結婚した相手は、人生最愛の人ですか?
恋の仕方を忘れたあなたに贈る
切なすぎる大人の恋愛小説
(小説の帯より)
読者への強烈な問いかけ!「人生最愛の人ですか?」なんて、結婚するときは(恋愛結婚)
そんな幻想を抱いて結婚しているのでは?
天才クラッシックギタリストと国際ジャーナリストふたりのインテリジェンスな
ラブストーリーであると共に登場人物のヒューマンストーリーでもありました。
主人公「蒔野聡史」はデビュー二十周年記念コンサートの打ち上げで、洋子との運命的な
出会いをします。その時、洋子は蒔野よりも二歳年上の四十歳。
ふたりはたった三度しか会ったことがなく、後はSkypeでの会話でした。
それでも「人生で最も深く愛した人」と思えるほどの相手は奇跡でしかありません。
そして、ギタリストとしての蒔野を献身的に支える若いマネジャーの三谷早苗。
洋子の父である戦争を詩的に描くソリッチ監督、イラクからの亡命者ジャリーラ、長崎で
被爆したことを隠して生きてきた洋子の母親、同じギタリストの武知の死、洋子の婚約者
リチャードなどの関係の中で、まるでバッハの「無伴奏チェロ組曲第三番」の始めの
アルペジオのように流れる愛の物語。そのプレリュードの後に、明るい、穏やかな静けさ
の中にあたたかい光の旋律で奏でられた美しい歌劇のようでした。
この物語は、クラッシック音楽で溢れ、私が読み終えるまで、ロドリーゴの
「アランフェス協奏曲 第2楽章 アダージョ」が優しく切なく聞えていました。
蒔野聡史が「未来は常に過去を変えている。変えられるとも言えるし、変わってしまう
ともいえる。」と語った言葉が印象に残り、どう言うことだろうと考えました。
読み進めるうちに、少し分かったように感じました。 過去の時点での「未来」の人生
(今現在)によって、「過去」の自分の思いや考え方に変化が・・。どう表せば良いか、
音楽家としての一年半のブランクがあり、その復帰コンサートをニューヨークで行い、
その時会場の一階席の奥に洋子を見つけ、彼はカーテンコールでこう言いました。
「(それでは、今日のこのマチネの終わり、みなさんのためにもう一曲、特別な曲を
演奏します。)
<And now, at the end of the matiness, I will play one more melody ーa very special
melodyー for you > 」
そうです。蒔野聡史は洋子に向けて、「あなたのために」と。♡~~♡
ソリッチ監督の有名な映画のテーマ曲「幸福の硬貨」をひきはじめた。
最後のページ
二人が初めて出会い、交わしたあの夜の笑顔から、五年半の歳月が流れていた。
終演後、蒔野は独りセントラルパークを散歩しながら、午後のやわらかな日差し
に映える美しい木々の緑を眺めていた。、、、、、、
池に添ってゆったりと曲がった歩道を抜けたところで、視線の先の木陰に一つの
ベンチが見えた。
午後の光が、時間潰しのように池の水面で戯れているのを眩しそうに眺めていた
女性が一人、ゆっくりとこちらに顔を向けた。
二人が初めて出会い、交わしたあの夜の笑顔から、五年半の歳月が流れていた。
五年半の歳月の流れの中で、二人にはお互いにそれぞれ守るべき家族がいて、今では
忘れられない美しい思い出となり、そうです、過去は未来によって変えられたのです。
切ないけれど優しい美しい物語でした。
映画では「福山雅治」と「石田ゆり子」で演じられたようです。その映画を鑑賞した
人は景色が素晴らしく美しかったそうです。
来週の土曜日、シンフォニーホールでの「大人の贅沢 ライト・シンフォニック
コンサート」のマチネの公演にmio maritoと楽しんで来ます。