Sbagliando si impara. (間違うことで人は学ぶ。)

イタリア語の勉強に、nonna ひとりでフィレンツェへ。自分のための記録。

「よその島」井上荒野

2023年05月22日 | 読書
  日常がサスペンスに変わる__  
  「殺人者」の存在を知ったから
    この島で、過去と現実は溶け合い、やがて謎が解けたとき、
    景色はがらりと反転する。

離れ島へ移住を決めた芳郎と蕗子、そして夫妻の友人・野呂。
人生の終盤で実現した共同生活の滑り出しは順調に見えるが、三人はそれぞれ不穏な
秘密を抱えており・・・・・。
おいそれとは帰れないこの場所で、彼らは何を目にし、何を知るのか___。
  長く年月を共にしても、一緒には辿り着けない場所がある。
  人は、自分にだって嘘を吐くのだから。          (帯より)
   

      

夫の不倫相手を殺した妻と夫の関係に違和感がいっぱい。
その上に夫婦の共通の友人や住み込みで働く子連れの若い女性が加わり、謎で溢れそうな
ストーリー。
関係が絡み、憶測も膨らみ、理解の程を修正しながら読んでも謎だらけ。
三人の主の登場人物自身も自ら色々と憶測し、自身の不安を煽る。
過去に飛び、現在と交差し何が何やら、どこまでが現実で真実か、読者もその渦の中へ。

青い乳母車、双子の子ども、赤いパラソル、幻想か夢か、遠い過去か現実か、私の頭の中も
霞んでいく。

最後まで読むと悲しくも優しい現実が見えて来た。
いつか、何が事実で何が事実ではないのか見失っていくことに誰しもが気付く。

現実の「離れ島」ではなく、「よその島」に住んでいるのは、、、
「よその島」、、やさしい、救われる言葉に感じた。