建築業界はますます不振傾向の色が強くなってきた。
懸念されるのは運転資金欲しさに安い契約金、つまり
原価を割り込んだ赤字覚悟で受注する業者が増えてくる。 過去のオイルショックの時もしかり、背に腹は変えられないと、資金を回す目的で誰にも出せない金額を提示する。
建てる側に取ってみれば、安いに越したことはなしで、飛びついてしまうが、それを旨く渡り抜けた人は儲けものと言えるだろうが、手放しでは喜べない所はあるが、専門家でなければ見抜けないところで手を抜き、出来るだけ赤字を少なくする。
過去に、その被害に遭ったお客さんが相談に来られた事があるが、それは最悪のケ-スで、5社のうちで一番安い業者と契約したのだが、着工して基礎を掘った時点で、不当たりを出して倒産し、社長は夜逃げをし、連絡が付かず、残された施主は契約金の400万円を支払い、結局350万円それ以上ドブに捨てた事となった。
もし、契約時に金額の見極めが出来る人が居たなら、中身を検討し、この金額ではこの家は出来ない筈だと見抜けた筈なのだが、そこは日本人の優しさがあり、厳しさを持って立ち向かえない気質もあり、最悪のケ-スは考えず、施工業者を信頼してしまうのだろう。
今後、またこのようなケ-スは多発することは間違いない、それを避けるためにはプロの目で中身を見極め、
安さに乗るならなおさら、途中で倒産されても損のでない方法も考えた上で臨まないと資金を失ってしまう。
家づくりで失敗しない方法は、施主が直接施工業者と渡り合わない事と、つまりプロと素人の交渉は避ける事であり、交渉する場合必ず施主側からの専門家を入れなければ、施工業者のペ-スで決められてしまう事になる。
明細書と単価がしっかり表記されていない施工業者は除外し、一式見積もりの項目の多い業者は信頼出来ないと考えるべきでしょう。
意外と積算が出来ない施工業者は存在し、それでも仕事は受注しているようで、多分一式見積もりでも通用する優しい御施主様が、居るからなのだろう。
以前そんな業者が施主の知り合いだからと見積もり書を持って来たが、A4用紙2枚に書かれた最悪の見積書で、本体工事一式と、経費一式とオプション工事一式の
の3項目しかなく、この内容で工事を進められればたまらないと、丁重にお断りした。
帰り際に「どうして見積書をつくらないのですか?」と聞いたところ「見積書明細は書いたことがありません」との答えが返ってきたが、それを聞いて言葉が出なかった。
明細書が無ければ何を根拠に契約したのかが分からず、悪く考えれば着工してしまえば施工業者の意のままで動かせると言うことになってしまう。
そんな業者が今なお仕事が出来てるってことは、信じられないが、そこが、日本の穏やかさであり、無防備さでもあるのかもしれない。