よく分かる 住まいづくり・・(檀建築コンサルタント)

私達の考える住まいは、住まいづくりの原価を探り、無駄のない資金で、遊び心のある家を作る事。

K邸リホ-ムが完成

2010-09-17 15:48:11 | K邸リホ-ム

K邸リホ-ムが完成した。
思いが形になり、古き良き物は残し、85年前の形を出来るだけ変えないようにしながら、耐震強度も強化し、断熱効果も飛躍的にアップさせ、今年の冬は、暖かい家で暮らせる事となる。
           

           

           

みんなに喜んでもらえた。
図面通りに納めるのではなく、良い物があればそれを採用し、出来る限り良い物を残してあげたいと何時も思っている。
それを理解して頂いて、感謝の言葉が頂ければ、それが物づくりをする者の喜びでもある。

私達も、施工業者も、施主様も、同じ方向を向き、作ることで良い物はきっと生まれる筈。
疑心暗鬼の中では、優しさもなく、思いやりさえも生まれない。


K邸リホ-ム

2010-09-14 08:10:22 | K邸リホ-ム

よしず建具とガラス障子、同じ年代を持ち、同じ時間をかけて作られた色は、新しく作った建具では合わなかっただろう。

 

 

           

                      ↑
                畳みは表替えをし、再利用

                 

                       ↑
お孫さんの仕事場と 応接室の段差は敷台で、この敷台は
       紀ノ川に薪を集めに行ったとき見付けた檜の流木、持ち帰り一 
       枚板に。  
           
         

           
                        ↑
玄関の敷台も、仕事場に使った敷台と同じ檜板、生き節の色合いがア           クセントとなっている。


K邸リホ-ム

2010-09-13 07:37:52 | K邸リホ-ム

85年前のまま残した和室。
縁側の欄間もそのまま、柱、鴨居、廻り縁、竿縁も、美装により85年の期間で作られた色が蘇る。
敷居は流石にすり減っており、敷居には最適な洋桜(もあび)に入れ替えた。

 

           

 

           

 

             

耐震補強、断熱強化、以前より遥かに性能をアップさせ、改修が完了し、新しい命を守る。


K邸リホ-ム

2010-09-11 11:47:56 | K邸リホ-ム

K邸も完成が近づいてきた、おばあちゃんも大満足、85年の年月を経て、新しくリホ-ムされ、過去の思いを残し古い物と新しい物が、強調し合い住む人の思いの中で混じり合い、感慨深い思いとなって住む人の心を和ませるだろう。
次世代に語り継がれ、この家が残っている間は、語り継がれ、その言葉の中から過去の人に思いを巡らせる事にもなる。

            

昔は、扇風機すら無かった時代、今ほど夏は暑くは無かっただろうが、徒然草の中にも「住まいは夏をむねとすべし」とある。
夏の暑さをしのげる住まいが良い住まいと考えられていた。
ここに使っている”よしず”の建具は正に、その時代の夏を涼しく過ごす為の工夫で、夏用の建具として作られ、85年間保存されていた。

今回、そのよしず建具を使って、建具引き込み用の飾り仕切りとして生かす事を提案したのだった。
大切に保存されてた為、手直しも殆ど無く、下桟がすり減っていたため、増し木をし、寸法を調整。

 

             

続きの間の和室、縁側のガラス障子も、切り込まれたガラスも、昔のままで、今は既に作られていないガラスもあり、昔はガラスは希少価値が有ったのだろう、割れた時のために、予備のガラスも作られて保管されていた。


            

            
欄間も天井板も、85年の歳月を経てこの間に残し、この続きの間は、おばあちゃんと、昔のままの原型を残そうと話し合った。
当初、天井は諦めなければならないと思っていたが、解体作業が始まる前に、薬品で洗った結果、残せる事が分かったのだった。


K邸リホ-ム

2010-08-25 08:12:31 | K邸リホ-ム

                     

縁側のサッシも断熱サッシに入れ替え、木彫の縁とし、以前のシルバ-色より
縁側の趣もでて、床の松のフロ-リングと調和して和室の雰囲気が内障子と
マッチする。
後、数日で・・ここにも以前使われていた畳がリホ-ムされ敷き込まれる。
85年前の原型を留め、そのまま残す事で一致した。
天井も、建具も、畳みもそして一部破損した欄間も、美装をすることにより昔の綺麗さが蘇った。

和室の天井は、当初再利用するのは難しいと考え、張り替える事も考えの中にあっったが、工事着手時、蘇らせる事が出来るか試し洗いをしたのだった。
やはり、無垢の板は集成材と違い、磨けば光る事を、再認識することが出来、85年前貼られた杉板が、汚れを落とすことによって、本来の綺麗さが蘇った。

 

 

                         

耐震強度も・・約4倍にまで強度をあげ、今後神戸クラスの地震が来ても、倒壊することはない。
以前は耐震指数は0.28で、国が定めてる安全基準1.0からすると、四分の一の耐力しか保有していなかった為、この指数だと神戸地震を喰らうと、全壊となることは予測出来る。
今後安全を確保された中、新しく蘇ったこの家で、おばあちゃんとお孫さん夫婦の暮らしが新たに始まる。

 


K邸リホ-ム

2010-08-24 07:32:07 | K邸リホ-ム

K邸のリホ-ムも終盤を向かえ、生まれ変わった内装、85年前の柱天井などは美装し、新旧のコラボとなり、生まれ変わった表情をだす。

 

 

                        

 

                                

縁側には、松のフロ-リングを貼り、天井には新たにヨシズを、85年前作られ、夏の間だけ使われた建具を間仕切り建具として使い 85年の面影を取り込む。


職人

2010-08-09 07:53:10 | K邸リホ-ム

 

 建物の良し悪しは、最終的には職人の技量によって大きく変わり、職人気質を持っている人が少なくなった事も時代の変化から見えてくる。
殆どの建材が工場で作られ、現場で塗装の必要のない物が多く、現場でペンキ職人が内部仕上げをしなければならない現場は激減した。

昔は、新建材はあったが、合板類が殆どで今日ほど多くはなく、その分だけ無垢材を製材し、大工が現場でカンナ掛けをし、取り付けられペンキ職人が砥の粉(とのこ)を塗り、ペ-パ-を掛け、仕上げを施した。

               

新建材は施工には簡単であり、殆ど職人を必要とせず、ホ-ムセンタ-で売っている一本700円程ののこぎりが一本あれば用が足りる商品さえある。
ドアも殆どがノックダウン方式が採用され、プラモデルのように組み立てれば出来上がる商品が多くなってきている。

既製品が全て悪いとは言えないにしても、全てが既製品で作られるのが我慢ならず、手っ取り早く既製品で納めてしまうか、或いは自然素材にこだわりながら創っていくのかは、設計者の意識によって変わってくる。


K邸リホ-ム

2010-08-06 07:55:43 | K邸リホ-ム

   85年前建てられた時の知恵、ク-ラ-など無かった時代に夏の暑さ対策に考えられ作られたのがヨシズで作られた建具、夏になると入れ替え夏用の建具として作られた。
今は、ク-ラ-が有るために、入れ替えるような面倒な事をする必要もないが、今回はおばあちゃんと ”出来るだけ使える物は 生かしていきたい”との思いも一致し、この ヨシズ建具も間仕切りの役目をしてもらおうと、残すことになった。た。            

                                 

                  

この家に嫁ぎ、ながい年月をこの家で過ごし、この家を守り、この家に守られ、子供が育ち、この家が新しく生まれ変わり、お孫さんと一緒に新しい生活がスタ-トする。
今度は、お孫さん夫婦に見守られ、新しい家族が生まれる。


K邸リホ-ム

2010-08-05 07:24:57 | K邸リホ-ム

    85年前貼られた天井板が美装され 汚れが落とされ杉色が鮮やかに蘇った。
今回リホ-ムに当たり、おばあちゃんと出来るだけ良い物は残す事を優先し、蘇生させる事を優先することに。                     

                          

   縁側のサッシは複相ガラスに変え、今後結露することもなく、寒かった和室も暖かく過ごせる部屋となる。
壁は、下地処理が行われ、長年吸ってきた汚れを表にしみ出させないよう、灰汁止めも。             

                         

この敷台は、以前紀ノ川で薪集めをしている時、流木の中から見つかった檜の丸太を製材したもの。
長さ6メ-トルはあっただろうか、根っこの付いたまま上流より流れてきた宝物、表皮は腐り、見ただけでは檜とは確認できなかったが、チェンソ-で切った瞬間檜の匂いが広がった。

 

                                      
ここは、お孫さんの仕事場、ついたての向こうは 土間となり、ここにテ-ブルと椅子を置き、接客の出来るスペ-スとなり、そのついたてに、変木を使って、杉板で仕切りを作った。


K邸リホ-ム

2010-08-04 07:05:06 | K邸リホ-ム

    外部の足場も外され、屋根、壁、窓の改修も終わり、いよいよ内装も大詰めを向かえ、昨日は、おばあちゃん、お子さん、お孫さんと、三世代が集っての打ち合わせが行われた。
現場は、暑さにもめげず、K様を含め7人が、真面目に打ち合わせているかと思えば、脱線しながら、おばあちゃんの明るさと、それを受け継ぐ娘さんと、その息子さんの共通した明るさで・・笑いの絶えない現場打ち合わせとなった。  

                            

現場には 真っ白なサルスベリ の花が満開で、一見桜の花に見えるほど花は多くサルスベリの木は庭を設計する時、よく使うが、これほど見事に花を付けた木は初めてで、野生にあるサルスベリの木は、花がまばらで、葉もこんなに茂っていない。

                            

 

現場の南の道路脇に、この暑さをものともせず、元気に咲いている花があった誰かが植え、朝夕水をまいているのだろう。
黄色とピンクの可憐な花は、道行く人の目に止まり、一瞬この夏の暑さをわすれ、穏やかな気分にさせてくれそうな 可憐な花。

 

                           

                           

85年の時を過ごしてきたK邸、新しい命を吹き込まれ生まれ変わり、おばあちゃんとお孫さん家族を守って行かなければならない。
ここからまた、新しい時を刻み、寂しかった家に家族が増え、笑い声が聞こえるそんな家であって欲しいと願う。

 

 


K邸リホ-ム

2010-07-27 08:27:41 | K邸リホ-ム

大阪K邸 築85年のリホ-ム工事が終盤を向かえつつある。
まだ 造作工事真っ最中の為写真で紹介する所までは行かず、外壁が終わり居間の高い天井を確保するため、既存の天井を落とし、85年前の床板をそのまま化粧として蘇らせる。

              

後、一週間もあれば大工工事も終わり、屋根瓦も塗り替えられ、新しい家に生まれ変わる。
断熱も予想通り効果がでており、昨日の猛暑の中にあっても、14時の室内気温は30度以下で、風が通り外の暑さとは全く違う涼しさが確保されていた。


K邸リフォ-ム

2010-07-05 07:00:06 | K邸リホ-ム

   築85年のリホ-ムの工事 も梅雨の中にもかかわらず順調に進んでいる、外壁も1階部分は仕上がり、2階外壁も雨の合間を見逃さず天気予報を見ながら進めなければならない。                                                                            

                                  

玄関入り口の庇、既存庇を解体し、新たな庇を作った。
化粧垂木と、杉板の軒化粧板、腕木は米松、桁も米松 。

室内は、耐震補強の壁も作られ、梁も何カ所か補強を入れ、耐震強度は今までのと違い5倍程度の保有耐力を持たせる事が出来た。
これで、85年間の間に老朽化した、外部も、内装も、新しく化粧されまた、長い間住人を守る事となる。


K邸 リフォ-ム

2010-06-25 07:12:17 | K邸リホ-ム

(基礎補強完了)          (床板 サッシ )

築85年の家が改修されていく、外部からの耐震補強、基礎の補強等が終わり、1階の床下地が造られ、いよいよ内部の補強も含め、建物は改修のスピ-ドが進み、残される壁、新たに造られる壁、など耐震強度を考え補強され、4倍程度の耐力までに強度が増す。

サッシは全て断熱サッシに取り替え、外壁には現場吹き発泡断熱材を吹きつけ、
85年の間に出来た隙間を全て断熱材によって塞ぎ、すきま風が入らなくなり、過去に造られた土壁の断熱も蘇らせる。
奥の和室は、既存のまま残し、天井板は美装により汚れや染みぬきをし、壁は新しく塗り替え、畳は以前の畳みを使い。
85年前の良さをそのまま残す。


素敵なおばあちゃんの住む家

2010-05-22 07:25:21 | K邸リホ-ム

 耐震計算の結果、0.28と地震には耐えられない結果が出た。
屋根瓦も葺き替えの予定だったが、予算の都合で残念したが、葺き替えの理由には耐震強度をあげる目的もあった。
耐震壁を確保し、屋根を葺き替える事で、強度指数は1.2以上の判定となったが、葺き替え費用300万円は負担が大きすぎる。

耐震壁補強で1.0の耐震指数で納得し、葺き替え費用は節約する事となった。

         

外周柱基礎は、御影石を加工し連続に敷き並べ、外部の雨水が床に進入しないようにしている。
室内の柱は、四角錐に加工された御影石。
1階の階高さは高く、基礎の強度を補うため、天井裏のバットレス(頬杖)で補強している。

この補強が有ったため、85年間の間この家は変形を起こすことなく耐えてきたのだろう。

            

 

 


素敵なおばあちゃんの住む家

2010-05-21 18:12:34 | K邸リホ-ム

  築85年の家を、この家に嫁ぎ守ってきたおばあちゃんの家
新しい世代にバトンタッチをし、残したいと願うおばあちゃん。
解体し、立て替える方が、手間はかからないかも知れないが、
手間をかけても、残してあげたいと思うのは、私も同じ。

         

85年前の2階建ての建物は珍しく、その当時は多分、御殿と噂されたに違いない。
地栂(じ とが)を使い、長尺の小屋丸太を使い、強度を出す為の工夫が建物に見られる。
基礎には、御影石の割石を使い、その上に柱を建てている。
手間と費用をかけてでも、二階建ての夢を叶えたかったのだろう。