パソコン上達日記2

日々の雑感を戯れに綴ります

「たそがれ清兵衛」日本人の美しさ

2017-03-26 17:55:52 | 映画

今日は体調が悪い。久しぶりの不快感。

午後からあまり動かず、寝ようと思ったけどあまり寝られない。


 

BS「たそがれ清兵衛」をダラ見したが、何度見ても名作は引き込まれる。たそがれの感想は、以前に書いた覚えがあるが、(たぶん消してしまった)感動したので、再度感想を。

清兵衛が最後に対決した男、余吾善右衛門は、もう一人の清兵衛だったかも…という見方に気づいた。

この映画の最大の見所はラストの果し合いシーン。見逃していまいがちなのだが、殺陣のシーンで、途中一瞬、余吾善右衛門が鴨居を見上げる。ここ瞬きしないで、ぜひ確かめて欲しいシーンで本当の一瞬。

このシーンの意味を考えた時、俳優の凄さ・作品の奥深さが分かる。ネタばれではないが、彼が何故鴨居を見上げたのか?を考えると、つまり清兵衛に討たれることを計算して動いていた?という結論になる。清兵衛はそれに気付かないが、観客はそれに気づく演出。

では何故彼が清兵衛に討たれることを望んだのか?彼の人生そのものが、清兵衛の人生と重なる部分があるからというのが答えだと、私は思う。二人とも宮仕えの身、現代だと会社に逆らうことのできないサラリーマン、組織の中で与えられたポジションをひたすらこなす「忠勤」けれど恩義を感じ実直に生きてきたゆえの、「死」なのだ。これほどの不条理を簡単に受け入れられるだろうか?

余吾善右衛門は清兵衛の実直さに好感を抱くが、その甘さ、人の好さに憤りを覚える。けれどかつての自分にも、そういう部分があったはずで、(酒を断って懸命に働いたという告白シーンから)また清兵衛自身が武士として剣の達人であったことが分かると、剣を交えながら考えが変わる。どうせ死ぬなら、清兵衛に討たれて死んだほうがと考えた、そこであの鴨居を見上げる目線になったのではないか?清兵衛の境遇を思うと家族を亡くした自分より、価値がある男だと思ったのでは?

対決シーンでのは鬼気迫る迫力が、それだけでなく、こういった心の変化が、刀を交えるシーン同様流れるような美しさ、凄然さで表現される。この後清兵衛は、余吾善右衛門と対決に勝利し、愛する人を妻に迎えたが、結局その幸せは3年しか続かなかった。明治維新を迎えた激動の時代の中で、清兵衛は戊辰戦争で戦死する。

ここは岸さんのナレーションでしか語られないが、あまりに悲しい。清兵衛も余吾善右衛門も、「もう武士の時代ではない」と分かっていた、分かっていたが自分にはどうすることもできない、ただ実直にその与えられた場で生きるしかなかった…

そういう愚直な生き方を「運がない」というのだろうか?「可哀想」なのだろうか?「悲しい」のだろうか?この作品が温かいのは、清兵衛の娘が「父はそんなことを思ったこともなかった」という語り。山田監督らしい人への優しさにあふれる言葉、最後に清々しく救われる思いがする。日本人の感性というのかなぁ、そういうものが根底にあって凄い映画だと思う。


稀勢の里優勝カッコよかった~神懸り的な。今は気分が少し良くなったので、「直虎」見てます。直虎の感想ですね、本当は書きたいけど…う~ん、難しい。もっと田島とか(→やっぱここね)深い苦悩を描いて欲しかったな。では頑張ってアガサを見るぞと。

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映画「俺はまだ本気出してない」感想を

2017-01-03 14:41:23 | 映画

昨晩録画してみた。「俺はまだ本気出してないだけ」

「俺まだ」の原作はマンガだが、たぶんマンガテイストとは違う仕上がりになっているのかも。

ただそれが悪いという意味でなくて、面白かった。

主人公シズオ、40過ぎて無職、思いつきで漫画家を目指す、彼のゆるい感じダラダラした自分勝手な生き方、憧れちゃうかも(笑)

ただもし身近にいたら、軽蔑するだろう、あの子供のように(笑)

またシズオ自身は、自分にかなり葛藤がある、それを誰にも見せないため、誰にも分らないだけだが。

初心者とは思えないような彼の描くマンガ「人生300年」というのが、またユニーク!人生は短くあっという間、何とかしなければという父親のような一般的解釈とは正反対、もしかして人生300年あるかもしれないから、焦らないというテーマ。あれ読むと気分がホッコリすると思う。

宮田?(生瀬勝久…渋いサラリーマン役、上手い)友人が対称的だが、結果的にシズオという人間を見て、どんどん周囲の人間が変わっていくとこが面白い。山田孝雄も何考えているかよく分らない青年を演じていたが、彼が笑顔になるシーンは印象的。

シズオ自身は何も変わらないろくでない人物だが、彼に感化された人たちがどう変わっていくのか…

縛られたものから自由になるという感覚。

この物語が面白いのは、シズオ自身の器というのかな、そういうものが、あまりにゆるいため

シズオ自身が変わらないけれど、他が変わっていくその結果。

娘との関係(橋本愛ちゃん可愛すぎ)性で、娘の自分への愛情が分かりまた頑張ろうかという気になる父親シズオ…とてもリアリティがあって、ハートフル。人との関連性の中で、また本気出してやろうかと思うのがいいなぁと思った。自分のためには、本気になれないけど、誰かのためなら、また本気になる。そういうのは現実によくあることで。

主演は堤真一で、とことんカッコ悪いシズオを、カッコよく演じている。パンツ一丁、天然パーマ、まるでピコ太郎のような風貌をしていても、隠しきれないカッコよさ(笑)惚れ惚れしました。

 マンガを買って読んでみたいなぁ。これはこれで凄く斬新かもしれないので。こういう時電子書籍だったらすぐ、買って読むかも。


 

う~ん、散歩したいけど、まだダラダラしたいな・・・。映画の影響かもしれない。私もお正月に甘えてまだ本気だしてないし。

 

 

 

 

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9月7日放送「超高速!参勤交代」まずタイトルから秀逸

2016-09-08 20:03:13 | 映画

9月10日公開される「超高速!参勤交代リターンズ」に先駆けて、地上波で9月7日に放送された「超高速!参勤交代」

脚本賞も受賞したコメディ時代劇。ただ地上波では、ノーカットではなかった…。とても残念、私はたまたま数日前にDVDでこの映画を鑑賞したので、どの部分がカットされている結構分かってしまい、余計にそう感じたなぁ。面白い映画だけに、この面白さが3割くらい減ってしまったかもしれない。

小説が原作らしいが、目を引くのはこのタイトル。歴史用語「参勤交代」に「高速」という言葉を修飾語としてつけたセンスは、凄いなと思う。極め付けが「超」という言葉をつけたとこ。(「超」という言葉が市民権を得てどれくらい経っただろうか?20年くらいかな…とにかく平成以降かと)タイトルだけで何か面白そうな、見たことないような、そういうSF的な世界も期待させた。

で実際の物語はどうか?というと、悪党の老中に無理難題を吹っ掛けられた小さなお城の殿さまが、家臣たちと知恵を絞り、立ち向かうというあらすじ。はっきり言うと、時代劇の定番、日本人が好きな情や義の物語。タイトルから想像させたような世界ではなく、見飽きたような世界感が展開される(笑)でもこれならこれでいいかと思う。私はベタなもの、好きなので。

きちんと定番の物語、起承転結を様々なシーンに織り交ぜ、実力派の俳優達を揃えて、笑わせるところは笑わせて、泣かせるとこは泣かせる。この映画で素晴らしいなと思ったのは、佐々木蔵ノ介演じるお殿様の居合術、敵の忍者との殺陣のシーン。この殺陣というのかな、アクションは、昔の時代劇の殺陣とかなり見せ方が違うように思えた。洗練されていて美しい。美しい国日本という感じ。ハリウッド映画ではこれは絶対見られないので、この佐々木お殿様の居合術だけでも見る価値あるなと思う。物語はベタだが、アクションは、現代的でベタじゃないとこが、飽きさせない。

実力派俳優と雑多にまとめたが(笑) キャスティングもいい、陣内孝則は、少し過剰すぎるぐらい演技がオーバーだが、「わざと」だろう。佐々木蔵ノ介氏は、清潔感がお殿様役にピッタリ。ただ伊原剛志さんが気になった、いや忍者役で文句なくカッコイイのだけど、彼じゃなくてもいいような気が…。ミスキャストではないけど、完璧ではないという感じで。それから深キョン、飯女でもお姫様でも何やっても可愛い。

ということで☆をつけるなら、★★★★4つかな。爽快で躍動感あふれる映画。

9月10日から公開される第二弾「リターンズ」は、前作を超えられるか?ちょっと映画館で見てみたい気もするけど。なんでもいいけど映画見たいなぁ。

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無私の日本人「殿 利息でござる」抜群の面白さ

2016-05-29 16:20:52 | 映画

★で評価するなら4.8ぐらい。最高に面白い映画で、また観たいくらい。以下に当てはまる人は、この映画向きの人。

1 阿部サダヲ主演のコメディー映画を過去に見て面白いと思った

2 「武士の家計簿」を見て面白いと思った

3 ハートフルで泣けて笑えるスカッとした映画が好き

4 妻夫木聡のファン。彼が出演する作品は見逃したくない

5 熊本震災で自分に何かできることはないかと真剣に考えた。

6 舛添都知事の人間性に疑問を感じる。会見を見た時私利私欲の塊ではないか、すぐ辞職しろっと腹が立って仕方がない

7 日本人の美徳とは何か?感じたことがある。


 

 時代とともに、映画はあるけれど、今この時期にこれほどマッチングした内容の映画もないかと思われる。それぐらい現代的なテーマを扱っている。「無私の人」というテーマだ。最後に驚かされるのは、この映画が史実に基づいて練られた脚本であるということ。ドキュメンタリーの伝え方ではないが、映画という娯楽作品で、このキッチリとした見せ方が際立っている。これが監督が一番伝えたかったことじゃないのか。

江戸時代も現代も変わらない。その変わらない暮らしの中で、無私の心でいられる人達が江戸時代には確かに存在した。その無私の心が集まって、政治を動かし自分たちの暮らしを変えたのだ。恵まれている現代のほうが江戸庶民の人たちより、何事も無関心じゃないだろうか? 

 キャスティングの上手さ、出演する俳優陣の演技力、緩急つけた物語の展開、笑と泣きのバランス、ラストのテーマに至るまでどれもツボをきちんと外さず、途中の貨幣価値の解説含めてとても丁寧に作られた作品。時代劇ではあるが、スタイリッシュな映画。日本映画っていいなと思う。武士の家計簿に続く原作作品だが、武士よりこちらのほうが私は面白い、笑えるし、泣ける。安心して見られる。最後に現代人が忘れているテーマが目の前に浮かび上がる仕組み、見事。

 個人的に阿部サダオほか、俳優も端役に至るまで、完璧なキャスティング。誰が一番良かったか?と聞かれたら瑛太もかなりいいけど、う~んやっぱり浅野屋甚兵衛妻夫木。彼が本当の意味の主役だが、そこを感じさせない部分が素晴らしかったな。

 舛添都知事のセコさに呆れて涙がこぼれそうだと感じたら、この映画をぜひ見てほしい。スカッとするので(笑)

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悪魔の手毬歌(1977年) 完成された様式美

2016-04-17 16:19:20 | 映画

石坂金田一の作品で、個人的にNO.1 はどれかなぁ。

前作の「犬神家の一族」はおどろおどろしい。こわい。文句なくあの、助キヨマスクが子供心にもトラウマになるくらいに(笑)

この第2作目「悪魔の手毬歌」も映像も衝撃的(笑)

ミステリというより、独特の日本ホラーみたいな世界観。今見ても色あせないというのかなぁ。古くない。

無駄のない場面展開・市川監督独特のカメラアングルは、すごくこの後の色々な映画・ドラマ作品に影響を与えている。ベースになっている。

悪魔の手毬歌は、見立て殺人。手毬歌にそって殺人事件が起こる・・・

この手毬歌が不気味なのがまずいい。

おどろおどろしい・・・悪魔的な殺人事件を引き立てるのは、陰影がある日本家屋。この雰囲気がまたいい。和室、襖・敷居・廊下の細部にいたるまで、薄暗くて静けさの中に闇を感じるような「日本ミステリーの現場」という質感が素晴らしい。ひんやりとした空気を感じる。大人にしか分からないタブーがある、それがじんわりと伝わってくるのが日本家屋だと思う

日本独特の閉鎖的で貧しい村社会・・・だが、性の世界は乱れている。これは横溝作品によくあるけれど、昔って案外こうだったのかな~みたいな感じで意外性があって面白いなぁ。

ラストシーン、汽車に乗った金田一が、若山富三郎氏に向けた言葉が(汽笛でかき消されるが、これはうまい演出)この作品に花を添えている。

もしこの台詞がなかったら、もっと後味の悪い陰鬱な世界で終わっていたかもしれない。

その少し前の駅での若山と金田一のシーン、待合室で二人のやりとりを見たお婆さんの素朴なほほえみが一瞬1カットで映る、この眼差しに救われる。その微笑みは陰惨な事件から日常の世界に戻る金田一とこの物語を鑑賞した観客へのほほえみだと私は思ったなぁ。

岸恵子と若山富三郎のお二人他、重厚なキャスト。初期角川映画の勢い・迫力を感じる。

ただ北公次だけが少し異色、色んな意味で残念。 だから★は4.5

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