図書館予約して受け取るまでの時間は数ヶ月、読み終えるのに2日間。
中学校から七年間も引きこもった息子のいる歯科医師家族の苦悩、更に解決に向けて
戦う父親、そして母親、姉、当事者「翔太」の心の葛藤を描いた小説でした。
母親と引きこもりのひとり息子と暮らし、その母親が年老いて亡くなった後、空き家だと
ばかり思っていた近所の家から借地料も払えなくて、強制執行で出て来た50歳代の息子を
見て、主人公夫婦は30年後の自分たちを想像し、ショックを受け、今まで以上に模索し始
めます。
「8050問題」に発展する要因のひとつ、「学校のいじめ」をテーマにした小説でした。
あらゆるいじめは絶対許してはいけないことが分かっていながら、なぜ解決出来ず同じこ
とが繰り替えされているのか。いじめの現場にいるみんなが「NO!」とはっきりと態度で
示すことだと分かっていても、、、やはり子供たちにとっては難しいことなのかも知れません。
アメリカでは「ノーブレス・オブリージュ(noblesse oblige)」ということを学ぶそうです。
自発的な無私の行動を促す言葉のようで、「財産、権力、社会的地位を持つものは社会的義がある」
という考え方だそうです。
この精神に則って、学校、先生や大人たちがしっかりと解決に向けて「いじめは絶対に
許してはならない」と、毅然として行動すべきだと思います。
引きこもりの翔太の姉が本音で親に迫ったり、自分の幸せのためには弟をも切り捨てる(?)
え~と思うような態度であっても、それが反って私には救われる場面でもありました。
父親の強い思いが翔太を動かしたように、自分を犠牲にしてまでもとことん本気で解決しよう
とすることが必須条件ではないでしょうか。
この話の中でも親の立場でしか考えることが出来ませんでしたが、結末では”希望の光”が
差していました。
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