Sbagliando si impara. (間違うことで人は学ぶ。)

イタリア語の勉強に、nonna ひとりでフィレンツェへ。自分のための記録。

「この世の真実が見えてくる」井上ひさし

2022年08月28日 | 読書
コロナ感染した周りの人の話しをちょくちょく耳にするようになり、やはりBA5, BA2.75型
はやはり感染力が強いのだと実感してます。
でも、中には2時間喫茶店で感染者の斜め前に座って話したけれど、感染せず、無事に一週間
人との接触を避け自宅で過ごし終えた知人がいました。
きっと、お話し好きな知人がひとりで喋っていたからではないかと思います(^^;)

さて、そんなことで不要不急の用事以外は自宅で過ごしている私は益々引き籠もり、体力も
能力も気力も落ち、勿体ない一日を過ごしています。
そこで、既に読み終えていた本のことでも書くこととしました。
  
挿絵、上手ですねぇ♡ 「井上ひさしさん実物」よりも「井上ひさし」らしい。

『本書のテーマは「世の中」です。幸福論、国家論、情報論から、青春時代の
回想、江戸戯作者風パロディまで収録。まじめに、ふかく、そしてゆかいに
世の中を見つめた、井上ひさしならではの世界が拡がります。』
  (本カバーの見開きより)

エッセイや著作を精選して集めた本なので、当然、執筆時期も異なり、昔の大きな
出来事に関することもいろいろとありました。

国会解放、岸内閣退陣、安保紛砕を目的として抗議行動を起こした「安保反対闘争」も、  
ひさしさんは生活のため、アルバイトで忙しく参加出来なかったので、デモ行列を見かける
たびに手を振っていたようです。
また、政府自民党の後出し対策の話しでは、その滑稽な寸評に笑わせて頂きました。

大腸ポリープの手術で二万回に一回の割合で起こる二重ミスで死にそうになったことで、 
「この世ではなにが起こるかわからない。明日死んでも悔いがないように、今日一日だけ
は、充実して生きなければ・・・」と、気持ちの持ちようがずいぶん変わり、気分が一新
したようです。 二重ミスがまた、おかしくて(ごめんなさい)、ひさしさんらしい書き方
で悲壮感がありませんでした。(^^)

高校進学半年前、さまざまな理由によって家庭が空中分解し、養護施設の「光ヶ丘天使園」
で生活するなかでの「つなぎ」の下着にまつわる話題、差別されつつ差別する関係の話しや
懐かしいTV番組「ひょっこりひょうたん島」や、心が気持ち良いアナグロ的なものの話し等、
とにかくゆかいにまじめに書かれたものばかり。

「やぶにらみ情報の研究」では、なお興味深い内容ばかりでした。

「おかしな人たち」の欄では
生物医学界の遺伝学者ドーイ教授に会う為に、大嫌いな飛行機に乗ってまでオーストラリアに行った
話しのなかで「トマトの細胞とハムスターの細胞の融合」の成功や「遺伝子兵器」、「万全な人工胎盤」
にはびっくり!

新幹線でとなりに座った男(後で「寸借詐欺常習犯」とわかる)の「刑務所の民営化」の
話しに、私は良いアイデアだと感心しました。脱走犯の心理も解いていて思わず唸って
しまいました。
オープン刑務所、街中の刑務所、土地の節約のため刑務所も高層化、  
凶悪犯や重大犯のものはうんとへんぴなところへ持って行くなど本当に突飛ですが、
納得してしまいました。 
「今日の不可能は、明日の常識」となるのでしょう。

「喜劇の日常」では
十一本全部歯を抜くこととなった話し等々。
「この世が長い夢で、死ぬことは夢から醒めることだ」といった禅宗の悟達僧がいたそう
で、「夢が怖ろしいとは、この世が怖ろしいということになるのだろうか」と怖ろしい夢ば
かり見るひさしさんは思ったみたい(^_-)

ニュースを見れば、国民を代表する国会議員のいい加減な嘘発言、まやかしばかり聞かされて
うんざりするばかりーー。
と言うことは、早く夢から醒めた方がいいのかも。