膝が破けたジーンズのベルトループは、だらしない。
染みだらけに茶色く濁った白いTシャツ。
底に摩擦のない、灰色のサンダル。
開かない目。
光はダブルビジョン。
まるで、昔遊んだ、「ケンケンパ」の様な足取りで、酒を買いに行く。
放射能を含んだ雨だけが、僕を正気に保ってくれる、冷たくて気持ちいいから。
星を見たくても、空は許してくれない。
傘をさす余裕のない者に、星が見られる筈がない。
マンホールの上では、転ばないように気を付ける。
そんな、考えの甘さが象徴的な月の監視下の散歩。
まだ、行く先を理解してしまっている。
帰る先のある僕にないモノ、それは、本当の覚悟なのかもしれない。