斎藤秀俊の眼

科学技術分野と水難救助、あるいは社会全般に関する様々な事象を一個人の眼で吟味していきます。

ヘッドランドの水難

2018年08月20日 11時29分27秒 | 水難・ういてまて
ニュースによると、「18日午後3時ごろ、鹿嶋市のヘッドランドを歩いていた20代の男性2人が波にさらわれ、そのうち埼玉県に住む男性が行方不明になりました。19日は、約5キロ離れた海岸で親戚らと海水浴をしていた18歳の少年が別のヘッドランド付近で溺れて浮かんでいるのが見つかり、その後、行方不明になりました。」

ヘッドランドの周辺では、離岸流ばかりでなく、横向きの流れや岸に向かう流れなど、いろいろな流れが複雑にみられます。そこに、天候の変わり目などでいままで波が穏やかだったのが急に高くなると、ヘッドランドの上まで波がかぶらなかったのに、急にかぶるようになります。

さらに、こういった人工構造物の周辺では、強い波により洗堀という現象が発生し、ヘッドランドの周辺からヘッドランドに向かって急に水深が深くなったりしています。

要するに水難死の過程として、

① 波によって落水する
② 落水場所が深くて足がつかない
③ 沈水して窒息する

あるいは
① 浅いところから流れによって深い場所にもってかれる
② 沈水して窒息する

ということ。
いずれにしても足の届かないところにもっていかれ、そして呼吸を確保できなくなったため溺死することになります。
こういうときにも、浮いて救助をまてるかどうかが、生死をわけるカギになります。

行方不明のお二人が浮いて救助を待っていることを祈ります。


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海で溺れたら「浮いて待て!」 と注意喚起。ただし川では…

2018年08月12日 11時34分01秒 | 水難・ういてまて

メディアで社会に対して責任ある発言するのであれば、根拠のあること、多くの人の合意を得ていること、こういう背景がなければいけません。

海で溺れたら「浮いて待て!」 と注意喚起。ただし川では…

川での死亡事故の場所を検証しているのでしょうか。 → 多くは流れの緩いよどみです。
ういてまてが効果がない → ライフジャケットなしの背浮きとういてまてを混同している

まずは自分の眼で見て、周辺の知識について勉強して、多くの人と議論して、根拠と合意を得て、初めて社会に対して責任のある解説ができるはずです。



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水温+気温=65℃以上 危険? その後

2018年08月10日 22時46分00秒 | 斎藤秀俊の着眼
皆さまからいろいろな体験談やご感想をいただきました。

今一歩議論を進めるために、次のことに議論を集中していただければと思います。

1.水を活用する部分
陸上にいれば熱中症になる可能性のある条件で、水をどう活用するか。

2.科学(特に熱力学第二法則)をベースに
体温が36℃程度の人にとって体が冷える条件とは?熱力学第二法則が基本となります。


3.体の産生するエネルギーと体が放散するエネルギーの具体値
このバランスが、体温を維持するシステムです

4.熱中症とは(定義)
熱中症とは、体温が上がり、体内の水分や塩分のバランスが崩れたり、体温の調節機能が働かくなったりして、体温の上昇やめまい、けいれん、頭痛などのさまざまな症状を起こす病気のこと。


少なくとも、以上の項目をしっかりとおさえれば、プールにおける水の活用方法が見えてくる、すなわちプールを利用するか、使用を中止するか、がみえてくるかと思います。

引き続き、科学に立脚した議論をお願いいたします。

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