.
その対策の一つとして,リニア中央新幹線といった計画がある.しかしながら,これが開通するのは早くても2027年,そして開通しても当面は東京(品川)と名古屋を結ぶに過ぎない.さらにこれが輸送するのは旅客のみであり,貨物を輸送する計画はないようである.また,磁気浮上しなければ走れないという性格上,輸送力面でのポテンシャルは未知数である(おそらく小さいだろう).したがって,リニア中央新幹線は旅客輸送に関しては多少のモーダルシフトを促進するかもしれないが,貨物輸送に関してはまったく寄与しないであろう.
二つ目は,新幹線の規格が在来線のそれと根本から異なり,見た目は同じような鉄道に見えても互換性がまったくと言っていいほどないことであった.一部の例外を除き,新幹線のネットワークは在来線のそれとはまったく別個に存在している.そのため,直通運転は基本的にはできない.山形新幹線ならびに秋田新幹線(厳密には在来線の奥羽本線ならびに田沢湖線)のようにミニ新幹線という手もあるが,長期間の運休を伴う改軌工事を他の路線にも適用することは難しいだろう.
三つ目は,本題からは外れてしまうが,高速鉄道のネットワークが在来線と新幹線ともに東京で分断されていることにある.
在来線については既に湘南新宿ラインという形で東北本線-東海道本線の直通が事実上実現し,さらに2013年には上野-東京ルートでも直通運転が開始される見込みである.しかしながら,新幹線においてはJR東日本が管轄する東北・上越・長野の各新幹線と,JR東海が管轄する東海道新幹線が分断されたままになっている.東北新幹線と東海道新幹線の直通運転が可能になれば,両社とも東京駅がターミナルとして過負荷な状態にある事態を抜本的に解決できるし,そもそも東海道新幹線に品川駅を設ける必要などもなかったのである.非常に愚かなことだと思うが,これはJR東日本とJR東海の確執を含む政治的な問題であり,今後も解決されることはないだろう.
序章があといくつ続くかは分からないが,本稿で一番目と二番目に挙げた問題点を解決するスキームとして,本シリーズでは超広軌鉄道を提唱することになろう.
まず一つ目は,新幹線とりわけ東海道新幹線の輸送力が逼迫しており,とても貨物列車などを走らせる余裕がないことであった.
その対策の一つとして,リニア中央新幹線といった計画がある.しかしながら,これが開通するのは早くても2027年,そして開通しても当面は東京(品川)と名古屋を結ぶに過ぎない.さらにこれが輸送するのは旅客のみであり,貨物を輸送する計画はないようである.また,磁気浮上しなければ走れないという性格上,輸送力面でのポテンシャルは未知数である(おそらく小さいだろう).したがって,リニア中央新幹線は旅客輸送に関しては多少のモーダルシフトを促進するかもしれないが,貨物輸送に関してはまったく寄与しないであろう.
二つ目は,新幹線の規格が在来線のそれと根本から異なり,見た目は同じような鉄道に見えても互換性がまったくと言っていいほどないことであった.一部の例外を除き,新幹線のネットワークは在来線のそれとはまったく別個に存在している.そのため,直通運転は基本的にはできない.山形新幹線ならびに秋田新幹線(厳密には在来線の奥羽本線ならびに田沢湖線)のようにミニ新幹線という手もあるが,長期間の運休を伴う改軌工事を他の路線にも適用することは難しいだろう.
三つ目は,本題からは外れてしまうが,高速鉄道のネットワークが在来線と新幹線ともに東京で分断されていることにある.
在来線については既に湘南新宿ラインという形で東北本線-東海道本線の直通が事実上実現し,さらに2013年には上野-東京ルートでも直通運転が開始される見込みである.しかしながら,新幹線においてはJR東日本が管轄する東北・上越・長野の各新幹線と,JR東海が管轄する東海道新幹線が分断されたままになっている.東北新幹線と東海道新幹線の直通運転が可能になれば,両社とも東京駅がターミナルとして過負荷な状態にある事態を抜本的に解決できるし,そもそも東海道新幹線に品川駅を設ける必要などもなかったのである.非常に愚かなことだと思うが,これはJR東日本とJR東海の確執を含む政治的な問題であり,今後も解決されることはないだろう.
序章があといくつ続くかは分からないが,本稿で一番目と二番目に挙げた問題点を解決するスキームとして,本シリーズでは超広軌鉄道を提唱することになろう.