Fさんから手紙
気が付いたら彼とは10年の付き合いになる。
私が通信制高校の教員時代に巡り合った生徒。通信制高校は多様な学び方がある。Fさんは様々な事情で不登校になり27歳で通信制高校の門を叩いた。個人生の日曜コースに入り面接官だった私が担任となった。
真面目なのはいいが柔軟性に欠け、なかなかクラスにとけ込めなかった。
自分の生活設計を聴衆に7分間語る生活体験発表大会という学校行事がある。Fさんにぜひ発表してほしいとお願いした。
10年前のFさんは心の財産を次のようにまとめています。
「最近、歳を重ねるごとに私の価値観が変わりました。金使いが荒く、短気でプライドの高い性格でした。今では多くの失敗から学び、物事を深く考え、人との出会いを大切にする生き方をするようになりました。私の中では、心の財産と呼んでいます。失敗ばかりの10代でしたが今では貴重な財産です。」
「元巨人監督の長嶋茂雄さんが「野球こそ我が人生」と言うように私は、「学ぶ事こそ我が人生」と思えるよう、これからも本質と向き合い心の財産を増やしていきたいと思います。」
昨日、Fさんから新年度の決意を込めた手紙をもらった。オリンピック後の生き方(出発点)としてスペイン語で三つの言葉を考えたという。
「(ラピダ La vida)」
「(シンピオンス Simbiosis)」
「(レスペクト Respeto)」
生命 共生 尊厳
背景には東京オリンピック・パラリンピック一色のお祝いムードに反対である。
政治家や関係者の不祥事はきりがなく見苦しい。
尊重より忖度、尊敬より軽蔑ばかりで不安が国民を襲う。
淀んだ灰色の社会に物申す気力がなければならない。
10年前の生活体験で発表した中身を元に編み出した三つの言葉を高く掲げ社会を変革してほしい。
このよう手紙をもらうと嬉しい。元気が出る。