多和田葉子さんの最新版「オオカミ県」は溝上幾久子さんの銅版画で描かれた
絵本ですが、社会風刺満載の油断できない内容で十分考えさせられました。
「オオカミ県」の文字も数匹の狼で描かれておもしろい構図です。
以前読んだ「溶ける街 透ける路」の素敵な挿絵も溝口幾久子さんでした。
「大きな神」のことから「オオカミ県」という県名がつけられたようですが、
住人がみんなオオカミではないようです。
主人公「俺」はオオカミ県に住むオオカミで、
都会東京に住む白兎は一体何を食べて生きているのか知りたくなって東京に
出て 行くのです。
アルマジロ、テナガザル等のいろいろな動物たちは「兎」だと言わないと東京
に住めないので「兎」のふりをして住んでるようです。
「東京」はいろいろなところから来た人たちが住んでいるが、東京人のふりを
しないと住みづらいということでしょうか?
方言も使わず、一応都会人のような振る舞いで東京に染まっていかないと。
でも、ひょっとして「東京人の兎」よりも本当は「兎のふりをしている」方が
多いのでは・・・ 今の東京のように。
東京はたくさんの噂が嵐のような勢いで吹き抜けていく町で、昔は「新聞」というものが
あって、まあまあ本当のことが書いてあったが、今では噂と本当を混ぜた見極めがむずか
しいギラギラしたニュー スをウエブサイトでチェックしているとも語っています。
今現在、新聞を読む人が少なく、ウエブでチェックしてワクチン接種の副作用が怖い
から接種を躊躇している人たちもいるようです。
「バナナ爆弾の工場」の設立をオオカミ県に受け入れるしかない状況に追い込もうとした
り ーーー 原発、沖縄基地問題等のいろんなところで起きている現実が重なりました。
「兎」はおとなしく可愛らしい印象しかなく、多和田さんが東京人をなぜ「兎」に比喩した
のかは2回読みましたが分かりません。
いろいろと想像してみましたがどれも違うようで、多和田さんの想像の白兎を知りたい!
危ないものをつくる工場を押しつけられたら、こちらの命が危ない!
犬みたいにお偉方に尻尾をふっているわけにはいかないと、主人公の
「俺」は最後に吠えました!!!
ぶじゅっとオオカミになろうぜ、
オオカミに。
オオカミの「俺」に発破をかけられたようです。
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