二年前に決めたはずだった、もう見ないと。
元旦那と離婚して十一年が経った。
ろくに自分の父親とも話した事のない息子の話し方は、私の記憶の片隅に残り完全に消去することの出来ないあの人の話し方そのものだった、気持ちの悪くなるほどに。
勿論あの人に「お母さん」と、呼ばれた事はないが、あの人があの忌まわしい母親を呼ぶ時は、息子が今の私を呼ぶのと同じものなはずだ。
息子の、根拠の無い自信の中で生きている生活態度も、あの人そのものだ。
俺は大丈夫だよ、と言って、高校の受検勉強を息子はしない。
こんな生活が続けば、あの人の様になってしまいそうだ。
あの人は、今何をしているのだろう、と言う事を今日は一日考えていた。
考えたくもない事だと自覚していたので、軽く頭を振った。
客観的に自分の行動を見れば、まるで安いドラマのウソ臭い演技の様に思えておかしくなり、俯きながら唇の端を曲げた。
二年前から、あの人のブログを見ないと決めていた。
それは、若くて脚のキレイな女が出来たと記事にしていた事が原因だ。
悔しい事じゃないんだけど・・・、と自分の気持ちにもウソをついた
しかしわざわざ、そんな事を書くのは、あの人が私を忘れていない証拠だと思う。
あの人が私の事を忘れていないのなら、私の方こそ早くあの人を忘れようと思った。
今日、そんなあの人のブログを検索したのは、母子二人の夕食時、息子に「俺の父ちゃんって今何してんの?」と、おかずを催促する様な口調で聞かれた事がきっかけだった。
息子にしても、何気ない会話の一つを装ってはいたが、目線を合せなかった事などから考えれば、一大決心をして母親に聞いたのだろう。
答えを用意していなかった私はうろたえた。
あんたみたいにしてんじゃないの?と、鮭をほぐしながら私が言うと、息子がこちらを見た気配がしたが、私は息子の方を見なかった、見れなかったと言ってもいい。
今まで、一度も息子は父親の事について触れなかった。
何故、今日なんだろう?
深い意味はないのだ、息子は今まで、毎日父親の事を考えていたのかも知れない。
夜に息子が寝た後に、あの人のブログを検索した。
驚く事にあの人は結婚をして、男の子の子供がいた。
一歳になると言う事が記事になっていて、その子の名前が私の息子と、私の名前の一文字ずつから出来た珍しく奇妙な名前だった。
すると当たり前の事を思い出した、私の息子はあの人にとっても息子なのだと。
そして私は、不意にあの人の愛を受け入れていた時期を思い出してしまった。
新しく愛したはずの女性との子供に、元妻の名前の漢字を入れているあの人の神経を疑ったが、悪い気分がしない自分にも驚き、あの人が初めて私に声をかけて来た日を思い出していた。
元旦那と離婚して十一年が経った。
ろくに自分の父親とも話した事のない息子の話し方は、私の記憶の片隅に残り完全に消去することの出来ないあの人の話し方そのものだった、気持ちの悪くなるほどに。
勿論あの人に「お母さん」と、呼ばれた事はないが、あの人があの忌まわしい母親を呼ぶ時は、息子が今の私を呼ぶのと同じものなはずだ。
息子の、根拠の無い自信の中で生きている生活態度も、あの人そのものだ。
俺は大丈夫だよ、と言って、高校の受検勉強を息子はしない。
こんな生活が続けば、あの人の様になってしまいそうだ。
あの人は、今何をしているのだろう、と言う事を今日は一日考えていた。
考えたくもない事だと自覚していたので、軽く頭を振った。
客観的に自分の行動を見れば、まるで安いドラマのウソ臭い演技の様に思えておかしくなり、俯きながら唇の端を曲げた。
二年前から、あの人のブログを見ないと決めていた。
それは、若くて脚のキレイな女が出来たと記事にしていた事が原因だ。
悔しい事じゃないんだけど・・・、と自分の気持ちにもウソをついた
しかしわざわざ、そんな事を書くのは、あの人が私を忘れていない証拠だと思う。
あの人が私の事を忘れていないのなら、私の方こそ早くあの人を忘れようと思った。
今日、そんなあの人のブログを検索したのは、母子二人の夕食時、息子に「俺の父ちゃんって今何してんの?」と、おかずを催促する様な口調で聞かれた事がきっかけだった。
息子にしても、何気ない会話の一つを装ってはいたが、目線を合せなかった事などから考えれば、一大決心をして母親に聞いたのだろう。
答えを用意していなかった私はうろたえた。
あんたみたいにしてんじゃないの?と、鮭をほぐしながら私が言うと、息子がこちらを見た気配がしたが、私は息子の方を見なかった、見れなかったと言ってもいい。
今まで、一度も息子は父親の事について触れなかった。
何故、今日なんだろう?
深い意味はないのだ、息子は今まで、毎日父親の事を考えていたのかも知れない。
夜に息子が寝た後に、あの人のブログを検索した。
驚く事にあの人は結婚をして、男の子の子供がいた。
一歳になると言う事が記事になっていて、その子の名前が私の息子と、私の名前の一文字ずつから出来た珍しく奇妙な名前だった。
すると当たり前の事を思い出した、私の息子はあの人にとっても息子なのだと。
そして私は、不意にあの人の愛を受け入れていた時期を思い出してしまった。
新しく愛したはずの女性との子供に、元妻の名前の漢字を入れているあの人の神経を疑ったが、悪い気分がしない自分にも驚き、あの人が初めて私に声をかけて来た日を思い出していた。