よく分かる 住まいづくり・・(檀建築コンサルタント)

私達の考える住まいは、住まいづくりの原価を探り、無駄のない資金で、遊び心のある家を作る事。

原価を見る

2010-12-14 08:00:47 | 住まいの原価

昨日メ~ルでアルミサッシの金額が流れてきた。
定価3、429,270円で、ネット金額が1,050,000円でこのネット金額が工務店がサッシを購入する金額で、普通であればこのネット金額に工務店の経費を20%程上乗せし130万円程度で見積書に計上するでしょうが、当社に来る見積もり書の金額は、各業者から届いたネット金額がそのまま書き込まれることになっている。

つまりサッシ費用の原価は定価金額の70%オフの金額となる
サッシメーカーと打ち合わせの際、何時も話題にすることなのですが、
「何故、定価と原価にこのような大きな開きがあるのか?」・・・と。

これはまるで年末のバーゲン値引きよりも大きな掛け率となっているが
どのサッシメーカーも納得できる返事は返ってこない。
問題は、家を建てようとするユーザーの皆様は定価を見ることが出来るが、ネット金額は調べることが出来ない為、施工業者から50%オフで買えますと言われただけで喜ぶだろう。

しかし実際は50%オフで出しても65万円の利益が施工業者に残ることになる。
いま、鉄筋コンクリート3階建ての外部改修工事が進んでいるが、断熱ザッシに全て取り替え、複層ガラスと真空ガラスを使っているが、
ガラス金額だけでも定価で3000万円を超え、ネット価格は800万円となった。

本来は、施工業者が各下請け業者から見積書を取り、ネットを決め、
施工業者の経費を上乗せし、当社側に各工事をまとめた見積書として届けられるが、見積書に目を通し、高いと思われる工事に関しては
施工業者を呼ばす、下請けであるサッシメーカーやキッチンメーカー
の代理店と直接交渉をし、調整しネット金額を聞く事にしている。

その時、殆どの業者から
「工務店の経費を見込まなくていいんですか?」
と聞かれるが
「もし、工務店が経費を要求してくれば当社に知らせてください」
「工務店経費は別枠で認めていますから、要求されないはずです」
と話せば業者は納得し、安心して帰っていく。


建物の金額

2010-10-25 08:43:20 | 住まいの原価
今手元に延べ床面積28坪の住宅プランとその概算書が届いている。
某ハウスメ-カ-の計画案とその予算ではあるが、
A4サイズに 資金計画書と書かれた中に建物金額と外構工事金額と
諸費用の予算が書かれており、お客様はこの予算から建物の仕様や
広さを 自分の予算に合わせて調整していかなければならない事に
なるのだろうが、我々からしてみるとこれではあまりにも簡単過ぎて
内容が分からない。

建物本体工事   ・・・・・・・・・16、71万円
本体変更工事 ①・・・・・・・・・   85万円
本体変更工事 ②・・・・・・・・・   80万円
本体変更工事 ③・・・・・・・・・ 1、11万円
屋外給排水    ・・・・・・・・・   40万円
長期優良住宅申請費 ・・・・・・・・・16万円
仮設水道        ・・・・・・・・ 3.5万円
設計工事監理料   ・・・・・・・・・14万円
共通仮設工事・・・・・・・・・・・・・・・90万円
基礎補強費・・・・・・・・・・・・・・・・・90万円
外構工事・・・・・・・・・・・・・・・・・1,30万円
カ-テン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・30万円
照明器具・・・・・・・・・・・・・・・・・・・20万円
消費税・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1,19万円
合計 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・25,037,250円

上記金額が表示され、内容は別冊子を見てもはっきりとせず、
28坪の住まいとすれば信じられない程の金額となっており、
建物金額だけをとってみても、坪単価80万を超えている。
一般的なハウスメ-カ-仕様であれば、壁、天井はクロスで
床は集成フロア-とすれば、我々が目安とする金額は
2000万円を切り、もしかすれば1800万円台となるかも知れない。

一般消費者は2500万円が高いのか安いのかさえも分からず
判断基準は、2500万円の予算が出せるか出せないかによって
決めてしまうのだろう。

今まで ハウスメ-カ-との競合が何回か有ったが
建物の大きさにより金額違いは有るにせよ、私達が推奨する
原価積算で出した建物金額と、大手ハウスメ-カ-の出した
金額の差は、2~2.5割減の予算で十分納まり、仕様ランクも
メ-カ-仕様よりハイクラスとなる。

例えばメ-カ-が出した3000万円の建物であれば
2400万円程度あれば十分対応出来る金額となるだろう。
その差額の600万円は大きく、この金額を建物に生かせば
豪華な建物になるはず。

建物の金額

2010-10-24 17:27:41 | 住まいの原価

わが国には建物の金額を坪単価で表現し、大体の目安としている。
これは、過去の大工さんが見積書として予算組みをせず、「大体こんなもんやろ!」とアバウトで過去の実績から表現した予算が、今尚残っており、「坪単価25万で家が出来ます」・・と売り物にしているフランチャイズ会社も存在する。

聞くところによると、多くの訴訟を抱えているとか聞くが、常識的に考えても、何処から何処までが25万なのかわからないまま、坪単価のいい加減さに惑わされ、依頼し結局、住めるようにするには倍ほどの金額が必要になる場合があると聞く。

信頼させるのが悪いのか、信頼するのが悪いのか?
その辺は微妙なところでも有るが、「私たちは素人ですから」と言う事になるのだろうが、その言い訳を使うときは既に被害に遭ったときが多く、出来ればその前に転ばぬ先の杖を持たなければ
損をすることになる。

近年 消費者保護法が確立され、弱い消費者を守ろうとする法律が
かえって、消費者を弱いままにし、何処かで誰かが守ってくれると言う
依存体質から抜け切れなくなるのではないだろうか?

基本は、「自分の身は自分で守る」ということが大事なことであり、
全てを法律で片付けようとする事に疑問を感じてしまう。

以前にも書いたが、日本には商品の金額表示に、定価があり、売価があり、原価がある、定価と原価の差は大きく開き、誰も「この原価は御幾ら?」とは聞かないし、また聞いても言ってくれない。

日本の流通の複雑さの中で、どの時点を原価と呼ぶかが問題ではあるが、手に入れられる最短の流通時を原価と表現するしか無いのかもしれない。

例えば システムキッチンを例に取ってみると、キッチンメーカーの展示場があり、そこで仕様を決め後日見積書として提示されるが、それはあくまでも定価ベースの金額で、工務店が決まらない限り、ネット金額は展示場では教えてもらえない。

つまり、我々はキッチンメーカーからは直接買うことが出来ないシステムになっており、キッチンに限らす、日本の流通は殆どがこの販売方法となっており、結局工務店を通じて、交渉しなければならないのが現実であり、工務店に入る金額を、原価と考えて予算を組み上げなければならない。

結局、この複雑さの中では、一般消費者が原価を追求するのは容易なことではなく、商品知識を実につけ、交渉術を、駆使しないと商品は安くならず、結局施工業者に任せてしまい、安いのか高いのかもわからないまま、家が出来上がってしまう。


予算算出の裏側ー3

2010-10-12 07:51:47 | 住まいの原価
予算は同じ設計図を複数の工務店が積算すると、その金額は大きく変わり、2割~3割の開きが出るのは当たり前で、私達が見ても
そんな大きな開きが出るのが信じられない。

例えば、3000万の建物で最高が3600万の見積書がでて最低は3000万を割る見積書が結果としてでて来るのが現実であり、最低金額と最高金額の開きが1000万円開く場合も少なくない。

高い金額がいいとも言えず、安い金額がいいとも言えない、正直両者の原価は一体いくらなのか?・・・これが今一般設計事務所で行われている競争入札の実態で、本当に原価を追及できなければ、設計事務所も単に見比べることしか出来ないで、原価を追求する事無く業者を選択している事務所も少ないないだろう。

本来、物の金額には、必ず原価があり、施工業者はこの原価を基づき予算組みを行い、利益を確保した上で提出用見積書を作成しているが、原価のはじき方が予算の違いを生み出し、金額差にでる。

つまり、本当の原価を見極めるには、設計する側と積算する側の価格のすり合わせが必要となり、設計者の意図によって使う商品も変わり、
同じ無垢のフロアーでも二倍三倍の価格差が出来、品質を見極めれば
安いフロアーで十分な場合もある。

原価ではじき出された予算は、高い安いがなく、変わるとすれば、人件費をどう見込むかによって違い、人件費を査定するには、それだけの経験が必要となり、積算する側も、査定する側も、工事に精通していなければ手間賃を決める事は出来ない。

予算算出の裏側-2

2010-10-10 17:53:08 | 住まいの原価

建設費の積算は算出する人の建築知識によって金額は変わってくる。
経験を積めば大体この建物でどの程度の費用がかかるか分かり、積算が終わり集計して予想より遥かに高くでれば、見直し調整をし、何処に金額が食われているのか見直し、修正を加える。

しかし、経験の薄い担当者が積算を行えば、当然不安から安全側の積算となり、数量も或いは金額も自信のなさをカバーしようとする為、高くなってしまう。
一般ユーザーではその内情は見抜けず、出てきた予算がどの程度の信憑性があるか分かるはずもない。

当社は中立的な立場で予算を見る、コンサルティングを始めて15年
多くのユーザーに出逢い、いろいろな会社の積算書を査定してきたが
その積算所の中身はそれぞれ違い、中身を見る事無く施工業者に突き帰したのが一社あり、頭金額だけをみて、中身を観ずにOKを出したのが一社あった。

これは、真逆の結果であり、どちらも最初で最後の経験かもしれない。
突き帰した見積書の業者は、初めての施工業者で、こちらの予想金額2400万円と思っていたが、出してきた見積もり金額は3800万円で、あまりにもかけ離れすぎており、あまりにも無神経な金額で、一般ユーザーに直接出すのならまだしも、プロを相手に出す見積もり金額ではないと伝え、お持ち帰り願った。

後者は、50坪程度の居宅で、予想金額が2200万円で、見積もり金額が2000万円だった為、明細を見ず、OKを出し、最終的に金額調整の必要は認められなかった。