『特製まいたけ鶏そぼろ葱葱卵チャーハン鰹節梅乗せ 5200円』

昔バイトの先輩でデブなのに金の管理はしっかり出来る人がいた。
デブと言うのは自己管理が出来ない事で有名だが、俺が全く出来ない「金の管理が」出来るその方は、給料日の前日に豪遊するのを楽しみにしている人で、それまでは殆んど節約するらしい、デブという時点で「節約」という事に関して信憑性がかけている事は一目瞭然の事だが、そこには踏み込まないで欲しい。
なんともその方曰く、最初に遊んじゃうとどうせ月末キツくなるから最初に我慢する、んだそうだ。
確かに一理あるっちゃある、自分は給料日直後豪遊型の人間なんでそれを習慣漬けるのには２８年位はかかるかな
そういう風に生活が出来るのが羨ましい。

と、その人とはもう２年以上会ってないけど、今日そいつの事を思い出した。
やはり今月も給料日前日となると金が無い。
いたって無い。
千円強、今日の俺には何が出来る？
やっぱり最近趣味にすると言った料理を作りたいと思った、千円ちょっとでビヤーも買い、具もそこそこのを買い、最高に旨いものを作る。
そんな最低限の条件の中、自分で料理を作る事が俺にとっての豪遊。
それが切ない事なのか、素晴らしい事なのかは自分で決める。

仕事を終えると俺は颯爽とスーパーへ脚を運ぶ、「今日のチャーハンは挽き肉を使う」と決めていた。
豚の挽き肉を使うつもりだったんだけど、１９４円の鶏にしました。
そして他の具は決めれていなかったので、とりあえず卵を探しに朦朧とスーパーの中を彷徨い始めました、そうすると冷たい冷気漂う中、まるで美輪明宏のごとくうっすらと笑みを浮かべたそいつがいたのでした
「お前さんの、その鶏の挽き肉には私がお似合いだねぇ～」
ま！まいたけ！貴様ぁー！！

しかし今日の俺にはそんなに余裕がねぇ！まいたけ１００円だ・・・
これだ、これしかない。
そして俺はその美輪さんじゃない、まいたけを掴み走り去るのが精一杯だった・・・
俺の長い後ろ髪を掴んで離さない、「ホーホッホッホー！！」と美輪まいたけの笑い声がスーパー中に響き渡る。

畜生！卵！卵はどこにあるんだー！下手に店員に話しかけて今日のテンションを台無しにされる訳にはいかねぇ！
なんとしてでも自分一人で見つけ出さねばならない！スタンドバイミー！頑張れば出来るぜ俺！
ホラ！あったじゃないか！卵１２６円
そしてビールと葱を買って一目散で帰路につく。

到着しても俺はとまらない、ビールを冷蔵庫にブチ込みいわゆる仕込みを開始する。
だいたい作るのは想像できていた。
俺のキーワードは和風、いつだってそう。

ほかほかの白いご飯の上に鰹節をのせて醤油をかけてたべるシンプルな鰹節醤油ご飯をちょっとアレンジしたものを作ろうと思ったわけだ。
なのでご飯自体の味付けは、極薄味にしたいと思い、卵をといたときに醤油も混ぜて卵に味付けしました。
フワフワに仕上げて鶏のそぼろにはしっかりと味付け、塩コショウ。
葱とまいたけをぶち込む、そして冷凍庫から出して軽く解凍した白米。
白米と同時に市販のチャーハンの元（ご飯がパラパラになる魔法の粉）をまんべんなくまぶしたてる。

さぁ！これで、どうだ！ジュージュー焼いて丁度いい所でデカイ器にザザと移しかえる。
出す前にちょっと味が薄すぎるかな？って思ってほんのちょっぴり塩を振りかけた。

最終的には昨晩、母から託された紀州梅を用意して。
醤油は極少量滴り落とさせる、一瞬にしてスプーンでかき混ぜ、鰹節をたっぷり振り掛ける、そこに紀州梅だ。
自分が作ったものとは思えないほど旨く出来た。
たっぷりな鰹節の香りは勿論の事、鶏そぼろとまいたけも、まいたけの怪しい香りもアクセントになってマジでスプーンがすすむ。
梅も齧って喰いますが、クセになる事を確信しましたね。
ご飯が半分位になったら、また鰹節をたっぷり足してムシャムシャ喰いました。
ビールは勿論、発泡酒、発泡酒４ＬＩＦＥ。
梅干も一個じゃ足りないので、二個半喰っちゃいました。

いや～、マジで美味しかった！自分で作るのは本当にいいです。
ドンドン失敗して、巧く作れるように頑張りたい。
そして今度の都知事選は俺が捕ります。
しかしまだまだ始まったばかり、あいつの汚い笑みが忘れられない・・・
あの「参ったけ？」というあの顔が・・・



ビールは価格に含まれてはいません。