Sbagliando si impara. (間違うことで人は学ぶ。)

イタリア語の勉強に、nonna ひとりでフィレンツェへ。自分のための記録。

「ノースライト」横山秀夫

2021年07月14日 | 読書
梅雨も明け、蝉の本格的な鳴き声に初夏の1日が今日も始まりました。
朝からテレビでは、大谷翔平二刀流でのMLBオールスター戦を生放送で
伝えていましたが、みんなマスク無し、密で楽しんでいるのが、別世界
のようです!!

「ノースライト」横山秀夫著」、装画 agoera(多摩美大卒のイラストレイター)
     

    本の帯には「横山秀夫史上最も美しい謎」熱く込み上げる感動
         「64」から六年 待望の長編ミステリー

「あなたが住みたい家を建てて下さい。」とクライアントの吉野夫婦から奇妙な依頼を
されたことから始まるストーリー。

建築雑誌「平成すまい二00選」に「Y邸」が掲載されたことで、大阪のクライアント夫妻
から主人公「青瀬」に
「信濃追分に建てたY邸と同じのを建てて欲しい」と依頼があります。
その依頼の件で吉野夫婦に連絡するも所在不明で、しかも吉野一家が引っ越してさえいな
かったことを知ったのです。
あんなに引き渡しの日に喜んでいたのに、何か吉野家に問題でもあったのか、ノースライト
の設計に不都合でもーーと私でも心配になりました。
唯、その家にはブルーノ・タウトの「椅子」がひとつだけ大きな窓の前に置かれていたの
です。
そこから主人公「青瀬」の憶測が巡る。

青瀬の勤める設計事務所の社長でもある友人「岡嶋」の「画家『藤宮春子』のメモワール」
のコンペに関わる汚職、政争、そして彼の家族のこと、
建築家「ブルーノ・タウト」の人生や、彼が建てた「日向邸」のことも興味深い話しでした。
タウトの椅子を調べる中で「吉野」の父に繋がっていきます。
「なぜ青瀬に家の設計を依頼したのか、なぜ青瀬でなければならなかったのか」

  この空間にも感動のドラマが言い尽くせないほどに書かれていました。

ある日、吉野から告白と謝罪の手紙が届き、信濃追分のY邸でふたりは会って、やっと
すべてが分かり、
「ノースライトを湛えて息づく木の家」Y邸の「始まり」と「これから」ーーが動き始め
たように感じられました。

この長編は正に人間ドラマで、その中でたくさんの人生の疑問と答えが凝縮していました。
また、主人公「青瀬」が、自分の居場所を取り戻していく長編小説でもありました。

青瀬稔は大阪のクライアント夫婦に言います。
   「あなたたちだけの家を建てましょう」と。

彼の希望の持てるこれからを想像しながら、明るくすっきりと分厚い本を閉じました。

追伸:読後感想文の苦手な私は重要な事、肝心なことが五分の一も表現できず、
「横山秀夫」さんにお詫びします。でも、私の中にはちゃんと残っています。


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