よく分かる 住まいづくり・・(檀建築コンサルタント)

私達の考える住まいは、住まいづくりの原価を探り、無駄のない資金で、遊び心のある家を作る事。

原価

2010-02-27 07:52:44 | 住まいづくりの進め方、考え方

 競争入札の中では原価は問わない、仕様書に書いている内容に忠実に金額を出せば、後は金額的に安い業者で決まる事になる。
入札前には、予定入札価格が提示され、今問題になっているダム工事においても、入札前に設計見積りがあり、これを越える建設費用では落札出来ない。

つまり、事前に出される価格は、余裕のある金額であると言ってもいいかもしれない。
過去、国が行ってきた工事の落札価格は、事前に出された予定価格の、殆ど100%に近い金額で落札されている。

普通、このような事は無く、複数の業者が入札に参加した場合、参加した数だけの工事費があり、上下で、2~3割以上の開きは必ず出るのが現実だろう。
競争入札は時によってはパホ-マンスに過ぎないものとなってしまう。

競争入札と違って、原価積算は、価格競争ではなく、品質に基づき、掛け値無しで商品を買い、施工業者の使っている下請け業者が高ければ、設計者の判断でその業者を入れ替える事も出来る。
原価積算とは、流通価格の中で最も安い価格を優先し、施工業者が使っている下請け業者を越え、価格を絞り込む方法といっていい。




建設費

2010-02-26 08:05:22 | 住まいづくりの進め方、考え方

  予算を観るとき、観る人の置かれている立場により、またその意識によっても変わってくる。
今、日本経済は不況の中にあり、かつて高度成長を経て、日本が安定期に入ったとき、豊かな生活を目指し、切磋琢磨した意識も忘れ、結局のところ日本を引っ張ってきた霞ヶ関の連中も、自分の保身の為、日本の国の行く末を案じる事も考えなくなり、4000以上もの法人を作り、国民から吸い上げた税金を自分たちのブレ~ンに流してきた。

一旦造り上げた組織は、そう簡単に解体することはできず、その組織の中には、働く人がいて、その家族が居る。
ここまで来て、まだ本当の危機感は感じておらず、何処かで景気回復を望み、自然の流れに身を委ねようとしているのだろう。
国も個人も、一年の生活にかかる費用は、金額の大きさは違っても、その手立ては同じで、自分の家族が生きていく資金が不足しそうになれば、生活費を借金し、生きていこうとは誰も考えない。
それをすれば、借金が膨らみ返済が出来ない事を知っているかだ。
まず、無駄を無くし、買いたい物を控え、食事を切りつめ、収入と支出のバランスの取れた生活を考える。

今年も年度末を迎え、国も地方も、相変わらず道路を掘り起こし、予算を使い切る為、同じ事をやっている。
自分のお金なら、使い切りなど考えず、もっと有効に使うことを考えるだろうが、役所の人も、国で働いている人も、結局自分の生活に影響しないお金を、意識なく配分しているのに過ぎない。

過去に、国や地方が作ってきた箱物も、競争入札で業者を決めていたが、結局落札された予算は、孫請けまでいっても補えるだけの予算を許していた。
競争入札本来の機能を果たせず、談合により予算は確保され、形だけ整えた中で、国の予算は殆どが人間の欲の中で使われていたのだろう。


建設費

2010-02-25 05:50:01 | 住まいづくりの進め方、考え方

 15年前、建設費用を原価で積算するよう方向付けようと、協力施工業者に働き書けた。
最初は、業者からの反発もあったが、今は逆に原価を表に出す方が楽だと言っている程だ。
原価計算は特別ややっこしいことではなく、逆に施工業者の手間が省ける事になる。

見積書作成は、設計者から図面を受け取り、工務店の下請け業者に工事範囲の図面を流す、基礎工事、サッシ工事、屋根工事、外壁工事、板金工事、家具工事・・・・。
と、約20社以上の業者に依頼した見積書が届くと、積算が始まり、積算担当者が、下請けからは出てこない部分の数量積算を行い、それと平行し各下請けから出された見積書の内容と数量をチェックしながら、値交渉を行う。
金額と施工内容を確認し、納まりの悪いところがあれば、修正を加え、予算の変更をも含めて発注金額を決めていく。

この時点で、建物の品質は決まっていくので、本来はその家の現場を担当する現場監督が積算を行えば、業者と打ち合わせした納まりは、間違うことなく現場で施工されるが、見積もり者と現場監督が異なる場合、伝達の不備や、施工業者の思い違いなどで、決めた通り施工されない場合もある。

建物の良し悪しは、設計図は元より、施工する側の現場監督の技量によって大きく違いがでる。
知識や現場経験が多い監督程、積算数量や単価は手直しする必要もなく、ほぼ正確な内容であがってくる。
しかし、施工業者も決められた経費以外に、予備費や経費の上積みをと考えているのが本音で、経験や知識のある監督ほど、巧妙に予算確保を積算の中で分からないように盛り込んでくる。

施工業者から出された内容をチェックするには、する側も積算の経験や、現場監督の経験なぞ実際経験を積んでいなければ、出された予算を見極めることが出来ず、殆どの設計事務所はこの見極めが出来ないため、見比べて施工金額の安い業者を選ぶ為、今なお競争入札の手段を持って業者を決める。

原価で積算すると言う事は、100円の物を掛け値無しで消費者が買える事になる。
その原価100円が高いのか安いのかを判断するのが我々設計者側の技量であり、知識であり経験によって見極めなければならない事となる。

今年3月から着工する立て替え工事で、既存建物の解体があり、建物予算は、建設費と解体費がそれぞれ出されており、建設費は2700万円で、解体工事は350万円の費用となっていた。
私の経験の中では200万円程度で解体ができると考えて予算配分をしていた。
しかし、進入道路が狭く、隣の畑を一部使わせて頂き、20メ-トル程度の進入路を造るために50万を考えていたのが、350万は高いと感じたので、こちらで信頼の出来る解体業者を探し、現場をみせ、担当者を呼び値交渉をしたところ、こちらの思惑の進入道路を含み250万円で承諾が得られた為、見積書を調整、その他、建物の各項目の金額の修正と、部分的に仕上げ内容を変更し、消費税込みの2700万円の建物費用と解体費350万円を査定し、最終的な建物予算は、2570万円と解体費250万円となった。

結果、建物費用が130万円の調整と、解体費の100万円の調整で合計230万円の減額で、お施主様と工務店の契約が完了した。




建設費

2010-02-24 07:58:56 | 住まいづくりの進め方、考え方

 建物には多くのパ-ツがあり、キッチンや便器のように、そのまま取り付ければ良い物や、別注家具のように、採寸しその現場に合わせて作る物なぞ、種種雑多の寄せ集めと言っていいが、現場の条件や建物の内容によって金額もそれぞれ違いが出る。

とにかく全て人の手によって作られるもので、予算の為の押しつけの中で、職人の良さを果たして出し得る事が出来るかが問題となってくる。
工務店の中には、入札に勝たなければならないため、入札金額を決める際、下請けの見積書を値切りにかけ、受注した予算の中から工事発注する際に、工務店の利益を守るため、再び値切りにかける。

このように、競争入札の裏には熾烈な値切りがあり、
設計者の予算を考えず書き上げた内容が、建物のみてくれが優先され、本質的な品質が置き去りにされる場合さえある。
このように、消費者の分からないところで、消費者が望まない方向に動き、金額優先の中で品質が見捨てられ
ている。


建設費

2010-02-23 07:20:31 | 住まいづくりの進め方、考え方

建設費は複数の業者が出せば、その業者の数だけ、金額の違った建設費が出される。
極端に違う場合、2~3割の開きさえ出る場合もあり、普通はそれだけの開きが有ること自体おかしいと言っていい。

例えば、3000万円の建設費用がA社から出たとすると、B社が3500万円となり、C社は2500万円の見積書もあり得る事となり、最低と最高で1000万円の開きが出る場合さえあり得るのだ。
木造の建物だとすると、1000万円の開きは、C社が基礎は無料、屋根工事も無料、大工手間も無料としてやっと1000万円の開きが無くなる程の大きな開きとなる。

このような事は現実としてあり得ないことであり、3500万円の見積書が正解なのか、3000万円が正解なのかさえ一般の消費者は判断出来ない。
私は、過去に施工業者の立場で競争入札に参加した事があり、実行予算を2週間程かけて組み上げ、無駄が無いか見直し、参加業者の予算を想定し、それに負けない予算とするため、金額を見直し、時には利益無しの
金額、つまり実行予算そのままで入札に参加する時もあったが、それでも受注出来ない事もある。このような入札は、良い建物を造ると言う考えではなく、とにかく仕事を受注するために予算をそぎ落とす。

もし、そぎ落とした予算で受注出来たら、今度は利益のない受注金額から、会社の利益を出すため、工事の予算を絞らなければならなくなり、下請け業者に無理な予算を押しつける事になり、実際建物を造る折り、その押しつけられた予算により建物の品質が落ちる事となる。
今考えると、入札は、ただ金額を下げる為の競争で、その行為の中には、良い建物を造りたいなどと言った考えなどはおきない。

 

 


建設費用

2010-02-22 07:33:12 | 住まいづくり

 今なお、建設費を坪単価で表現している。
その方が、お客様が受け入れやすいからそうなっている。
坪単価の表現は、今のような工務店やハウスメ-カ-が存在しなかった頃、日本の住宅は、殆ど地域の大工さんが家を建設していた。

見積書も無く、今まで建ててきた家の金額、つまり坪単価で建物金額を出し、それが建物金額の”丼勘定”が今なお建物金額を比較する手段となっているのは、消費者側にそれ以外に測る事の出来るスケ-ルを持っていないからだろう。
坪単価が受け入れるから、建物の金額明細書が付かなくても不満とは思わず、一式見積もりを簡単に受け入れてしまう。

ハウスメ-カ-や建て売り業者は殆ど明細書をつけるこ業者はなく、規格プランならともかく、注文住宅を売りにしている場合、大項目だけで、明細書が付かない予算を受け入れてしまうと言うことは、危険だと言える。

小規模の工務店の中にも、見積書を正しく書けない業者も存在する。
以前、クライアントが推薦した工務店で、予算折衝をする際、持ってきた見積書は、2枚のみで、本体工事、オプション工事、事務所経費の3項目だけが書かれており、内訳明細書が無いため、予算の折衝が出来ず、その工務店の責任者に、

「正式な見積書を書いてください」とお願いすると、

「内訳明細書を今まで書いたことがないから分かりません」

との返答があり、驚きよりも諦めの方が強く感じられた。
内訳明細書を作れないと言うことは、この工務店には実行予算そのものが無いということで、工事途中で自分の都合のいい方向に変えられる事になり、契約内容は不確定となってしまう。

今なお、このような工務店が看板を出し、何も分からないで頼って来るお客様に、プロだと思わせ受注しているのは大きな問題でもあり、消費者の意識の低さでも有るのだろう。

 


プランニング

2010-02-20 07:59:59 | 住まいづくり

 若い頃は自信を持ってお客様に見せる事の出来るプランがなかなか出来ず、何枚も何枚もプランを書いたもので、机の周りは丸めた紙が散乱していたのが思い出される。

プランがまとまらなかった理由を、いま振り返ってみると、多分プランづくりの”核”がなかったのだろうと思われる。
絵としてまとめようとしたり、形を綺麗に作ろうとしたり、結局のところ住み手のライフスタイルを考えず、行き着く場所が分からないままプランづくりの中で、自分一人がさまよっていたように思える。

いつ頃からだろうか?
プランが煮詰まらないで何枚も書き直す事が殆ど無くなり、クライアントからのプラン変更も部分的なものだけで、書き直す事も殆ど無く、最初のプランで決まってしまう。
これは、プランづくりの上手い、下手の問題ではなく、多分考え方の違いで、以前は自分が作るのだという思いの方が強く、住み手のライフスタイルの延長でプランを考える事をしなかったのだろう。

今は、住み手からプランを引き出す。
自分がプランを提案するのではなく、相手のライフスタイルを探りながら、言葉からヒントをもらい、それを形にはめ込み、その途中に”一ひねり”を組み込んでスパイスを加え、トッピングし、「まるで料理人のようだ!」と自分でもそう思えてくる。

物づくりは全てが共通し、相手の好みを何処に生かすかが大事な事で、それを引き立たせるスパイスを使いこなすのが料理人の極意で、目をにぎわせる飾りであったり、メインを引き立たせるスパイスであったり。
住まいづくりの原点はやはり住み手にある。



 


プランニング

2010-02-19 09:28:17 | 住まいづくり

 建物を設計する中で、楽しいのはプランニング段階で、
言葉のやりとりの中からヒントを探し、クライアントの望む形を拾いあげる。
時には、こちらが暴走するときもあるが、歳を重ねるにつれそれも滅多にない。

暴走するのも楽しいものなんですが、受け入れられない時は戻す作業が大変で、失速する時すらあったように記憶している。
反省があり、落胆さえ覚えるが、それは相手方のせいではなく、全てこちら側の思惑で走ってしまったので、
そんな時は、ただただ反省するのみ。

昨日は、プランに行き詰まり 5年前に設計したログ喫茶に図面を持ち、メジャ~を持ち、出かけた。
事務所から20分程度走れば、山の中腹に角ログの、可愛い喫茶店が建っている。
貴志川が一望出来、ヤマガラが餌を求めてやってくる、自然いっぱいの環境のなかにある。

オ-ナ-から、野鳥の餌箱を作って欲しいと頼まれているので、今、餌箱の台になる自然木を探している。
時には気分を変えてプランニングをすると、妙案やアイデアが、浮かぶ場合がある。
昨日もプランの行き詰まりを越えるため出かけたのだった。

オ-ナ-も「檀さん、今日は難しい顔をしてますねえ!」
疲れた時は甘いものを・・とお菓子を出してくれた。
プランニングの楽しみや、苦しみは、このオ-ナ-も良く理解してくれている。
この喫茶店に仕事道具を持って入るときは、行き詰まっている時だと知っているのだろう。
このログ喫茶を作る時も、楽しみながら迷いながら決断し、このログ喫茶は完成した。

住まいづくりの良き理解者でもある。
過去のスケッチを全てファイリングして大切に保管してもらっているのは嬉しいものだ。
結局、環境を変えた事によって、気に入ってもらえそうなプランニングが出来、N様にファックスをいれ、早速今朝早くその反応があり、スカイプのタスクバ-が点滅、開いて観れば・・・「一発OKです!」とメッセ-ジが入った。

ログ喫茶デジブックURL
http://www.digibook.net/d/2d15e13fb09f9e54a6b475771538f09b/


とりとめもなく

2010-02-17 20:48:52 | とりとめもなく

 寒い日が続く、温くなったり、寒くなったり、ぽかぽか陽気が次の日は真冬の気温に急降下だ。
こんなにも寒暖の差が激しいと、お年寄りはそれについて行けなく、体調を壊してしまう。
昔、日本の平均寿命は50歳以下だった時も有ったそうだが、今は50歳と言えばバリバリの働き盛りで、女性の平均寿命は85歳を越え、男子の平均寿命も、すぐに80歳を越えるだろう。

今、特別養護老人ホ-ムの改修工事の為、打ち合わせに出向くが、殆どが女性で、男女比率を聞いて驚いたのは50人中男性は一人だそうで、15年間殆ど比率は変わらないとの事だった。
この現実から考えても、女性はとにかく強い生き物なのだろう。
男女平等雇用法も定着し、まだ格差は有るにしても、今後その格差も無くなり、多分女性社会になる事は間違いないと思っている。

男性に比べ持続力に優れ、能力にも優れ、体力にも優れている。
三拍子揃っている生き物で有る以上、必ずその時代はやってくる。

 

 

 


K邸リホ-ム

2010-02-16 17:29:57 | K邸リホ-ム

 今朝は、目覚めがよかったのか、N邸のお気に入りプランが出来つつあるので、血が騒いだのか、朝6時に目が覚め、寝るのがもったいないと、早朝キャド入力をこなし、3時間フル入力を終え、9時から大阪K邸の現場実測に、業者を引き連れ、出向いた。

K様も、引っ越しの準備と、捨てる物を分類し、76歳のおばあちゃんも元気よく動いていた。
「疲れからか、肩が痛くてサロンパスを貼ってるんです」と。

畳みをめくり、床下の具合や、点検口から小屋組を調べさせてもらい、85年前に建てられた60坪の2階建ての木柄は大きく、今は殆ど大きな梁は輸入ものだが、その当時は、輸入物も今のように簡単には手に入らなかったし、職人自身輸入ものは嫌っただろう事は推測出来る。

 

桁、梁は大きな物で480㎜、桁周りでも300㎜近い物を使っていた。
床板は、7分板(21㎜)地栂(国内の栂)で、今は、殆どが米栂の輸入物だが、地栂は目がこんでいて、重さも米栂とは違う。
85年前の2階建ては、珍しくその当時は近所の人が見に来たと言う。

 

土地は広く、2階建てを建てる必要は無かっただろうが、憧れもあったのだろう、本家の親元が、分家として子供に建てたのだと言う。
調査も終わり、おばあちゃんに、今後の工事内容を説明し、基礎は全て鉄筋コンクリ-トにし、柱を受けている石は、コンクリ-トで寝巻きをしてしまい、要所に筋交いを入れ、天井は全て落としてしまう事も説明すると、納得はしてもらったが、内装をやり変える程度にしか思っていなかったようで、驚いていた。

今回の建物は、耐震強度が三分の一程度しか確保されておらず、0.28から1.2まで強度を上げるためには、基礎の強化と、耐震壁の数を増やさなければならず、60坪の豪邸を如何に工夫をし、リホ-ムの価値を出すかが私の挑戦でもある。



リホ-ム

2010-02-15 07:49:04 | リホ-ム

 今後日本は、リホ-ムが主流になり新築や立て替えの数は減少傾向にある。
過去の住宅着工件数は年間170万棟がピ-クで年々減少し、今は、不況の影響もあり、80万棟程度まで減少している。

これは、景気低迷が減少の主な理由ではなく、住宅不足が高度成長と共に満たされ、少子化の減少が進み、新築は、分家であったり、立て替えであったりで、飽和状態にまで行き着いたと言える。
今後は、今までに建てられた家を建て替えではなく、リホ~ムを行い維持していく時代に既になっている。
経済成長も今後望めず、職を失うことなく働ければ良しとしなければならない。

企業も、リホ-ムへと方向性を変え、多くの業者がリホ-ムへと参入している。
リホ-ムは新築と違い、机上でまとめ上げる事が難しく、また、新築の工期とは違い、短期間で仕上げなければ予算に合わず、現場判断が重要になってくる。

予算組においても、調査段階で多くの情報を得ないと、正確な予算が掴めず、”どんぶり勘定”となってしまい少々の見込み違いも多く利幅の中で埋めるというのが現状で、原価が300万円で済む工事も、600万円の予算を計上し受注しているのが現状だろう。

リホ-ムは建設業の中でも簡単に請け負いすることが出来、簡単に言えば、昨日までサラリ-マンをしていた人が、明日からリホ-ムを請け負うことも可能となる。
全く建築知識のない人でも、出来る為、発注側はその業者の見極めが重要となってくる。

本来は、新築より高度な知識を持っていなければならない監督も、現実は全く知識を持たない監督が現場に立つ。
建築基準法も、新築においては整備されているが、リホ-ム基準はこれから整備されなければならないのが現状でもある。


 


リホ-ム

2010-02-14 10:43:22 | とりとめもなく

 私が小学校3年の頃、親父が一大決心で家を建て直す決断をし、30坪の平屋を建てた。
家族9人が住む新居を、親父もわくわくしながら建てたのだろう。
竹を組み、赤土にワラを切り込み、貫のある所は割れを防ぐ為に使うシュロを集め、家族が家づくりに参加し、土壁を塗り、柱に食用油で溶かした紅を塗った。

同じ喜びを感じながら、家づくりをした記憶は、私の中に残っており、その記憶から家づくりの道に進んだ。
家には、殆どの大工道具が揃っていた。
家が完成した後にも、親父は池を作り、納屋を造り、石垣を積み、家の周りの整備を自らが行った。

私は、それを観て大きくなり、今、同じ事をやっている自分は、確かに親から引き継ぎ、当たり前の事をやっているのだと感じる。
物づくりの楽しさを教えてくれたのは、親父であり、「自分の出来ることは自分でやる」・・それを教えてくれたのも多分親父なんだろう。

今、家づくりの仕事をさせて頂き、出来ればクライアントが、家づくりに参加して頂ければいいと思っている。
それは、完成後家を維持していく中で、役に立つ体験でもあり、物を作る喜びと、大変さを味わってもらえば、家に対する愛着もあり、思い出としても残っていく。

過去には多くのお人が、住まいづくりに参加してもらった。

ログハウスの塗装した人、部屋の壁を全て塗った人、庭を造った人、その人達の共通の感想は「いや~~~ぁ思ったより大変でした。」と言う。
しかし、「楽しかった!」と必ず言ってくれる。
何の物づくりをしても、作る事は楽しいもので、職人がやったようには上手く行かなくとも、満足感と自分で造り上げた喜びが残るもの。

クライアントの中には、今までやったことが無かった日曜大工を、家づくりで目覚め、ホ~ムセンタ~にせっせと通い、大工道具を買い込み、椅子やテ~ブル、本箱、なぞ作り始める人もいる。
その奥様の感想は「最近工具が知らないうちに増え、置き場所に困っています」との声も聞く。

いいことだ!
道具が揃えば、やる気も起こり、子供等にも「お父さんは何でも出来る」と子供は感じてくれ、それが子供等の心の中に染み込み、大人になった時、また子供等も同じ事をやり始めるに違いない。


リホ-ム

2010-02-13 07:34:19 | リホ-ム

 今後日本はリホ-ムによって住まいを維持していく事の出来る法律を整備しなければならない。
個人の住まいは個人の財産でもあるが、国の財産であるとも言える。
耐震的にも過去の建築基準法で建てられた家に対し、人の命を守る為の法律により補助金や助成金制度も作り、地震に強い家にしなければならないだろう。

国は地震の被害が有るたび建築基準法を見直してきた。
最も大きな見直しは、神戸震災後基準は大きく変わり、それ以前に建てられた在来工法は現在の基準はクリヤァ-出来ない程多くの金物を必要としている。
簡単に言ってしまえば、霞ヶ関の頭脳集団が工学的に考えた耐震理論が神戸震災では有効に働かなかったと言うことなのだろうが、その見込み違いに対しては責任を負わない。

ならば、その見込み違いの基準を、現行の基準に近づける手立てを考えなければ、今後予測される南海沖地震や、関東地震が起きれば日本は大きな財産を失う事になり、復興に莫大な予算も必要となり、多くの命を失うことになる。
転ばぬ先の杖で、過去の官僚達を養っている天下り法人を切り捨ててでも国民の暮らしと命を守るための手立てを考えるのが急務だろう。



 


リホ-ム

2010-02-12 07:55:58 | リホ-ム

 日本は今まで、リホ-ム優先ではなく、立て替え優先で家づくりを考え、築年数20年以下の建物も、躊躇なく取り壊し、新しい家に建て替えた。
私は、20年前に建物の調査を行いたく、1000人にアンケ-ト調査を行った事があり、その結果立て替え年数の平均が16年との数字になったのに驚いた。

日本は経済大国と言われ、世界の金融ランキングも日本の銀行が上位にランクされてきた時代もバブル崩壊で信用も崩れたが、ここまでの日本経済の成長に伴い、個人の豊かさに繋がり、使い捨ての国にとなってしまったのだろう。

15年前だろうか、カナダにログハウスの打ち合わせにクライアント同伴で訪れた際、夜ホテルのテレビをつけると、中古住宅ばかりのコマ~シャルが流れていた。
その頃の為替レ-ト(カナダドル)は一ドル75円。
電卓を手にして、映し出される価格を日本円に換算しながら観て、決して安くないと感じ、日本感覚では高くて買えない金額にも思えた。

新築と比べれば安いのだが、日本感覚とすれば、どうしても”古い家”として観てしまうからで、日本ではその当時の中古査定は築7年を過ぎてしまえば殆ど評価対称には入らず、7年以下の築年数であっても、評価は四分の一とか五分の一の評価だった。
昔、日本では自分の家の修理はその家の主人が行っていた。
金槌、のこぎり、カンナ、ノミ、などの大工道具は持っており、職人を呼ばなくても自分で出来る修理は自らが行い家を維持してきたが、豊かさの中で自分で修理する意識も薄れ、古くなってきたから立て直すとなってしまった。

カナダには日本が失った意識が残っており、家は住人が修理し、ペンキの塗り替えはペンキ職人を呼ばず自分で塗り替えるという。
今、築85年のリホ-ムを考えながら思うことは、これからは、もっと家を大事にし財産を守る為にも、子供の代まで残せるような家を考え、自らが道具を持ち、昔のように家を守って行かなければならないのだろう。



リホ-ム

2010-02-11 08:32:51 | リホ-ム

 D邸の立て替え工事で、3日前から解体工事が始まり、長年住み慣れた家が、産業廃棄物として処理されてしまう。
最初の計画は、リホ-ムをと考え、実測し調査をした結果、50年前に建てられたRC造の耐震補強と、50年前の基準で建てられた強度に問題があり、補強費用に費用がかかる為、立て替えの結論を出した。

昨日解体中の現場を見に行き感じた事は、結果的に立て替えの決断は正しかった。
天井を落とし、内装を取り去った後には、コンクリ-トの駆体が見え、セメントが廻りきらず砂利が固まった部分がいたるところに見受けられ、梁は主筋が見え錆びていた。

この当時はまだコンパネが普及していなかった時代で、小幅板を打って仮枠パネルを作っていた。
その為もあって、流動性が妨げられ、セメントの”ノロ”が砂利に廻っていきにくく、豆砂利が出来やすかったのだろう。

一方大阪で築85年のK邸のリホ-ム工事が始まる、今は調査の状態で、平行しプランも煮詰まり、あさってには、床下、天井、壁の一部をはがし、構造の状況を確認する予定。
耐震診断を行った結果、今の建物は0.28の保有体力しか持っておらず、国土交通省の推奨する体力は1.0以上で、数字的な判断では、この家は神戸震災程度の地震が来れば倒壊すると言えるだろう。

耐震強度を高める為、壁を増やし、補強をし改装プランで耐震診断を行った結果1.28まで強度をあげる事が出来るが、あくまでも机上の数字であり、この強度を確保するには、基礎を補強しなければ現実のものにはならない為、85年前の石に柱を建てただけの基礎から、鉄筋コンクリ-トの基礎にこの家を乗せなければ強度は出ない。

構造の調査を終えなければ、立て替えかリホ-ムかの決断は出来ないだろうが、屋根を葺き替え、壁を補強し、基礎を補強し、高断熱の仕様にするため、インプラスサッシを使い、二重窓とする。
45坪以上のこの建物で、リホ-ム費用1800万円程度で納まれば立て替えよりも安く付くと考えている。

85年の歴史がこの家には刻まれており、調査の為に撮影していた写真を観て、おばあちゃんが涙を流していた。「この写真私にもくださいね」と・・・。
今は亡きご主人との思いでがいっぱい詰まった家なのだろう。
出来れば、この家を産業廃棄物にはせず、おばあちゃんの為にも残してあげればと思っている。